各種ナムル

 韓国の家庭に招かれると、プルコギなどのメインディッシュの周辺に、キムチは当然としても実にさまざまなナムルの皿が展開されます。ナムルは、「和えもの」とか「おひたし」という意味です。おひたしは日本の食卓では控えめな存在ですが、我が家ではこの韓国風のナムルがマイナーメジャーのアイテムとしてたびたび登場するようになりました。もやし、ほうれん草、小松菜など、生で食べるには青臭く、煮てしまうとにわかに存在感が薄くなってしまう野菜は、炒める以外はほとんどナムルにして食べるのであります。ナムルは、半生野菜を簡単でかつおいしく食べる調理法としては、おそらく最高の方法なのではないか、などとひそかに思っているのです。
 調理は実に単純にして明快。基本は、ごま油と醤油か塩で味付けてかき混ぜるだけ。韓国の本場のナムルとはじゃっかん違うと思いますが、ほうれん草、もやし、ワカメ、ゼンマイのナムルを以下に紹介します。各調味料の量と種類は、好みなので、もう、適当というしかありません。醤油の代わりにナンプラーでもいい。また、ほうれん草のかわりに小松菜や、塩でしなっとさせたキャベツや大根の葉や本体、夏であればキュウリでもいけまっせえ。

■材料

●各種野菜以外・・・ごま油、醤油、塩、こしょう、粉唐辛子、コチジャン、おろしニンニク、日本酒、いりゴマなど適量

■製作手順

  1. ほうれん草のナムル
     ぐらぐら沸騰したたっぷりの湯に塩小さじ2ほど入れ、そこによく水洗いしたほうれん草を、15~20秒間茹でる。この15~20秒というのはきわめて重要。わたしはストップウォッチか、口で一、二、三と数えたりしている。茹であがったほうれん草は間髪をいれずに冷水に入れる。菜っぱが完全に冷たくなった時点で軽くしぼって4センチほどに切り、ざるにあけてよく水切りをする。水切りがすんだら、ボールに移しかえ、そこに、醤油、ごま油、粉唐辛子あるいはコチジャンを投入して手でぐにょぐにょとよく混ぜてできあがり。醤油の代わりに塩で味付けをすると、あっさりめのナムルになる。これにチリメンジャコや、乾燥さくらえび、いりゴマなどを入れると、また違った風味を楽しむことができます。
  2. もやしのナムル
     軽くゆがきボールに投入するまでの手順は、ほうれん草と同じ。ただし、もやしの茹で時間は20秒を超えてはならない。味付けも基本的にはほうれん草と同じだが、もやしの場合は、塩+こしょう+ごま油というコンビネーションがすっきりしていておいしいように思うのであります。
  3. ワカメのナムル
     塩にまみれて縮こまっていた塩ワカメを水で洗い、塩気を落とし、3分ほど水に浸す。するとワカメは水の中で背伸びするように容積を増やしていく。包丁で4センチほどラフに切ったものをざるにあけてよく水切りをする。ここまでは、伝統的塩ワカメ調理準備工程なのでたいていの人は知っているでしょう。水切りしたワカメをボールに入れ各種調味料を加え、同様に手で混ぜる。上記ほうれん草、もやしと同じ。ワカメの場合の味付けは塩がベターです。ほうれん草のときのように、チリメンジャコあるいは乾燥さくらえび、いりゴマなどを入れると、また違った風味を楽しむことができます。
  4. ゼンマイのナムル
     ゼンマイの場合は、ほとんどきんぴらゴボウの調理法と同じ。水煮ゼンマイ(よくスーパーで売っている形態)を3センチほどに切り、ざるにあけて水を切る。熱したフライパンにごま油を投入し、ちらっと煙があがりそうな段階で、切断水切りゼンマイを投入。ジャーっと威勢のよい音がします。全体に火が通ったら、醤油、日本酒適量を投入し、水分がある程度なくなるまで炒める。そこに粉唐辛子を入れて全体をよくかき混ぜてできあがり。