「サマーチャール・パトゥル」08号1990年10月20日

 もうすっかり秋です。この季節は、小生の郷里、山形の芋煮会のシーズンです。山のてっぺんから吹いてくる乾いて冷たい風が河原をなでる中、アツアツの芋煮を食べる。要はピクニックなのでありますが、冬に向ってひた走る中の平安な一日は、独特の情緒があって良いものです。4年前から始った「神戸芋煮会」は、ますますメンバーに多彩さを加え、いずれ再度山名物となるのではないか。

 配偶者は、この季節は寒いからきらいだ、とのたまわった。

 皆様、いかがお過しでしょうか。

 前回のサマーチャル・パトゥルが今年の1月20日発行でしたから、もう随分時間が経ってしまいました。

 全号の予告のように、わたしは、1月24日から3月24日までのまる2ヵ月、ボンベイに滞在しました。まずそのことについて書かなければ、予告だおれになってしまいますが、帰国してから例年になくばたばたし、時間の流れるままにしていたら、その間、記憶はとめどなく風化し新鮮さを失ってしまいました。老化現象の一つだと思います。ですから、今回は「ボンベイレポート」ではありません。

 ◎りんけんバンドについて◎

「りんけんバンド」とは、沖縄をベースに活躍しているバンドの名前です。リーダーが照屋林賢さんと言いまして、彼の名前がバンド名になっています。

 このバンドを初めて知ったのは、近所にすむ気功大人、津村喬さんからでした。

「どうも」

 しばし沈黙。

 3秒後、

「中川さん。りんけんバンドって知っていますか。東京で聴いて、いいなあと思ったんです。明るくて。それで、今度、関西気功協会主催のフェスティバルでやっもらおうと準備中なんです」

 おいしいケーキがあるからお茶でもどうですか、という和子夫人に誘われて津村氏の自宅へ行っときのことでした。

「とにかく、ゴキゲンですから、是非聴いて下さい」

 と、カセットテープをまわした。

「ありっ、ありっ、ありがとう・・・」

「うーん」

「体が動いてくるんですよ」

「うーん」

 そのときは、ちょっと変ったサウンドのバンドだなあ、というぐらいにしか感じなかったのです、実は。

 ところが、そのテープをもらって何回も聴いているうちに、もはや、小生は完全な「りんけんミーハー」になっていたのでした。

 六甲アイランドの「風の劇場」でのりんけんバンドのライブは、会場総立ちの興奮の塊でした。小生と配偶者は最前列の古畳に座って聴いていたのですが、次第に体動促進的快音連続に耐え切れず、気がついたら汗みどろになって、皆と一緒に踊っていたのでした。

 ときどき日本語の入っているウチナーグチの歌詞、男衆ヴォーカル3人組の腰の座ったフリと声。ウチナーグチと言うのは、完全な外国語ですね、われわれヤマトンチューにとっては。「さどがー、さどがしーま・・・」と聞えた歌は、てっきり佐渡ケ島のことを歌ったものだと思っていたら、「里が里が志情ん」とまったく別物でした。ベース、ドラム、シンセサイザーという、ともすれば普通のロックバンドに堕してしまう組合せにピリッとした軽快感と沖縄の匂いを与えるサンシン(蛇皮線)。このサンシンを弾いているのが林賢さん。シンセサイザーの音も、この頃の妙に複雑なものではなく、いかにもシンセというシンプルなもの。リズムはあくまで単純明快の2拍子。熱帯的明るさの沖縄音階(インドネシアのペロッグ音階に似ている)。太極拳的制服のうえから極彩色着流しを羽織ったような舞台衣裳。そしてなによりも、小生を最高に痺れさせたのは、上原知子さん(林賢さんの配偶者/以下トモチャン)の、地声と裏声をたくみに使い分けたコブシの絶妙さ、あでやかな衣裳とみめ麗しさ。まるで弥勒菩薩なのです。ミロクさんに会った事はありませんが。踊っている間、目の焦点をあまりにトモチャンに集中していたら、隣で腰を振っている配偶者に肘を突かれた。

