めんこい通信2010年7月5日号

 蒸し暑い日々が続いています。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
 そうそう、携帯電話番号が変わりました。
 080-4231-6465
 ソフトバンクの携帯の人との通話はタダということです。

 先号で触れたゲゲゲの鬼太郎風睡眠不足学生に関して、一部の皆さんからいろいろとコメントを頂きました。彼はその後教室でときどき見かけましたので、ジュギョーに出るということは続けているようです。

まずは宣伝

■「50人で練習をする日。」
 とき/7月11日(日)14:00~16:00
 ところ/国立民族学博物館特別展示室地階
  http://www.minpaku.ac.jp/museum/information/access.html
 参加費:無料(自然文化園入場料が必要です)
 前回の通信で触れましたが、10月23日(土)本番の「1000人で音楽する日。」の第3回目の練習です。そのあと、ビールでも飲もうということになってます。
 演奏するのは、フィリピンの作曲家ホセ・マセダの「ウドロ・ウドロ」という作品。拍子木、簡単な竹の打楽器や笛、声を使った曲で、音楽家でなくとも誰でも演奏できます。
 以下、7月以降の予定です。時間、場所は同じです。興味がある、ぜひ参加したいという人はご一報下さい。大歓迎です。
8月22日(日)「100人で練習をする日。」
9月11日(土)「300人で練習をする日。」
10月11日(月・祝)「もうすぐ1000人で音楽をする日。」
 専用のウェブサイトもできました。
  http://www.1000ongaku.com/
 Twitterもあります。
  https://twitter.com/1000ongaku
 mixiもあります。
  http://mixi.jp/view_community.pl?id=5096518

■「奄美の島唄とインドの音楽」
 とき/7月17日(土)19:00-21:00
 ところ/CAP CLUB Q2、神戸
 ゲスト: 榮百々代(奄美島唄)/田中りこ: タブラー、石尾真穂: タンブーラー、HIROS: バーンスリー
 主催:C.A.P.
 ポートターミナルのCAP CLUB Q2で4回シリーズのコンサートが始まります。第1回目のゲストは、先日、全国民謡大会関西大会でグランプリに輝いた榮百々代さんです。暑い夏の夕べ、奄美の島唄とインドの音楽、そしてけっこうあやしいセッションを聴きませんか。まだまだ座席に余裕がありますので、みなさんぜひぜひおいで下さい。
 次回以降のラインナップ
 第2回目・・・9月18日(土)19:00-2100
 ゲスト: 福原左和子(ふくはらさわこ、筝)
 第3回目・・・11月13日(土)19:00-2100
 ゲスト: 石川利光(いしかわとしみつ、尺八)
 第4回目・・・12月18日(土)19:00-2100
 ゲスト: 森美和子(もりみわこ、篠笛)

