めんこい通信2012年2月9日号

 ええ、バーンスリーのHIROSです。
 この通信はBCCでお送りしています。皆さまの生活向上にはまず役に立たないと確信していますが、ふとお時間のあいたときにでも一読下されば幸いです。こういう無益なメールは不要だという方はお知らせ下さい。
 もうじき大災害が起きて1年になりつつありまして、まったく時間の経つのは速いものです。この冬は例年になく寒さが厳しいようで、世界各地で震え上がっているようでありますが、皆様はいかがお過ごしですか。
 この時期、ここ2年はインドへ旅に出ていましたが、今年は神戸でほぼ冬眠です。
 1月23日に後期最後のジュギョーとレポート採点が終わり、義務的なシゴトがまったくない日々です。
 こういうシゴトもなにもなく、とりたてて差し迫った不安もなく、とりあえずは毎日メシにありつける状況は、生物としてはいわば極楽なわけですが、ひたひたと迫ってくる老化とかテーシューニューとか、ほぼ毎日消費するテレビの映画やニュースの退屈さとか、頼んでもいない「ちんちんおっきくしよう」「バイアグラ大バーゲン」「性欲処理に悩む独り身の若い女性はいかが」といった内容の大量のメールをせっせと削除するむなしさとか、自分はだんだん社会から必要とされないようになっているのではないかという想念がときおり頭をもたげるとか、あれほどの災害と絶望感をもたらしている原発をいまだに推進しようとする人たちの救いがたい愚かさとか、ほぼ毎日ネットで聞く小出助教の深い絶望感をともなった解説とか、ますます短距離想像的なごまかしだらけのおぞましい政治とか、こうしたもろもろは十代から二十代に感じていたはずのなんとなく「明るい」未来像からは何光年も離れているわけでありますが、しかしなによりも早く去ってほしいと願うのはやはりボーマン君なのでありました。起きた後の定例手続き摂取である半リットルほどのコーヒーと最低3本のタバコは排泄のトリガーなんですが、それがトリガーとして機能するのは起きてから2時間ほどの狭い時間帯に限られることがもう経験から分かっているにもかかわらず、排泄してからもますます傲慢にも居座り続けるボーマン君のせいで、時間外でもまた機能してくれるのではないかという期待を押さえきれず、あるいは根本的にはそれが原因なのではないかとうすうすと感じているにもかかわらず、ベロの苦さをこらえてさらにタバコを吸うという悪循環から逃れられない。この寒い季節でも裸足で毎日ビールもどき6缶を順調に消費しつつ、まったく同じものを食べながらボーマンとは無縁な配偶者にはもちろん、普通のカイベン生活を送っていらっしゃるであろう世の人々には想像できないクノーというかオルハン・パムク風のヒュズン(憂愁)とでもいうものから逃げようともがくのですが、それもせいぜいぼやきに近く同居人の同情を乞うことでしかなく解決にはつながらないことは理解しつつ「あーあ、くっるしい」と日に何度も嘆息するのでありました。明日の朝苦しくなることが予想されるのでなるべく食べないでおこうと心に誓うものの、いったん何かを口に入れるとさらに食欲がいや増し、そうして体内に取り込んだ食物は分解されてゲル状になってゆるゆると腸内を移動し、おそらく長い小腸か大腸のどこかで滞在を決め込むものだから、排泄せよという信号である腹部全体の膨張感と実際の排出信号の齟齬をきたしふたたび「あーあ、くっるしい」となるのです。便意というのは自分の意志つまり脳の皮質系とは独立した奥深くにある自律神経によるらしいのですが、どこかに自律神経を他律神経に変えるようなクスリはないものか。あるいは親指と人差し指でぐにゃぐにゃの腸をつまんでしごいて排出されるべき内容物をチューブ入りわさびのように外部から強制的に移動させることはできないものか、などと夢想するような日々は、シリアの反政府デモでバタバタと殺される人々とか、空腹を押さえて「ショーグンサマ」と涙ながらに叫ぶ人々とか、原発と大震災と大雪で大変な生活を強いられている人々に比べれば、ま、平安というか、やっぱり、極楽と呼ぶべきなんでしょうね。