「何見てんのお、もおお。やだっー」

 配偶者は、来る12月、41歳になる。

「風の劇場」でのライブを聞いた後、四天王寺で開かれる「エスノポップ イン おおさか」のプログラムの相談のために来宅していた大阪JCの方々に、熱狂的にりんけんバンドを薦めたことは言うまでもありません。とにかく一度「りんけん体験」をしないことには始らないということで、大阪京橋のYANGでのライブに、ダークスーツ姿の大阪JCの方々をお誘いしたのでありました。JCの方々もたちまち彼等のサウンドに惚れ込み、すぐにでも出演交渉を始めたい意気込みとなりました。やはりトモチャンの人気は絶大でしたが、キーボードのツグミチャンの方がずっと好み、などと言う人もあらわれ、まるでミーハーになってしまったのでした。YANGのライブの第1部が終ってちょっと楽屋によりましたら、りんけんさんが、もう一つ盛り上がっていないようだから踊りまくってくださいよ、と盛り上げ促進活動要請がきました。最初は舞台のまん前で一人踊っていましたが次第にみなもつられて大ノリになりました。

「エスノポップ イン おおさか」での彼等のライブは、すごい人出で、やはりかなり盛り上がりました。小生は、既にマスターした「ありがとうダンス」をやっていましたが、途中で後の青年が突然Tシャツを小生の体からはぎ取り、上半身すっ裸のありさま。後でりんけんさんは、いやー、やってましたね、と言ってくれました。舞台からは結構観客を観察できるものなのです。ただ、トモチャンミーハーとしては、ちょっと彼女は疲れぎみかなあ、という感じで心配でしたが、相変らずの弥勒菩薩でした。

 映画「ウンタマギルー」を見たり、りんけんバンドの音楽を聞くと、まだ沖縄には土地に密着した生活や、沖縄独自の文化に対するプライドが人々に根付いていると感じられました。沖縄へは行った事がありませんので、軽々しくは言えないとは思いますが。しかし、現在の内地のロックの、非現実的な絵空言やうまいけれどもなにかしら浮き足だっているような、すべてがコピーのような白々しさは、りんけんバンドにはない。

 前の通信で、南アフリカの「アシナマリ」のメンバーとの打ち上げの感想として、南アの黒人たちはアシナマリ(俺たちには金がない)だが、日本人には金はあるけど歌がない、と書きました。この状況はそれほど変っていないと思いますが、りんけんバンドのようなグループが出てきた事は、ちょっと救われたような気がします。僕は、りんけんバンドのおかげでいっぺんに沖縄が身近なものになりました。また、内地、沖縄、そしてアジアにつながる線が見えたような気がします。

 皆様も、是非「りんけん体験」をしてみて下さい。1枚目のCD「ありがとう」に続いて第2弾のアルバムが今年の暮には出るそうです。

 ◎神戸発民族音楽CD◎

 前々から考えていた神戸発CDの1枚目がいよいよできました。この4月、ジーベックホールでオールナイトでやった「アジア・アフリカの音楽-風の建築」のスポンサー、建築家の天藤久雄さんが出資者です。内容は、シタールのアミット・ロイ、タブラーのアビジット・ベナルジーによるインド古典音楽。ダミーヘッドに埋め込んだマイクを使ったバイノーラル録音です。タイトルは「アミット・ロイ/銀の旋律」。

 1000枚と言う少数のプレスですので、制作費の比率が高く、かつ一般的にはマイナーな非西洋音楽ということもあって、経済的にとても採算の取れるものではありませんが、まあ、とんとんになればよいぐらいの気持でこれからも制作していく予定です。決意表明をCDの解説の中で書きましたので、そのまま転記します。

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OD-NETレーベルについて

 OD-NETは、オリエンタル・ディスク・ネットワークの略で、非西洋の音楽を中心にレコード制作出版を目的として1990年に設立されました。

 今日の日本の音楽状況は、クラシック(古典)と言うと即、西洋古典音楽を指すように、相変らず西洋音楽偏重であると言えます。巷に溢れる情報誌でも、インド古典音楽などのいわゆる民族音楽は、「ポピュラー」のジャンルに一括して押込まれています。我々の足元である日本やアジアのパフォーミングアーツが、普遍的な音楽表現や芸術表現の一つとして、未だに広く認知されていないことの証左です。

