めんこい通信2010年9月15日号

 猛烈な熱波攻勢がようやくおさまり、徐々にしのぎやすい秋に向かいつつあります。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

まずは宣伝

■「日本の筝とインドの笛」 
 とき/9月18日(土)19:00-21:00 
 ところ/CAP CLUB Q2、神戸 
 ゲスト: 福原左和子(ふくはらさわこ、筝)/田中りこ: タブラー、石尾真穂: タンブーラー、HIROS: バーンスリー 
 主催・問い合わせ: C.A.P.  
    http://www.cap-kobe.com/club_q2/ 
 ポートターミナルのCAP CLUB Q2で4回シリーズの第2回目となるコンサートです。あじーよー、とのたうっているうちに気がつけばもう3日後。先日、京都の福原左和子さん宅でリハーサルをしてきました。これまでにない上品かつ激烈かつまったりとした日印音楽たっぷりです。筝とタブラーとの相性も素晴らしいです。まだまだ座席に余裕がありますので、みなさんぜひぜひおいで下さい。 
 次回以降のラインナップ 
 第3回目・・・11月13日(土)19:00-2100 
 ゲスト: 石川利光(いしかわとしみつ、尺八) 
 第4回目・・・12月18日(土)19:00-2100 
 ゲスト: 森美和子(もりみわこ、篠笛)

脱ボーマンへの道その後

 あまりありがたくはないけど四六時中身辺にまとわりつき、まるで生来の親友のような態度で馴れ馴れしくワダスを苦しめるボーマンに迅速に離縁状をつきつけようとの絶望的な試みが続いています。 
 ボーマンよ、ええかげんにせんかい、と言い続けていたら、「ヒロスさんの腹を狙ってマス」とオルタナティブ・メディシンを業とする若くて魅力的な女性が現れたことは、前回の通信でも触れました。ヒンディー語で「星」を意味するお名前のターラさん。そのターラさんに狙われたワダスは、いろんなところにブチブチと針を刺されることに恐れはありましたが、わずかなチクッでボーマンに去ってもらえるならと、4回の鍼灸治療を施してもらいました。まず結果を申し述べますと、残念ながらボーマンの圧勝でした。 
 第1回目は、ターラさんに我が家までわざわざおいでいただいて敢行。 
「今日は最初ということなので、鍼治療導入編です。軽めにやります。腹這いになって背中を出して下さい。痛かったら言って下さい」 
 最初の数本が刺されたことはもちろん感じましたが、むしろ心地よいほどで痛みもない。なあーんだ、鍼というのはこんなもんなんだ、と安心して身を委ねていると、いきなり電気が走ったように鈍い痛みが走った。注射針が侵入してきたときのような痛みでした。「うっ」と表明すると「あっ、ちょっと痛かったですかねえ」とターラさんは平然と次のポイントを狙う。背中と首筋の数点でこのような異物侵入感と心地よいとはいえないわずかな痛みを感じた以外は大丈夫でした。彼女がどんなふうにして鍼を刺しているのか観察できないのはもどかしいが、なにしろ若い女性にいろいろいじられるのは好ましい。最も感動したのは、仰向けになったときに腹部に当てられたピンポイントお灸でした。小さな熱源を感じたと思ったらその熱がお腹全体に広がり、実に心地よいのです。こうして「軽め」の第1回が終わりましたが、「最初だから軽め」という表明には、2回目以降は「ややきつめ」「きつめ」「ぐっときつめ」「痛覚失神一歩手前のきつめ」へと進行していくのだとも予想される。とはいえボーマン退去のためには覚悟をしなければならないのでした。 
 次の治療は、神戸高校に近いターラさんの住居兼治療所で行われました。古い文化住宅の1階でした。広くはない室内は無駄なくすっきり整理されていて、ターラさんの性格を表しているようでした。6畳の治療室の真ん中に上下可動式頭穴抜きベッドが、手術台のような趣でたたずんでいました。このベッドは、治療者の体力消費軽減と適切なポイントへのアプローチには最適なのです。このような治療台を備えているのを見たワダスは、ターラさんが経験の積んだプロであることを再確信したのでありました。CDプレーヤーからは軽いジャズ風のピアノの音が流れていました。 
「いろいろ試してみます」 
 こう宣言したターラさんは、鍼の攻撃範囲を前回よりも拡張し、ほぼ全身のツボをくまなく刺激する。頭のてっぺんというのもありました。4ううっくらいで、痛感としては「ややきつめ」。腸内の蠕動運動を促進するため自律神経網を攻めた感じでした。 
 こんな感じで合計4回、鍼治療を受けたのでした。鍼灸治療師の知り合いも何人かいたり、オルタナティブ・メディシンに関する本を読んだりして、それなりになんとなく知っていたつもりでしたが、実際に受けてみると、知識で想像していたのとはやはり違います。 
 今回の結果はボーマンの勝利かのように見えます。不規則食事、運動不足、喫煙など、長年の悪習の堆積がボーマンを呼び寄せたと思われるので、たった4回の鍼灸治療で解消されることはないのでありましょう。悪習撤退と併用しつつ長期間かけてボーマンとの友人関係をやがて絶つしかないようです。あるいは生涯の友になるのかなあ。

