大韓航空はエライ

 大韓航空の機内食の定番はなんといってもビビンバです。トレイの底にハラリと展開するナムルの上に、パックされたご飯を入れ、コチジャンをチューブからムニュッと出してかき混ぜる。近くの席の韓国人乗客は、このかき混ぜ工程を延々とやってました。
Kochjan で、わたしは錬り歯磨きが入っているようなコチジャン・チューブを大量に入手したいと考えました。座席ポケットの機内販売リストに、10本600円で販売していることを知り、スチュワーデスに購入意志を申し述べました。すると彼女は「これは事前予約であるから販売不可能である」などと厳然という。「えっ?でも、この飛行機に乗ってみて初めて事前予約だと知るわけであるわけだから、こういう記載はおかしいのではないか」「といわれましてもねえ」「わたしはどうしても欲しい。もちろんゼニはある。なんとかならないか」「うーん、じゃあ、ちょっと待って下さい」といいつつ彼女が席を離れて15分経過しました。やっぱり無理だったか、とあきらめつつ何度も機内販売リストを眺めていると、件のスチュワーデスが、おそらく30本は下らないチューブをバラバラに入れたビニール袋を持ってきてわたしに手渡したのでした。「えっ?こ、こんなにも・・・。で、で、お代はいかほどになるや」と聞くと、彼女は手を振って「Please take it」といってすぐに立ち去ってしまったのでした。わたしの胸に熱い感動の波が走ったことはいうまでもありません。まあ、買っても大した金額になるわけではないのですが、タダしかも大量というのが、嬉しかったなあ。こんなちょっとしたことで、乗客は感激するのですよね。とくにわたしのようなタイプの客は。というようなわけで、大韓航空の評価は多いに上がったのでした。
              ・・・サマーチャール・パトゥル第30号(2003)より