 OD-NETは、非西洋の優れた音楽を広く人々に紹介することで、こうした状況に対してささやかな抵抗としたいと考えています。

 また神戸は、中国人、朝鮮人、インド人などのアジアの人々が混在して住んでいると言う意味で、日本の都市の中でも独特の香りをもっています。ところが、国際都市神戸と自称しているものの、音楽文化に限定してみると、こうした都市の独自性が反映していないばかりか、アジアの音楽を、未だに「変ったもの」「珍しいもの」としてしか捉えられていないのが現状です。国際交流が、異なる国々の人々との、経済的のみならず文化的な交流を示すものであるならば、神戸は決して「アジアに開かれた国際都市」とは言い難い。OD-NETが、非西洋音楽のレコードをこの神戸から出版しようと考えたのは、こうした現状に変化を与えたかったからです。

 同時に、レコード制作を含む「音楽産業」は、圧倒的に東京を中心としている。交通通信手段がこれだけ高度に発達している今日、音楽文化が東京に集中することの必然性はなくなりつつあります。こうしたことも、神戸発CDを制作しようとした動機です。今後、ゆっくりとレコード製作を続けていくつもりですので、皆様の暖かいご支援をお願いします。

録音について

 このレコードは、ヘッド・レコーディング・システムを使い録音されています。この録音で使用されたマイクは、人体頭部模型の両耳の部分に埋め込まれています。ちょうど、演奏者の正面に座ってライブ演奏を聴いているような効果を出すために、このシステムを使用しています。インド古典音楽は、元来、室内音楽です。宮廷や寺院のような、よく反響する小空間で演奏されていた音の質を再現しよう、というのがそのねらいです。

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 今のところ、CDの取扱い店を開拓中です。現在、大阪ミナミの「ラングーン」東京の「白田商会」、名古屋の「ヴィーナトレーデスング」には既に置いています。また、東京、大阪の「WAVE」、名古屋YAMAHA、京都「JEUGIA」、神戸「SEIDEN」などにも取扱いを交渉中です。値段は\2,800。これからの演奏会の会場でも販売していく予定です。うれしいことに、スイスから既に注文があり、先日100枚発送しました。アメリカでも販売したいと準備中です。他の販売活動は、わたしの行商です。そのうち風呂敷き包を背負って伺うかもしれませんので、そのときは是非、購入御協力お願いします。

 ◎これまでの出来事◎

◆3月27日/帰国後最初の演奏/守口ヨガ・アソシエーション主催/守口市文化会館スタジオ

 関西の女タブラー士、山中浩子さんがスイスへ行ってしまったので、まったくのソロで約1時間演奏しました。主催者である竹島さんが以前から山中さんに演奏を頼んでいたものです。

◆4月7日/ガイア・コネクション・コンサート/京都会館大ホール/演奏者・ハリ・プラサド・チョウラシア(バーンスリー)、ハムザ・エル=ディン(ウード、タール、歌)、ジョン・海山・ネプチューン(尺八)、石田順二(バイオリン)、ボブ・バラツ(パーカッション)、逆瀬川健治(タブラー)、福原佐和子(十三弦)、ジョシュア・スマイロウィツ(ピアノ)、ゲリー・テグラー(サックス)、友枝良平(ヤンチン)、山田晴三(ベース)、チン・カム・ヨーク(舞踊)、中川博志(バーンスリー+タンブーラ)

 この演奏会は、「地球再創造」京都会議の一イベントとして開催されたものです。上の出演者をご覧になればお分かりのように、わたしの師、ハリジーもインドからやってきて演奏しました。実は、わたしがまだボンベイにいるとき、ハリジーに、ヒロシ、お前どう思う、行った方が良いか、と相談されていた催しでした。40分の演奏のみで早々と帰国してしまった小生の先生、ハリジーにはもっと本格的な演奏会でじっくり聞きたかった。

 てなわけで、この11月16日に神戸でやっていただくことになりました。詳しくは後述。

◆4月11日/ハムザ・エル=ディンコンサート/大谷大学講堂

 著書やCDで今年は大活躍のハムザさん。彼の人柄や、演奏に接していると、いつも勇気づけられます。彼の自伝「ナイルの流れのように」(筑摩書房・ちくまプリマーブックス)は、青少年向けの本ですが、彼の、まるで禅の境地でこれまで生きてきたような、たんたんとした語り口がなんともいえず、大推薦感動的良書だと思います。

◆4月21日~22日早朝/アジア・アフリカの音楽-風の建築/ジーベックホール/主催/天藤建築設計事務所/出演者/ハムザ・エル=ディン、アミット・ロイ(シタール)、プーリー・アナビアン(サントゥール)、逆瀬川健治(タブラー)、田中峰彦(タンブーラ)、中川博志(バーンスリー)