これまでの出来事

 二つのガッコウ合計で600名のレポートを読んで採点するという苦行の後は、レッスンとか打ち合わせとかはあるものの、ヒッマーな夏休みでした。それにしても暑かったですね。

■「1000人で音楽をする日。」ピクニック/国立民族学博物館特別展示室地階、大阪/14:00~16:00/7月11日(日)、8月22日(日)、9月11日(土) 
「100人で・・・」「150人で・・・」「300人で・・・」という願望で音遊びのピクニックを行いましたが、実際はなかなか願望通りにはいかず、人集めというのは難しいものです。とはいえ、これまでに延べ300人くらいの参加がありました。本番にどれだけの人が集まるか。

■「奄美の島唄とインドの音楽」/7月17日(土)19:00-21:00/CAP CLUB Q2、神戸 
 ゲスト: 榮百々代(奄美島唄)、名田五月(お囃子)/田中りこ: タブラー、石尾真穂: タンブーラー、HIROS: バーンスリー/主催: C.A.P. 
 思いの他多くのお客さんにも恵まれ、よいコンサートでした。日本民謡大会の関西大会総合優勝の百々代さんの唄もとてもよかったけど、途中で踊り出した奄美のお客さんパワーはやはりすごい。最後のセッションは盛り上がりました。またやりたい。 
http://www.cap-kobe.com/club_q2/2010/07/19154404.html

■Zamba来宅/8月2日(月) 
 Zambaとは、マダガスカルのミュージシャンです。国際交流基金の招きで来日したついでに日本のミュージシャンにも会いたいということで、基金の長島さん、フランス語通訳の窪さんとともに我が家にやってきたのでした。竹筒に弦を張ったヴァリハという楽器を始めて見ました。にわかセッションなんかもあり、とても楽しいひとときでありました。

■8月27日(金)14:00~/小学校音楽鑑賞教材収録/千駄ヶ谷ビクタースタジオ、東京/クル・ブーシャン・バールガヴァ: タブラー、金海千恵: タンブーラー、HIROS: バーンスリー 
 ひさびさの江戸でした。3分の映像を4回収録して1時間で終わりました。その後は大東文化大の井上貴子さんと新宿に出ておしゃべり。ついで仙川のKick Back Cafeで、その日泊めてもらうことになっていたサム・ベネットの参加するライブにちょこっと乱入しました。このときのミュージシャンの顔ぶれとすべて「打ち合わせなし」の即興演奏がすごかった。笛の渡辺薫さん、チェロの坂本弘道さん、タップ・ダンスのタマンゴ、そしてパーカッション・声のサム・ベネットでした。 
 その日はサムの住む鴬谷のアパートに泊まり、翌日はちょこっと録音したりカレーを作ったりしたのち、神戸に帰りました。

この間に読んだ本

 横になったり狭小個室でだらだらと読んだ本は以下。 
『エレファントム』(ライアル・ワトソン/福岡伸一・高橋紀子訳、木楽舎、2009)/
『ルリボシカミキリの青』(福岡伸一、文芸春秋、2010)/『生命と食』(福岡伸一、岩波ブックレット、2010)/『宗教で読む戦国時代』(神田千里、講談社選書メチエ、2010)/『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』(許光俊、ポプラ社、2010)/『地図のない道』(再読/須賀敦子、新潮文庫、2009)/『後藤正治ノンフィクション集第4巻』(後藤正治、ブレーンセンター、2010)/『多読術』(松岡正剛、ちくまプリマー新書、2009)/『悲しき南回帰線』(再読/レヴィ=ストロース/室淳介訳、講談社学術文庫、1985)/『モリー先生との火曜日』(ミッチ・アルボム/別宮貞徳訳、NHK出版、2004)/『加藤周一戦後を語る』(加藤周一、かもがわ出版、2009)/『カムイ伝講義』(田中優子、小学館、2008)/『ためらいの倫理学』(内田樹著、角川文庫、2001)『新宿鮫』(大沢在昌、光文社文庫、1997)/『ヴェルサイユの密謀』(C・ケルデラン+F・メイエール/平岡敦訳、新潮文庫、2010)/『銃・病原菌・鉄』上下(ジャレド・ダイアモンド/倉骨彰訳、草思社、2000)

これからの出来事(2010年9月17日~)

 長く暑苦しくかつ絶対ヒマヒマ状況から、毎週月曜日に京都のガッコウでジュギョーがあったり、レッスンがあったりと、ちと忙し状況になりますが、基本的には、やはり、ヒマなのでした。

