「サマーチャール・パトゥル」07号1990年1月20日

 明けましておめでとうございます。例年のごとく寒い冬の日々、皆様、いかがお過ごしですか。

 この通信は、もともと年賀状というものを書かない代わりに出すことから始まりました。従って、これがわたしたちの実質的な年賀状だとお受け取り下さい。 昨年の12月14日で、わたしの「精神的協力者」、配偶者であるヒサヨは40歳になり、わーい40だ40だと、わずかな優越感を感じつつ彼女にはやし立てるわたしも、あとわずかで40歳になってしまいます。年長の人からは、何いうてまんねん、と言われるかもしれませんが、やはり、ちょっと、感慨というものが、ふと胸をよぎるのでした。

 さて、前回と前々回の通信では、わたしのボンベイ滞在のことを書いてきました。それはそれで、記憶を呼び戻すという楽しみはあったのでありました。しかし、今月24日に(わたしの40回目の誕生日の次の日)、またそのボンベイへ行こうとしている現在、常にマエムキでありたいと考えるわたしにとっては、ボンベイ89は急速にボンベイ90にとって変わろうとしているのであります。

 というわけで、今回は、次回のよりホットなボンベイ90に期待をしていただくということで、ボンベイ89をひとまず冷蔵庫にしまうことにしました。

 なお、ボンベイレポート90の一部は、「サンケイリビング東神戸版」という新聞に数回連載されることになっています。ボンベイから3、4回、原稿と写真を送る予定です。「東神戸版」は、神戸市中央区から東灘区までの区域に無料で配布されている週刊新聞ですが、もしその区域にお住まいで、興味がおありであればご一読下さい。

 ◎ワリバシ使用停止!◎

「地球は救えるか」というNHKの特別番組を見ました。現在のレベルの木材消費が続けば、2075年には、地球上の熱帯雨林はすべて消滅する、という深刻なレポートです。しかも熱帯雨林消滅促進的楽天消費者であるわがニッポンがその責任の四割あると。実に寒々とした事実です。

 製鉄のための木炭を焼くためにどんどん奥地に向かうアマゾンの炭焼き人。彼らにエネルギー源として木炭の使用を推奨したのは、日本の技術者なんだそうです。かつては人跡未踏の大ジャングル、そして現在は見渡すかぎり続くフィリピンのハゲ山。ここでも土壌の関係でもはや回復不可能となった、かつての熱帯雨林消滅地域が加速度的に増加しているという。

 そこで、というわけでもないのですが、映像の中の、大木が切り倒されていく様子を見ているうちに、どうも切ない思いがしてきまして、早速、配偶者にこう宣言したのでありました。

「今後、ワリバシの使用を止める。あした、箸箱と箸を購入し、外へ出るときは常に携行するのだ」

 唐突にわたしの宣言を聞いた配偶者は、すでに寝床で本を読んでいたのでしたが、パタッと本を胸元に置き、読書を邪魔されたことをなじるかのように、面倒くさげに尋ねました。

「なんで急にワリバシなのお」

「木材資源は今、大変なことになっているのだ。ワリバシなんか、使い捨ての最たるものである。日本で、1日で捨てられるワリバシはどれだけになるであろうか。家が何軒建つか・・中略・・というわけだ。ねっ」「いやだあ、恥ずかしい」とは言ったのですが、わたしの並々ならぬ決然とした様子に、我が意を理解した配偶者は、

「んん。じゃあ、そうしよっか」

 とアッサリ同意したのでありました。

 箸と箸箱セットを買ってみた

 ワリバシを使わず、常に自分の箸を携行している人は既にいるでしょうし、特に新しいことではないとは思います。確か、サトウサンペイの漫画にも出ていました。しかし、そういう人のことや、漫画を見ても、へええ、と思うのみで、自分でそれを実行しようという境地には、至っていなかったのです。しかし、わたしは、これは実行しなければいけないのだ、とカタクケッシンをしたのであります。

 次の日、わたしと配偶者は、近所のスーパー、「トーホーストアー」へ行き、2人分の箸箱及び箸を買い求めました。色は朱で、純和風漆塗りもどきプラスチック製です。配偶者は、わたしのよりもちょっと短めのもので、同じ色、模様のものを選びました。めおとセットと言ったところです。