 初めてのオールナイトコンサートでした。企画したときは、いったい何人最後まで残るか、と心配しましたが、結局満員状態が朝まで続き、うれしい誤算でした。

◆4月26日/石踊紘一個展/難波・高島屋

◆5月6日/芋煮会/再度山河原

◆5月13日/ラジオ関西「母の日」トーク

◆5月18日深夜~19日未明/命と癒しのフェスティバル/主催/関西気功協会/芦屋・ロックガーデン大悲閣/出演/堀之内幸二(シタール)、AFA(アフリカン・ドラム)他

◆5月20日/命と癒しのフェスティバル/六甲アイランド風の劇場/りんけんバンド他

◆5月21日/コンピューターがいよいよ我が家に。貯金全部はたいて、かねがね欲しかったコンピューター、EPSON PC-286VFをついに購入しました。この通信はそれで書いています。どうせなら、と言う事で、80メガのハードディスク、プリンターも買ってしまいました。これで当分インド行きの資金作りに悩みそうです。マージャンゲームのソフトを人からもらったら、配偶者が病みつきになりましたが、最近あきてきたようです。

◆6月1日/インド舞踊/芦屋ルナホール

◆6月2日/映画「うんたまぎるー」/兵庫県民会館ホール

 まだ見てない人は是非見て下さい。なかなかのもんです。

◆6月3日/りんけんバンドライブ/大阪・京橋Yang

◆6月5日/サウンド・スカルプチャー/京都芸術短期大学/音響インスタレーション/ビル・フォンタナ

◆6月12日/ルーナー・クルーズ 高田みどり+佐藤允彦/ジーベック

 佐藤さんのたたずまいは、秀才ぼっちゃん風で、非常に頭の良い人、思索の人、と言う印象でした。この間、図書館で借りてきた彼のエッセイ「いつもライブは気分よく」を読みました。エッセイは、その秀才風とジャズミュージシャン的ズッコケが入り乱れ面白い。打ち上げでは、次の次の日に東京で大コンサートの予定があったのか、それほどノッていませんでしたが、エッセイから察するに、ノルためにはするどいボケないしツッコミの存在が必要なのかもしれません。

◆6月13日/高田みどりソロコンサート/大谷大学講堂

 高田みどりさんの全くのソロは初めて聞きました。素晴らしかった。みどりさんと神戸から京都にお連れする車中で話をすることができてシアワセでした。

◆6月22日/「人・音・空間 コンサート」第一回目、生明慶二レクチャーコンサート/ジーベック/

 生明(あざみ)さんは、ダルシマーやサントゥール、ヤンチンなどの演奏家です。学習院の先生でもありますが、音楽家として実に様々な体験の持主。若い男女が心中をする中国の部族の話は、もっと聞きたかった。

◆6月24日/エキサイティング・ガムラン+和太鼓/ガムラン:ダルマブダヤ/和太鼓/井上一路/ジーベック

 第2回目の「アジアの音楽シリーズ」でした。直前になって問い合せが殺到し、結局2回公演ということになりました。和太鼓の井上さんは、若い女性におおモテでした。

 このときのスポンサーは、なんとインドネシアの会社でした。出していただいた金額は、インドネシアの労働者の1年分の収入に匹敵するということ。インドネシアのことになるのであれば、と出資していただいたのです。スポンサーになることでの我が社のメリットはなんですか、と常に聞いてくる日本の企業とのなんたる違い。

◆6月30日/声明レクイエム/大阪フェスティバルホール

 100名の僧侶のよる声明が素晴らしかった。倍音が会場の天井に渦巻いていました。それにしても、バッハのマタイ受難曲と声明とのミスマッチが際立っていました。

◆7月10日/アミット・ロイシタールコンサート/大谷大学講堂

 700人収容の大講堂が一杯になりました。大谷大学のコンサートシリーズも定着してきたようです。

◆7月11日/アミット・ロイ+アビジット・ベナルジー レコーディング/ジーベック

◆7月19日/アミット・ロイシタールコンサート/北九州小倉・法華クラブ

 北九州では、インド料理店「カーシー」のオーナー、スダンシュ&由起子チャトゥルヴェディ夫妻に、頑張っていただきました。

◆7月21日/インド音楽オールナイトコンサート/徳島・観音寺/井上憲司/シタール、小沢陽子/インド舞踊、逆瀬川健治+吉見征樹/タブラー、中川博志/バーンスリー。

 猛烈に暑い夜でした。バーンスリーの歌口が汗で滑り、指はべとつき、血に飢えた蚊が猛攻するという条件の中、メンバー全員長時間とことん演奏しました。観音寺のオールナイトコンサートも定着してきたようです。武さん、御苦労様でした。