これまでの出来事

 前回の通信を発行してから絶対的ヒマヒマ状況が続いたので暇つぶしにホームページのデザインを一新しました。最新バージョンのAdobe DreanweaverCS 5.5が手に入ったからです。CSSやらHTMLやらJavaやら、ややこしい手続きがいっぱいあってかなり時間がかかりました。もしお時間と御意志がおありでしたらのぞいてみてください。以前よりもずっと見やすくなったと思います。
 天楽企画<http://sound.jp/tengaku/>
 七聲会<http://shichiseikai.com/>
 七聲会WEBでは2010年イスタンブール、2011年ドイツ公演のビデオも掲載しました。
 
■11月23日(水)10:30〜16:30/てあての学校・秋/京都市生涯学習センター山科、HIROS:バーンスリー
 最近購入してかなり気に入っているFoxlスピーカーを見せびらかしたら、主催者の気功協会の天野さんもさっそく購入していてびっくり。
■12月2日(金)17:00/鵜鳥神楽
 岩手の被災地が本拠地で活動の場を失ってしまった鵜鳥神楽が神戸の長田神社であるというので見に行きました。鵜鳥神楽の関西公演には大阪市大の友人の中川真さんやダンスボックスの大谷さんがかかわっていました。主催者の大谷さんはじめ、ジャワ舞踊の佐久間さん、前日の大阪公演の主催者である真さん、林公子さん、なんと江戸から中村伸さんなどなど、見知った顔も少なくなかった。
 鵜鳥神楽は、全体としては田舎の鄙びた芸能というよりもずっとレベルが高かった。最初は退屈に思えましたが、笛、太鼓、チャッパの囃子を聴いているうちに不思議な、夢のような安定した退屈さが心地よかった。
■12月5日(月)大谷大学
 授業の一環として七聲会の河合真人さんをゲストに迎えて恒例の聲明ワークショップでした。学生は200名ほどいるのに、みな小さな声でぼそぼそと聲明を歌っていました。
■12月6日(火)/井上クリニック
 健康診断でした。で、血液検査結果を見た医師は、ここらで炭水化物と糖分を控えないと高脂血症とかトーニョービョーまっしぐらですなどと脅すので、以降、ご飯、パスタ、うどん、ケーキ、まんじゅう、ビール、日本酒、ワインなど、好んで摂食していたすべてを制限し今日まで至っています。「たまにはいいかあ」はたまにはありますが。
■12月14日(水)、15日(木)/レッスン
■12月23日(金)/CAPクリスマス
 いつもながら大にぎわいの楽しいクリスマスでした。
■12月24日(土)/麻雀/曽我了二、幸田庄二、中川家
 で、世間のクリスマス・イヴなどてんで関係なく、ワダスを麻雀の「師匠」と勝手に呼ぶ曽我さんとしゃんポン待ちの好きな建築家幸田さんの二人のオッサンたちと平和に麻雀。なんでもかんでも鳴いてしまう曽我さんは鳴かなくなれば強くなれるのにといってもやはり鳴いてマイナスになってしまうのでありました。
■1月1日(日)/駒井家新年宴会
 例年は大晦日から西明石の久代さんの実家に泊まって元旦はおせちをいただくというコースですが、今年は老両親もしんどくなったので、近くに住む義弟の駒井家で新年宴会でした。
■1月3日(火)/植松家定例麻雀/植松奎二、榎忠、島末、宮垣晋作
 同じマンションに住む若い女性の強姦事件現場に遭遇し加害者の男を取り押さえようとして逆襲され3ヶ月入院を余儀なくされたというまだ痛々しい島末さんの話で盛り上がりました。男は39歳、前科六犯だったという。「見ないふりをするのも難しいけどなあ」とワダスを含む他3名つぶやく。
■1月8日(日)/駒井仁史・若野とき美結婚式/太閤園、大阪
 甥で獣医師の仁史君の親族のみの結婚式でした。お相手は我が家にも遊びにきたことのある介護士のかわいいとき実さん。華々しい演出など一切ない結婚式でした。それでももうじき90歳の義父と82歳の義母は長時間の宴会にくたびれていました。
■1月11日レッスン
■1月20日(金)/神戸短足友の会新年宴会/酒心館、神戸/榎忠、植松奎二+信子、曽我了二、幸田庄二、橋本健治+例子、杉岡真紀子、岡田淳+由起子
 短足友の会は神戸で最も古い友人たちの集まる会です。当然ですが、みんなだんだん年寄りになってきてます。
■1月21日(土)/ポータブル・コンチェルト/ジーベック、神戸/Ross Carey:ピアノ、中島久美:ヴァイオリン+ヴィオラ、片岡祐介+駿田千佳+薮公美子:打楽器、野村誠:鍵盤ハーモニカ
 野村誠さんと近藤浩平さんの企画。作曲家たちはいろんな面白い実験をやっているものです。なかなかに楽しいかつ演奏レベルの高いコンサートでありました。
■1月23日(月)/大谷大学後期授業+誕生宴会@山科
 最後のジュギョーで学生に書かせた200枚のレポートを担いで山科の奥山宅にお呼ばれでした。ワダスの62回目の生誕記念日ということで、奥山夫妻はなんとふぐづくしの大ごちそうを用意していたのでした。てっさ、焼きフグ、てっちり。焼酎をかなり飲みけっこう酔っぱらいつつ奥山宅泊。
■1月28日(土)/麻雀/曽我了二、幸田庄二、中川家
 相変わらず鳴きまくる曽我さんでした。そのときの敗北がよほど悔しかったのか、その後、裏表びっしりと字で埋められたはがきを送ってきました。
■2月3日(金)/レッスン
■2月6日(月)誕生宴会/中川宅、神戸/下田展久+雅子、大野裕子、森信子
 下田雅子さんとワダスが1月23日、大野裕子さんが2月3日と比較的時期の重なっている3人の誕生日を名目にだらだらと宴会。このメンバーは10年来変わっていません。よく飲んでよく食べました。翌日はあまりに膨満感が激しくてわが浅ましい飲食欲を呪うのでありました。