 いよいよ箸箱セットを携行する段になって気がついたのですが、一般的な箸箱セットは持ち運ぶのに少々具合悪い。22.5センチの箸の入っている箱は、全長24.5センチあります。カバンをもっていれば問題ないのですが、手ぶらですと収納可能なポケットのついている服がありません。それと、箸と箱にかなりの遊びスペースがあり、歩行のたびに音がします。どうにも、ファッショナブルとは言いにくい小物なのです。配偶者が「恥ずかしい」と言った第一はこの点でありました。

 使用してみると

 神戸元町の、ある天どん屋さんに昼食に行きました。湯気の立つ天どんが、さあ、わたしよ、という感じで目の前に置かれたとき、わたしは上着の内ポケットから件の箸箱セットを取り出しました。店主は、おっ、と言う目で箸箱セットを注目しつつ、他の客と、今年のタイガースはあきまへんでしたなあ、元木選手も江川みたいにごねたらあきまへんなあ、などと話を続けるのでした。その間、わたしはツルンとした箸先で天どんを食べていました。ワリバシの機能性は、食物をほどよく保持する抵抗にあるのだなあ、とワリバシの積極的存在価値を認めつつ、天どんを食し終えました。他の客と話をしながらもわたしの箸が気になっていた店主は、こう聞きました。

「ワリバシ、目の前にありまっしゃろ」

「はい。でもワリバシは使わないことにしているんですよ」

「へええ。まあ、潔癖な人はそうするらしいですけどね。そんなんとちゃうんですか」

「まあ、木材というか資源のことを考えてですけど。一日で使い捨てられる箸の量ってすごいもんでしょう。もったいないですからねえ。と言って、一人がこんなことしても全体から見ればたいしたことじゃないでしょうが」

「へええ。感心なことですなあ。なるほどね。ほんまは、みんなそうせなあかんですな」

と、店主はタイガースの話をしていた背広の客とわたしの両方に視線を向けながら言った。その客がうなづきつつ、

「今、どんどん南方の木が切られているんですよ。アマゾンなんか特にひどいらしいですね。それがみんなこのワリバシになっているんでしょう。考えなあかんわなあ、ほんまの話」と、爪楊枝をくわえて言った。(アマゾンの木材がみなワリバシに変わるというのは、その人の誇張的物言いであり、事実は違います)

「お箸洗いましょうか」

「いえいえ、結構です」

「いやいや、洗いますわ。おい、お客さんの箸と箸箱、洗ってあげえ。きれいに水気きってな」

 店主は、奥さんらしい女性にわたしの箸箱セットを洗わせ、ふきんで丁寧にふいてくれました。

 このやりとりは気持ちの良いものでありました。

 その後、自前箸によって引き起こされる人々の反応は、おおむね天どん屋の主人と似たようなものでした。大阪のウドン屋では、どんぶりと一緒に自前箸をもっていってしまった。あのう、お箸を、と言ったら洗って返してくれました。店員にうさん臭げに見られることもあります。わたしとしては、食物を提供する側の好奇心を刺激し、それでコミュニケーションができることにちょっとしたヨロコビを見いだしたいので、全く反応がないとがっかりします。

 自前箸仲間あらわる

 自前箸使用の仲間もできました。この通信でもおなじみのシタール演奏家、アミット・ロイと彼の弟子の田中さんです。ある食堂でわたしの箸箱セットを見たアミットは、かねがねワリバシの使い捨てに心を痛めていたと告白したのです。彼は、ヤキソバとぎょうざを注文した後、早速、田中さんに箸と箸箱の購入を命じました。日本に滞在している間、彼は、インドでは考えられない資源の浪費に怒っていたのでした。彼の国では、木材は本当に貴重な天然資源なのです。

 自前箸携帯使用者としての心構え、常時携帯がまだ習慣化していないので、よく置き忘れや携帯忘れをします。先日は、尼崎のヤキトリ屋に置いてきてしまいました。食堂に入ってから、箸を忘れたことに気づき、取りに戻ることも再三です。この自前箸携行忘却対策として、車に1セット、カバンに1セット、というように何セットか常備することも検討しなければならないでしょう。カッコ良い携帯ファッションもあってしかるべきです。キセル入れとたばこ入れのような、粋なものもあれば良い。矢立て式でも良い。頭をノックすると先半分が飛び出るような箸。先端3センチにはザラサラがついて麺類が絡まりやすいようなもの。それを、ベルト装着式ポシェット状チョップスティックケースに収納する。渋い飾りのついた肩掛け箸袋セット・・・。まあ、使い捨てドンドン消費バンバン儲け追求的日本メーカーは見向きもしないかな。ある人の話しによると、蛍光管メーカーは、ある一定の時間が経過したら使えないようになる蛍光管の研究をしているそうだから、使い捨て文化に真っ向から対立するような製品は、まず、作らないことでしょう。