◆7月26日/アジア・太平洋芸術フォーラム/兵庫県公館

 ベトナムの人であり、パリ大学の教授、かつ高名な音楽学者チャン・バンケーと息子さんの演奏が、非常に印象的でした。◆7月28日/大阪・伽奈泥庵、29日/神戸・菩薩茶屋/尺八+バーンスリーライブ/尺八:ティム・ホフマン、タブラー:逆瀬川健治、バーンスリー:中川博志、タンブーラ:岸下しょうこ

 ティムさんは、インドの音楽大学の試験のとき、尺八でインド古典音楽を演奏したと言う不思議な人。アメリカ人が日本の尺八でインド音楽を演奏するのです。

◆8月10日/国際青少年フォーラム/神戸国際交流会館/

 ボーイスカウト世界ジャンボリーの一連の行事でした。小生はなんとパネラーの一人にさせられ、分科会をもたされたのです。適当に何言ってもいいから、と知合いのお坊さんにまんまと乗せられてしまったのです。会話がすべて英語、と聞かされかなり不安な面持ちで参加しましたが、案の定、しどろもどろのていたらくでした。ニュージーランドからの青年の早口英語がほぼ全く聞取れなかった。インド英語に馴れると、日常語として英語を使っている国の英語が聞取りにくくなるのか、あるいは、こちらのヒヤリング能力のせいか、まちがいなく後者に違いない。

◆8月11日/ロビン・セムゼイ一人芝居「ボーダーランド-ラビンドラナート・タゴール賛歌」/神戸・インディアン・ソーシャル・ソサイエティ

 田中峰彦さんサロード、小生のバーンスリー、神戸在住インド人、ラリタさんのブォーカルで音楽をつけました。ロビンはオーストラリアの俳優で、この一人芝居をもって世界中まわっているとのこと。ちゃんとした俳優のちゃんとした英語は分りやすいものです。前日フォーラムで失いかけていた自信をちょっと取戻しました。

◆8月18日/エスノポップ イン 大阪/大阪・四天王寺境内/ガムラン・ダルマブダヤ、インドネシア舞踊の高河原敦美、中国歌舞団、中国のアイドル歌手・ソンチン、岡林信康、韓国のテーグムの名手李生剛、彼のサムルノリグループ、中川博志インド音楽グループ、尺八のジョン・海山・ネプチューンのグループ、そして「りんけんバンド」

 この催しは、在日韓国人による「四天王寺ワッソ」の前夜祭として開かれたものです。主催は、大阪JC。主催者発表では、3万人の入場者があったそうです。

◆9月8日/天竺尺八/ジーベックホール/ティム・ホフマン:尺八、逆瀬川健治/タブラー、中川博志/バーンスリー、岸下しょうこ/タンブーラ

◆9月30日/郷土の森 インド音楽祭/東京・府中市・郷土の森博物館/中村仁/シタール、エスラージ、堀之内幸二/シタール、佐倉永治/サロード、的場裕子/ヴィーナ、中川博志/バーンスリー、逆瀬川健治/タブラー、龍聡/タブラー、吉見征樹/タブラー、今野綾子/タブラー、賀川純/シンセサイザー、F・バーバリッチ/ムリダンガム

 本来なら屋外で開かれる事になっていたのですが、台風のため当日は猛烈な嵐でした。久しぶりに、日本人インド音楽演奏愛好家の面々に会いました。また、10年ぶりぐらいで、高校の同級生今(こん)にあったり、ボンベイでいろいろごちそうになった商社員の池田さん、ナグプールに留学生として住んでいた竹内かおりさんにも会いました。

 その夜は、ベナレス時代からの友人、宮本さんちに泊めて貰いました。もうじき1歳になる暴君道人クンに、元アッシー仙人、麻里夫人ともども振り回され、まったく、子育ても大変なものだ、と感じた次第であります。