脱ボーマンへの道はあるか

 ある朝、あまりに腹部膨満感がひどいので、近所のクリニックに行きました。
「いつもお腹が張ってものすごく不愉快なんですが」
「お通じは毎日ありますか」
「あります。でも、出した後にまだ3年分ほどんこが残っているような感じなんです。なので、どうしてもトイレの滞在時間が長くなります。読書にはいいのですが」
「うーん。そういう人は習慣になってるのかなあ。読書の習慣でそうなっているかもしれませんね。じゃあ、ちょっと見せて下さい」
「えっ」
「パンツを脱いでそこに横になって下さい。ちょっと指を入れます」
 若い看護婦が診察台にビニールを敷いた。その上に腰をのせ尻を突き出した。
医師はいきなりコーモンに指を入れ、ぐりぐりと回転させた。ぎゃー、痛い。
「はい、もういいですよ」
 スボンをはいて丸いイスに座りなおしたワダスに医師がいう。
「夜中になんべんもおしっこするということはありませんか」
「ありません」
「そうですか。前立腺が肥大していますよ。あなたの年齢になるとたいていそうですけど。生活に支障はないようですが、ガンになることもあるので気をつけたほうがええね。直腸付近は温かいのでちょっと炎症を起こしているかもしれませんね。レントゲンを撮ってもらいます」
 ワダスの腹部を撮影したレントゲン写真を指していう。
「ほほう、ほら、黒くなってるでしょ。ここは大腸です。ガスがたまってるんです。膨満感はそのせいでもあるんでしょうな。あした、朝一番に来て下さい。念のため、もう一度レントゲン撮ってみますから」
 白髪の混じる短い髪を73に分けた小太りの医師が、深く腰掛けたイスを机からワダスへ回転させてこういった。白衣の膝の部分から線の入った黒いズボンと灰色地に銀色の線の入ったウォーキングシューズが見えた。ちょっと日焼けした顔の表情がなんとなくごつい。むりに威厳を作っているようにも見える。50代だろうか。
「ガスがたまるというのはなにか原因があるんですか」
「空気を飲み込むんやね、知らず知らずに。わりと神経過敏な人に多いです。自律神経のバランスがちょっと乱れていると。食事のときに食べ物と一緒に飲み込んだりします」
「それって、呑気症(どんきしょう)のことですか」
「そうねえ。そういう場合もあります。ま、明日、また来て下さい」
 翌日、9時2分前にクリニックを訪れた。すでに待合室には老人たちが待っていた。待合室から見える検査室には、左手で点滴の袋をもってうろうろしている老人もいた。ほどなくして名前が呼ばれ、レントゲン室に案内された。前日と同じように、白衣にジーンズにスニーカーという服装の背の高い青年が淡々とX線写真を撮影し、現像用のマシンに印画紙を放り込んだ。2分もしないうちに出てきた黒いフィルムは若い看護婦から医師に手渡された。
「中川さん」
 呼ばれて医師の前に坐ったワダスに医師がいった。
「今日はガスはないみたいですね。ほら、ここんとこが白いでしょう。ただ、まだベンが残っているようです」
「はあ。で、どうしたらいいんでしょうか」
「そうねえ。漢方薬を出しますから、それでしばらく様子をみましょうか。便秘に処方する漢方薬です」
 こんな、腹が張ったくらいで来るなんて、といっているような軽い抑揚で告げた。前日の初診のときは、さあ、頑張るぞというような積極的な意思があるように見えただけに、ああ、また相手にしてもらえなかったと落胆した。同じ島内の中央市民病院の医師も、同じマンションの1階のクリニックの医師も、トアロードの若い医師も同じだった。もっと深刻な患者の応対に忙しいのに、腹が張ってるというだけの人を相手にするヒマはない、という感じなのだ。
 だれも、この、比重の重い気体の詰まった風船がお腹ぜんたいを圧迫するような苦しみを理解する、あるいは、しようとする医師はいないのか。真の原因をつきとめ、この苦しみを解放するためにいっしょに頑張りましょう、といってくれる医師はいないのか。今回のクリニック訪問によって、ワダスのボーマンカン解消を真剣に試みようとする医師は世の中には金輪際いないのではないかと絶望的になるのでありました。ふと、鍼灸をしている友人にメールすると返事が返ってきた。若い女性だ。
「腹部膨満感は、鍼でよくなるかも…とヒロスさんの腹を狙ってマス」
 というわけで、週2回のジュギョーの終わった今月末ぐらいから、針を刺されるかもしれません。ちと怖いけど。

これまでの出来事

 月火のジュギョー、神戸新聞の随想連載、レッスン、リハーサル以外の出来事が以下。

■5月15日(土)「10人で練習をする日。」
 ピクニックの模様がYouTubeで公開されています。
 http://www.1000ongaku.com/?p=41
 また6月12日の記事は以下。
 http://www.1000ongaku.com/?p=4

■5月21日(金)/インド音楽修行コンサート/CAP CLUB Q2、神戸/井上想:インド古典声楽、中川祐児: サーランギー、松本晃祐: タブラー、HIROS: ナビゲーター
 井上想君と中川祐児君に現地での生活や修行の様子などを聞きました。井上君は「月ですか。そうですね。2000円です。生活費は。はははは」と屈託がない。
 二人とも素晴らしい演奏でした。さらなる修行の成果がますます楽しみです。

■5月22日(土)/ガムランエイド・マンディ・サマサマ/アート・セント、大阪/北区天神橋7-13-14「天神橋温泉」/UDLOT-UDLOTワークショップ他
 廃業した銭湯の建物である「アート・セント」で、ゆるゆるとしたセッションでした。ワダスは、終わってそのまま関空へ向かい、10時半の便でイスタンブールに飛びました。

■5月23日(日) International Mystic Art Festival/ Aya Irini Museum、Istanbul/七聲会: 聲明、HIROS: マネジメント/5月27日帰国
 たった4日間のイスタンブール滞在でした。1000人以上の聴衆の反応はとても熱狂的で温かいものでした。現地ではたまたま別のイベントで出演したおおたか静流さんと合流して音楽学校を訪問したり、トルコ風呂に入ったり、グランド・バザールへ行ったり、楽器屋へ行ったりとなかなかに忙しい日々でした。楽器屋ではネイという立笛を購入したので、練習しているところです。その日記を今書きつづっているところです。そのうちウェブにアップします。

■6月3日(木)神戸夙川学院大学特別授業/インドの音楽/田中りこ: タブラー、石尾真穂: タンブーラー、HIROS: バーンスリーと解説
 上の階からロックバンドやブラスバンドの練習の音が降り注ぐなどがありましたが、参加した30名ほどの学生は意外と熱心に聞いてくれました。鼻笛に興味をもち民族音楽研究会を立ち上げるという学生がいたり、バーンスリーをテーマにした卒論を書きたいなどという学生が現れたりしました。

■6月20日(日)下田バンドコンサート/CAP CLUB Q2、神戸
 CAPのディレクターの下田展久さんのひさびさのライブでした。ギター、ヴァイオリン、アコーディオンという編成。彼は実はたいへんなソングライターなんです。
 