 めおとセット

 ところで、ポートアイランドの「トーホーストアー」に行ったとき、配偶者はわたしと同色同模様で、ちょっと短めのセットを購入したことは、先に触れました。しかし、彼女は後になって、無意識に男よりもちょっと小さめのものを選ぶという、彼女の内なる男性社会的思考法に気付いたのでした。世の中は“女性の時代”なんだそうであり、配偶者は立派なツトメニンで、かつわたしよりも背が高く(関係ないか)、かつ若干年上であり(関係ないか)ながら、古来営々と続いてきた男性優位社会的思考法が、このようにほんのささいな行動のときに現れることに気がついたというわけで、現在の彼女の箸は、わたしと同じ長さのものです。

◎これまでの出来事◎

 前回の通信は、昨年の8月でした。それからすでに5ケ月過ぎてしまいましたので、その間のわたしの周辺の出来事は、東欧圏を始めとする世界情勢ほどではないにしろ、例年になくいろんなことがありました。

◆9月4日、里帰り転々ライブ東北・北陸路、バーンスリーと尺八による吹き吹き行脚シリーズより帰る。

 この旅では、たくさん人々と知り合いになり、楽しいものでした。金沢の山下喜代美さん、田中弘二さん、もっきりや、新潟の鈴木静子さん、斎藤裕子さん、佐渡の「鼓童」の平沼さん、山形「チャイハネ」の小玉勇さん、仙台「わでぃ・はるふぁ」の中田一生さん、那須高原「創造の森」の玉野さん、鈴木さん、木戸さん、鎌倉の石踊紘一さん、明美さん、石踊画伯宅まで駆け付けてくれた山形県立長井高校の後輩、平千佳さん・・・etc、たくさんの人のお世話になりました。それと、全行程一緒だった尺八の森川玄風さん。ありがとうございました。

◆9月10日/ナゲシュワラ・ラオ、ヴィーナコンサート/奈良・元興寺

 ナゲシュワラ・ラオは、非常に繊細な表現でインドでももちろん国際的にも知られた演奏家です。しかし、その繊細な響きは、音を吸収してしまうお寺の構造や、マイクを使わないことのためによく聴きとれず、非常に残念な思いでした。本来室内楽であるインド古典音楽を多数の聴衆に聴かせる場合、どうしてもマイクを通す必要を痛感しました。

◆9月19日/木佐貫邦子ダンス公演/新神戸オリエンタル劇場

シンプルな舞台で、休憩なしに一気に見せてしまう実力はすごいものでした。ただし、背景に一部通俗な西洋クラシック音楽を入れたりなど、踊りの緊張を萎えさせる部分があって若干不満が残りました。

◆9月23日/秋のお彼岸

神戸の宝地院と願成寺でヨーガと健康について1時間づつ話をしました。しっちゃかめっちゃかの素人説教でした。

 関係ありませんが、インド遊学後からずっと続いていた宝地院でのヨーガ教室は、ちょっと忙しくなり11月から一時休止しています。今度のボンベイから帰る4月から不定期の形で再開したいと考えています。

◆9月28日/チャペルで聴くインド音楽/神戸YMCAチャペル

 中村仁さんのシタール、わたしのバーンスリー、そしてタブラーが山中浩子さんというプログラムでした。最後のプログラムで、中村さんのエスラージとバーンスリーのデュオを試みたのでしたが、直前の打ち合わせのためどうもうまくいきませんでした。アンサンブルというのは難しいものです。

◆10月19日/国際交流団体交流パーティー/神戸国際交流会館

 アトラクションとして、短い話とバーンスリーを吹きました。パーテイー会場で演奏するというのはどうも苦手です。自分の演奏を棚にあげて言うわけではありませんが、とにかく皆おしゃべりに夢中でうるさく、自分の音すら聞こえない状態なのです。しかも、最低30~40分はかかるインド古典音楽の演奏を10分でしなければならない。

 国際交流団体(日本◇◇国友好協会といったもの)の代表者たちというのは、一般に実業家タイプが多いようです。演奏を終えた後、食べ物を急いで食べながら(笛吹きの宿命で、演奏前に何も食べれず、たいてい宴席の終わり近くに残り物を急いで食するのです)隣の紳士たちの会話を聴いていますと、現在の日本の国際交流の姿というものがうかがえる気がします。