◆10月9日/北インドの文学の父、プレーム・チャンドの小説、「厳寒の夜」が、編訳者の坂田先生から届きました。発行は、日本アジア文学協会、発売は「めこん」、値段\2,060。北インドの庶民の生活の様子がよく分ります。興味のある方は、お買い求め下さい。

 ◎これからの出来事◎

◆10月20日/和歌山浄土宗青年会会合での演奏会/タブラー:吉見征樹、タンブーラ/松本泉美、バーンスリー/中川博志

◆10月24日/関西エルム会総会アトラクション/三井アーバンホテル

 関西エルム会と言うのは、北大同窓会です。同窓会などとは一切関わり無くこれまできましたが、たまたま小生が他の卒業生とは著しくカワッているとみなしたある先輩に、やれっ、と言われました。

◆11月1日/タイ王国伝統芸能 「ナン・ヤイ(影絵芝居)/新神戸オリエンタル劇場/主催:淡神文化財協会、アジア民族造形研究所、五色町、国際交流基金アセアン文化センター/出演者: 人形使い15名+楽器演奏者5名(タイの人間国宝もメンバーに入っている)

 インドの古代叙事詩「ラーマーヤナ」に基づいた物語を影絵で上演するというものです。宣伝不足が心配です。入場料は1,000円ですから、時間と興味のある人は是非おいでください。

◆11月9日/枚方ライブ/タブラーの吉見征樹さんと

◆11月10日/インド音楽ライブや象/大阪・アイル モレ コタ/シタール:田中峰彦、タブラー:吉見征樹、バーンスリー/中川博志

 恒例のライブですが、小生はここでやるのは初めてです。

◆11月16日PM9:30~17日AM5:30/アジアの音楽シリーズ第3回コンサート/「アジアのスーパーフルーティスト」/ジーベックホール/\4,000(前売\3,500)/電話予約・問い合せは当方まで/出演予定者/バーンスリー/ハリ・プラサド・チョウラシア、バーンスリー/ルーパク・クルカルニ、タブラー/アニンド・チャタルジー、笛子/劉宏軍+二胡+楊琴、ジョン・海山・ネプチューン/尺八+三味線+十七弦+十三弦

 この企画は、ずっと前から考えていまして、スポンサーを探していました。そのスポンサーの問題もようやくクリヤーすることができました。4月にジーベックホールで開催した「アジア・アフリカの音楽-風の建築」オールナイトコンサートを主催した建築家の天藤さんが、「おもろいやないか、やろか」の返事で決ったのでした。大企業にも、スポンサー協力要請のため随分まわったのですが、やはり「ウチのメリットは何ですか」の分厚い壁に阻まれたのです。企業は、文化に対しても短期的な投資効果の対象としてしか考えていないようで、先のインドネシアの会社のような粋な企業は日本にはいないのではないか。というよりむしろ、日本には投資対象として以外の芸術は不要であるかに見えます。悲しい事に。

 出演者の顔ぶれをご覧になれば、いずれも錚々たる第一人者ばかりで、かなり贅沢な演奏会です。小生の先生、ハリ・プラサド・チョウラシアは現在のインドでは最も著名なバーンスリー演奏家で、世界中にそのファンは多い。先生によれば、日本のプリンセスがファンだそうです。インドで、日本で演奏会を開きたいが、なかなかスポンサーが見つからない、と先生に話をしたとき、プリンセスに電話をしてみろ、と言われました。プリンセスとは、美智子さんのことのようです。そこまでは小生の力がおよばないので、とりあえず神戸だけでも一度演奏していただきたいとずっと思っていましたので、今回の演奏会の実現にこぎつけホッとしています。

 劉宏軍さんは、いわずとしれた中国笛の名手。また、ジョン・海山・ネプチューンは、アメリカ人ながら、日本の古典音楽にも造詣が深く、彼の尺八のファンは世界中にいます。秋の夜なが、ゆったりとアジアの笛に浸ってみませんか。


 ◎サマーチャール・パトゥルについて◎

 サマーチャルはニュース、パトゥルは手紙、という意味のヒンディー語です。個人メディアとしてこれから気がむいたときに発送していく予定です。よろしくお願いします。

編集発行発送人 中川博志/精神的協力者 中川久代
〒650 神戸市中央区港島中町3-1-50-515
電話&FAX 078(302)4040