■9月17日(金)/国際霊長類学会総会/ホテル平安の森京都、京都/七聲会:聲明、HIROS: 企画・コーディネイト 
 京都でたまにライブをする堺町画廊の伏原さんのダンナ様からの依頼で、七聲会の公演をします。ダンナ様というのは、なんと国際霊長類学会会長のゴリラ博士こと山極寿一さん。世界中の霊長類学者が集まる大イベントのバンケットの余興として出演します。400頭の霊長類が9頭の仏教装束を着けた霊長類の声の音楽を鑑賞する日は、もう明後日です。

■9月18日(土)/「インドと日本の音楽」2/CAP CLUB Q2、神戸/ゲスト: 福原左和子(筝)/田中りこ: タブラー、石尾真穂: タンブーラー、HIROS: バーンスリー

■9月19日(日)17:45~/プルバヤン・チャタジー・コンサート/知恩寺、京都/プルバヤン・チャタジー: シタール、アヌブラタ・チャタジー: タブラー、石尾真穂: タンブーラー/問い合わせ:080-3117-4098 ujp369@gmail.com 
 インド人若手シタール奏者とタブラー奏者のコンサートです。ワダスは二人の両親と面識はあるのですが、もうムスコの時代に入りつつあるんですね。二人ともものすごいテクニシャンだと聞いているので楽しみです。バーンスリーを習っている石尾さんが前日に引き続きタンブーラーを弾くことになっています。

■9月24日(金)/白内障手術前検査+「1000人で音楽をする日。」打ち合わせ 
 4月から進めている「1000人で音楽をする日。」の本番も後ひと月に迫ってきました。当日の備品、人の動きなど、詰めておくべきことが山のようにあるのでした。

■10月4日(月)/白内障手術/神戸市民病院 
 ついに、生まれてから一度も経験のない手術というものを受けることになりました。右目で見る世界が白濁しているという状況に終止符が打たれるわけです。ほとんどの人が「大したことない」と言うのですが、やはり、シリツというのはコワイ。この道の経験者の先輩である橋本健治さんから下記のような不気味なメールを送られてきたので、よけい怖くなってきた。 
「最初に目横深くにグサーと麻酔注射がコワイ。スヅツ中は痛くないが、局部麻酔なので手術中に流れているだろう音楽がコワイかも・・・スヅツ後アルミの眼帯した自分の顔がコワイ。眼帯はずした真っ赤な目をみるとコワイ。プラスツックが体に入ったことがコワイ。それに頼っているズブンがコワイ。レンズが硝子体に落っこちるとコワイので、硝子体の皮一枚残しておいて小さな穴をレーザーで開けるのだが、インターンにやられると失敗するのではないかとコワイ。ルイス・ブュニエル映画の目にカミソリが入る画像がフラッシュバックしてコワイ。」

■10月6日(水)19:00-/ミュージック・カフェ「1000人で音楽をする日。」/アトリエビーワン(http://artarea-b1.jp/)、京阪電車なにわ橋駅/定員30名 
「1000人で音楽をする日。」の関連イベントです。91年にホセ・マセダの「ウドロ・ウドロ」日本初演を京都で画策した中川真さんによるホセ・マセダの思想に関する基調講演の後、制作実行委員会のメンバーである小島剛さんとワダスの鼎談、簡単なワークショップなどがプログラムです。

■10月9日(土)14:00/ウドロ・ウドロ・ワークショップ/大庄南公民館、大阪/指導: HIROS 
 長年の友人である中島康治さんからの「うっとこの町内会が本番にも参加するので指導してほしい」という依頼で引き受けました。「町内会」というのがなんとなく新鮮です。

■10月11日(月)/「もうすぐ1000人で音楽をする日。」/万博記念公園自然文化園お祭り広場、大阪 
 4月から月に1回行ってきたウドロ・ウドロ・ピクニックの最終回。23日の本番に近い形で演奏します。これまで参加機会のなく、本番は参加したいと思っている方はぜひおいで下さい。

■10月16日(土)13:00~14:30/連続講座「世界の民族音楽を学ぶ」/佛教大学四条センター、京都/HIROS: バーンスリー演奏+レクチャー、松本晃佑: タブラー 
 http://www.bukkyo-u.ac.jp/BUSEC/ 
 一般向けのインド音楽鑑賞講座です。京都方面の方で興味のおありの方はいらした下さい。

■10月23日(土)13:00~/「1000人で音楽をする日。」/万博公園お祭り広場、大阪/詳細→http://www.1000ongaku.com/

■11月13日(土)/「インドと日本の音楽」3/CAP CLUB Q2、神戸/ゲスト:石川利光(尺八)/田中りこ: タブラー、石尾真穂: タンブーラー、HIROS: バーンスリー