「いやあ、今度の◇◇国のプロジェクトは現地政府の対応が遅くてまいってますわ」

 ◇◇国はあるアジアの国です。

「結局は、こっちから人を送ってやらなあかんのんちゃう」

「向こうからこっちへのチャンネルが、うちしかないでしょう。いったん、受けてしまうと次々きてしもてどうもならん」

 この紳士たちは、◇◇友好協会を明らかに企業メリットにつながる一環としてとらえています。この種の人々が、今日の日本の「経済的繁栄」を支えているわけですが、どれだけ相手の国を理解し、どれだけゼニにかかわるもの以外の日本の文化を理解してもらおうとしているのか、なまじ◇◇友好協会と名乗っているだけに悲しい思いがします。もちろん、来ていた人々がすべてそうだとは言えませんが。

◆11月1日/大阪空港

 昨年、ボンベイで非常にお世話になった佐々木さん一家と再会し、ファミリーレストランで食事をしました。今回、佐々木さんはインドの天理教信者さんを案内する役で来ていたのです。

◆11月2日/「マダム・スザーツカ」映画会/ホテル・ゴーフルリッツ

「マダム・スザーツカ」は、シャーリー・マクレーン扮するピアノ教師が、インド系イギリス人少年を育てていく物語りです。この映画には、わたしの最も好きなインド映画スター、シャバナー・アズミが、その少年の母親の役で出ております。イギリスのインド人社会をかいまみることができて興味深かった。シャーリー・マクレーンは、自分のピアニストとしての挫折と誇り、弟子への愛情としっとを実にうまく表現していました。

 この映写会、100人近い参加者の中で男性はわたしだけでした。

◆11月4日/富士典子フラメンコ舞踊/エル・エスト・スポーツクラブ(大阪)

この催しは、エル・エストというスポーツクラブが新たにエアロビクススタジオを開設した記念行事として行われ、わたしはコーディネーターとしてかかわりました。

◆11月8日/「吉田ルイコ・アシナマリ支援講演会」/神戸学生・青年センター

 この講演会は、10月から進めてきた南アフリカ黒人音楽劇「アシナマリ」神戸公演の関連行事でした。「アシナマリ」公演実行委員会を作り、公演に向けて活動をしていたのですが、反応が鈍く、皆、成功するか不安だったのです。しかし、この吉田ルイコさんの公演会には200人もの人が集まり大盛況でした。

 吉田ルイコさんの話は、実に興味深かった。南アフリカで日本人は「黄色いバナナ」(中身は白で皮は黄)と呼ばれていること、欧米の主要企業がアパルトヘイトに抗議して経済制裁を加え撤退していく中、競争相手の不在を埋めるように日本企業が進出していること、などの話が特に印象に残っています。

 吉田さんは、お顔は赤塚不二雄に似ていました。小柄な女性で、実にエネルギッシュかつ素敵でした。

◆11月15日/「高田みどり+梅津和時ライブ」/大谷大学

 この演奏会は、わたしが、大谷大学から、大学祭初日のメインプログラムの企画を依頼されていたものです。野外という設定でしたので、演奏者も暑くなるような打楽器がよいだろう、ということで提案し決定しました。高田さんの出演交渉のとき、このことを話しましたら

「まあ、失礼ね。打楽器だって体が暖まらないとだめなのよ。めっ」ってな感じで言われてしまいました。「できるだけ派手な感じでやる」という高田さんの言葉通り、ダイナミックな演奏会でした。 

◆11月18日/「ダンスリー・ルネッサンス合奏団」公演/エルエスト・スポーツクラブ(大阪)

 11月4日のフラメンコと同じシリーズの演奏会。楽器運びとコーディネイトをわたしが担当しました。

 合奏団を主宰する岡本一郎さんの配偶者であるマリボンヌさんの朗読+中世音楽はなかなかよい組み合わせだと思いました。

 ダンスリーは、「よき人に逢っての帰り」という最新レコードをミサワホームから出しました。西洋音楽も、中世までさかのぼると、ほとんどいわゆる「エスニック」。わたしのやっているインド音楽なんかと共通点があります。気持ちがふわあんとなるレコードですので、興味のおありの方は是非ご一聴を。