この間に読んだ本

『エッジエフェクト 福岡伸一対談集』(福岡伸一、朝日新聞出版、2010)
『脳のなかの幽霊、ふたたび』(V.S.ラマチャンドラン/山下篤子訳、角川文庫、2011)
『アダムの呪い』(ブライアン・サイクス/大野晶子訳、ソニー・マガジンズ、2004)
『生命の意味論』(多田富雄、新潮社、1997)
『トルコで私も考えた』(高橋由佳利、集英社、1996)
『音楽嗜好 脳神経科医と音楽に憑かれた人々』(オリヴァー・サックス/大田直子訳、早川書房、2010)・・・音楽とは何かを考えさせられます。
『イヴと七人の娘たち』(ブライアン・サイクス/大野晶子訳、ヴィレッジブックス、2006)・・・人間はしょせん遺伝子を伝える容器です。ちなみに、日本人の9割以上は9人の母親にいきつくということです。
『妻を帽子とまちがえた男』(オリヴァー・サックス/高見幸郎+金沢泰子訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫、2009)・・・まったくもって変な病気のオンパレード。
『日本の原発、どこで間違えたのか』(内橋克人、朝日新聞出版、2011)
『信仰の視座』(星宮智光、澪標、2011)
『恐怖の存在』上下(マイクル・クライトン/酒井昭伸訳、ハヤカワ・ノヴェルズ、2005)・・・途中まで読み進んでからずっと前にすでに読んでいたことが判明。忘却力のなせるわざです。
『イスタンブール』(オルハン・パムク/和久井路子訳、藤原書店、2007)・・・今シーズン読書のナンバーワンでした。
『「歌」を語る』(ダニエル・J・レヴィティン/山形浩生訳、P-Vine Books、2010)
『黄金比はすべてを美しくするか』(マリオ・リヴィオ/斎藤隆央訳、早川書房、2012)・・・黄金律というのも面白いのですが、人間にとって数学の美しさとは何かを考えさせられます。
『科学と人間の不協和音』(池内了、角川oneテーマ21、2012)・・・科学は文明ではなく文化であるべし、という。「必要は発明の母」が「発明は必要の母」になってしまったという表現に納得。
『原発を終わらせる』(石橋克彦編、岩波新書、2011)・・・特に政治家、行政家、御用学者、原発によって利益を得ている人々に読んでほしい。

これからの出来事

 4月の新学期までほぼ何もありません。3月にインドから友人夫妻が訪ねてくる予定なのでわずかな変化はありますが。