■6月23日(水)森すみれ引っ越し祝い宴会/参加者/石尾真穂、ラム・マハルジャン、長谷川二朗、HIROS、森すみれ
 ラム・マハルジャンというのは、最近になってワダスからバーンスリーを習いはじめたネパール人青年です。とても楽天的で日本語でジョークを連発するほどの生真面目な男です。

■6月28日(月)/京町家セッション/堺町画廊/福原左和子: 筝、田中りこ: タブラー、HIROS: バーンスリー
 ひさびさの堺町画廊ライブでした。その夜の京都はものすごい湿気と高温。バーンスリーの表面がねばつくほどでした。福原左和子さんの筝が素晴らしかった。尺八の代わりにバーンスリーで「春の海」の一部と、最後はへんちくりんなmidare modokiで筝とセッションしました。福原左和子さんの即興はけっこう激しくかっこいい。

この間に読んだ本

 横になったり狭小個室でだらだらと読んだ本は以下。毎日なんやかんやの用事があったり、ワールドカップがあったり、ウィンブルドンがあったりで、読書量は少なめでありました。
『密閉都市のトリニティ』(鳥羽森、講談社、2010)・・・現役の京大教授が書いたSFのような不思議な小説。書き手のものすごい才気を感じさせます。
『ブラックホールを見つけた男』(アーサー・I・ミラー/阪本芳久訳、草思社、2009)・・・インド人ノーベル物理学賞受賞者チャンドシェーカルの人生を中心とした科学ノンフィクション。天才数学者のラマヌジャンもそうでしたが、普遍的な科学の世界では本来ありえない欧米人の偏見と差別が生々しい。
『宇宙から恐怖がやってくる!』(フィリップ・プレイト/斉藤隆央訳、NHK出版、2010)・・・際物ではなく、ちゃんとした怖い科学ノンフィクションです。
『ガラスの家』(プラムディア・アナンタ・トゥール/押川典昭訳、めこん、2007)・・・これでプラムディアによるミンケの物語6冊読んだことになります。最後の4作は流刑地ブル島で記憶だけで書かれたというから驚きです。
『1Q84』(全3巻/村上春樹、新潮社、2010)・・・それぞれ厚さほぼ3cmの全3巻はかなり長いが、読んだ感覚ではそう長くない。ただ、どう解釈したらいいか。ものすごく面白い世界にひたりきったという感じがどうにも、薄い。
『天皇とアメリカ』(吉見俊哉+テッサ・モーリス・スズキ、集英社新書、2010)・・・天皇は近代でアメリカは宗教という指摘はするどい。
『宗教としてのバブル』(島田裕巳/ソフトバンク新書、2006)・・・80年代のバブルを宗教としてとらえるということだが、なんとなくおおざっぱな印象。
『20歳のときに知っておきたかったこと』(ティナ・シーリグ/高遠裕子訳、阪急コミュニケーションズ、2010)・・・中味は起業家精神をどう養うかといったもので、タイトルと一致しない。スタンフォード大学で何を教えるかがちょっと分かったという意味では収穫だったが。
『動的平衡』(福岡伸一、木楽舎、2009)・・・分子生物学から哲学へという感じです。世界は「行く川の流れは絶えずしてしかも元の水にあらず」ということ。ライアル・ワトソンの『エレファントム』と『ホール・ホッグ』を読みたくなった。

これからの出来事(2010年7月11日~)

 今月で、毎週月曜日、火曜日のジュギョーから解放されるのでやれやれです。とはいえ、20日の最後のジュギョーを終えると直ちに採点作業。約600名のレポート読みが憂鬱です。そして、ふたたび絶対的ヒマヒマ状況へと突入なのです。

■「 7月11日(日)「50人で練習をする日。」
8月22日(日)「100人で練習をする日。」
9月11日(土)「300人で練習をする日。」
10月11日(月・祝)「もうすぐ1000人で音楽をする日。」
時間:14:00~16:00
場所:国立民族学博物館特別展示室地階
  http://www.minpaku.ac.jp/museum/information/access.html
参加費:無料(自然文化園入場料が必要です)

■「奄美の島唄とインドの音楽」
 とき/7月17日(土)19:00-21:00
 ところ/CAP CLUB Q2、神戸
 ゲスト:榮百々代(奄美島唄)/田中りこ: タブラー、石尾真穂: タンブーラー、HIROS: バーンスリー
 主催:C.A.P.
 http://www.cap-kobe.com/club_q2/2010/06/11181846.html

■8月27日(金)14:00~/小学校音楽鑑賞教材収録/千駄ヶ谷ビクタースタジオ、東京/クル・ブーシャン・バールガヴァ: タブラー、金海千恵: タンブーラー、HIROS: バーンスリー
 ひさびさの江戸です。バーンスリーという楽器を紹介するたった3分間のコーナーの録画のためです。江戸でついでに何かをと考えていますがどうなることか。江戸に住むサム・ベネットが「なんかやろうぜ」と連絡してくれましたが。

■9月17日(金)/国際霊長類学会総会/京都/七聲会: 聲明、HIROS: 企画コーディネイト