◆11月20日/南アフリカ黒人音楽劇「アシナマリ」神戸公演/神戸国際交流会館

 当初、動員に不安のあったこの公演も、100人近い立ち見まで入れて700弱という大盛況。吉田ルイコさんの講演から尻上がりに盛り上がった結果でありました。

 前評判通り、シンプルな舞台とたった5人の出演者から発せられるメッセージは強烈でした。

 公演の後、三宮駅前のインド料理店《ガンダーラ》で打ち上げ。この打ち上げでは、出演者や同行スタッフが、絶妙なハーモニーで南アフリカの民謡を歌い続け、一部にはこちらの方がずっとよかったという声が聞かれるほど盛り上がりました。経済的にも苦しさの続く南アフリカの黒人たちにとっては、高価な楽器の変わりに、自前の無料の楽器である声で魅力のある音楽を作っているのです。体全体を共鳴体として使っているようなよく響く声質、独特のリズム。神戸公演のスタッフは終始圧倒されたのでした。

「おれたちがこれだけ歌ったんだから、日本の歌を聴かせてくれ」。アフリカ人の一人が言いました。

 こういう場合の対応は、おおむね一様です。

 まず、全員しばらくうなる。

「ンーーーーン。こまったな。何がいいかなあ」

 結局、数人が民謡を歌ったりしましたが、歌詞を完ぺきに覚えていない場合が多く、なんと、まあ、貧弱なお返しでありました。

 このような、自分の生まれ育った土地の文化を自信をもって紹介できないなさけなさを、わたしもインドで生活していたときに感じたことがあります。文化などという大袈裟な物言いではなくとも、「自分の歌」がないのです。物質的な豊かさの中で、多様なエンタテインメントを享受できる環境にあるわけですが、それだけに、生活に密着した歌や踊りがなくなりつつあるということか。彼らは、「アシナマリ!(おれたちには金がない)」と叫んでいますが、わたしたちには、金はあるけど「歌がない!」

◆11月21日/NHK・FMラジオドラマ「帰ってきた男」背景音楽録音/東京・NHKスタジオ

 イベントが重なりかなり時間的にしんどい時期でしたので、日帰りの東京往復でした。NHKのスタジオは初めてでした。今月の6日、FMで放送されたはずです。はずですというのは、その日は友人宅でパーティーがあり、聞けなかったのです。

◆11月25日/「真言密教とインドの音楽」/神戸・ポトアイランド・ジーベックホール/アミット・ロイ(シタール)、神戸密教研究会有志、山中浩子(タブラー)、中川博志(バーンスリー)、田中峰彦、松本泉美(タンブーラ)/企画制作:天楽企画

 この演奏会の企画は、前から暖めていたものです。たまたま、クリエイト・エンタープライズという会社がスポンサーになることになり実現しました。

プログラムは、第一部が真言声明。一般の人には珍しい「吉慶漢語」と「吉慶語」の詠唱でした。第二部は、アミット・ロイによるインド古典音楽。そして第三部が、金剛界礼賛+シタール+バーンスリー+タブラー。 演奏会は、おかげさまで立ち見のでる盛況でした。いろいろ反省点はありましたが、まずまず満足しています。声明とインドの音楽は、ルーツが同じで曲の構造も似ています。そのことがよく分かりました。神戸市内の若手のお坊に声明を唱えていただいたのですが、もうちょっと練習を積めば、もっと良くなっていたと思います。

 会場であるジーベックホールは、音響機器メーカーが音の実験場として昨年作ったホールです。我が家から徒歩10分という便利さ、音響機器の充実さ、300人収容という適度な大きさ、ホールスタッフのわれわれの活動に対する理解、などなど、今のところ最も魅力的な場所です。今後、このホールを前提にした企画をたてていくつもりです。

◆12月22日~24日/ジーベック・アコースティック・クリスマス/ジーベックホール/柴野さつき(ピアノ)、藤枝守(作曲、シンセサイザー)、高田みどり(パーカッション)、さいざいぎん(インスタレーション)

 高田みどりさんに11月の大谷大学でお世話になった関係もありまして、ちょっと手伝いをしました。客の入りはそれほどではなかったのですが、非常に知的なクリスマスでした。飲んで騒ぐのもなかなかでありますが、こういうクリスマスもよいものであります。

◆12月25日/アミット・ロイ シタールライブ/大阪アメリカ村・モンスーン/吉見正樹(タブラー)

 音響をもっと考えてほしかった。

◆12月28日/宝地院忘年会

◆12月31~1月3日/配偶者実家滞在

◆1月4日/中西勝宅恒例マージャン大会。わたしは、+4で9位、配偶者は3位になり、賞品にカーディガンを貰いました。

◆1月13日/田中峰彦+アミット・ロイ シタール演奏会/大阪・アイルモレ コタ

 アミット・ロイは、今回の日本滞在中に日本女性と結婚することになっており、当日そのフィアンセがきていたからというわけではないでしょうが、なかなかよい演奏でした。

◆1月19日/ギャラリーコンサート「インドの笛と平曲」/プラネット・ブルー神戸

 筑前琵の片山旭星さんとのジョイントコンサートです。この時期、インド音楽演奏愛好者たちはほとんどインドへいってまして、タブラーなしでの演奏です。

◎これからの出来事◎

 冒頭で予告しましたように、この24日からインドへバーンスリー修業のために出掛ける予定です。帰国予定は3月24日。インドでの連絡先は以下のところです。お便りをお待ちしていますので、よろしくお願いします。

Hiroshi NAKAGAWA
c/o Mr.Norio SASAKI
No.14,B-6,Khira Nagar,S.V.Road, Santacruz(W),BOMBAY-400054,INDIA
phone(001-9122)-614-9511
( )内の番号は、日本からかける場合です。

 又は

c/o Mr.Hariprasad Chaurasia
Savitri 19th Road, Khar, BOMBAY 400052, INDIA
phone 538989

 ◎

◆4月21日(土)PM22:00~22日(日)早朝/「アジア・アフリカの音楽-風の建築」、サブタイトル《地球の子守歌》/ジーベックホール/主催:TENDO ASSOCISTES/Tel.078-231-7201/共催:ジーベックTel.078-303-5600/企画制作:天楽企画/出演予定者/ハムザ・エル=ディン(ウード、タール、歌)プーリー・アナビアン(ペルシアン・サントゥール)/アミット・ロイ(シタール)、逆瀬川健治、山中浩子(タブラー)、中川博志(バーンスリー)他/入場料未定ですが、\1,500ぐらいと考えています。/チケット取り扱い:チケットぴあ、チケットセゾン、プレイガイド21など/
 この企画は、神戸の建築家、天藤久雄さんの事務所開設15周年記念パーティーの相談をしているときに持ち上がってきたものです。天藤さんは、87年のハムザの演奏会に来ていただき、是非もう1度聴きたい、ということで決まりました。現在エジプトに滞在中のハムザのこれからのスケジュールは、本人が帰らないと確定ではありませんが、とりあえず、マネージャーの了解を戴きました。

 パーティーの関係上、夜10時ごろからスタートし、22日早朝までのオールナイトコンサートになる予定です。当日は、アルコールとインドカレーやモロッコのファーストフードなどを用意するつもりです。朝までというのは根性が必要ですが、たまにこんな演奏会があってもよいではないか。インドではオールナイトコンサートは珍しくありません。さらにこのような豪華メンバーの組み合わせは初めてです。ということで、われわれも頑張りますので是非おこしください。

◆6月24日(日)16:30PM~18:30PM/クリエイト・アジアの音楽シリーズ第二弾、「エキサイティングガムラン+和太鼓」/ジーベックホール/出演者:ダルマ・ブダヤ(ガムランアンサンブル)、井上一路(和太鼓、鬼太鼓座リーダー兼音楽監督)他/主催:楽ネットワーク/共催/ジーベック℡078-303-5600/協賛:クリエイト・エンタープライズ、ダイシァウツアー/後援:兵庫県、(予定)神戸市、神戸市教育委員会、神戸市民文化振興財団、神戸国際交流協会、神戸新聞社、インドネシア総領事館他/=企画制作:天楽企画/入場料:\3,000(前売り\2,500)/チケットは、ぴあ、セゾン、PG21など

 クリエイト・アジアの音楽シリーズは、昨年の「真言密教とインドの音楽」からスタートしました。今回は、アジアの打楽器として和太鼓とガムランを取り上げました。ガムラン音楽は、今やインドネシアの伝統音楽としてはもとより、世界中で、新しい音楽表現手段として現代音楽家からも注目を浴びています。そのガムランと和太鼓のセッションもありますので乞うご期待。


 ◎サマーチャール・パトゥルについて◎

 サマーチャルはニュース、パトゥルは手紙、という意味のヒンディー語です。個人メディアとしてこれから気がむいたときに発送していく予定です。よろしくお願いします。

編集発行発送人 中川博志/精神的協力者 中川久代
〒650 神戸市中央区港島中町3-1-50-515
Tel.&FAX 078(302)4040