めんこい通信2012年10月23日号

 ええ、バーンスリーのHIROSです。
 この通信はBCCでお送りしています。皆さまの生活向上にはまず役に立たないと確信していますが、ふとお時間のあいたときにでも一読下されば幸いです。こういう無益なメールは不要だという方はお知らせ下さい。
 もう完璧に芋煮会の季節となりましたが、皆さんはいかがお過ごしですか。

■まずは宣伝
11月1日(木)13:00ころから/十夜法要/百万遍知恩寺、京都/七聲会他知恩寺式衆会:聲明、室優哉:タブラー、HIROS:バーンスリー/入場無料
 これは知恩寺の法要ですが、約1時間のワダスの演奏もあります。法要では、七聲会メンバーも含まれる知恩寺式衆会による聲明があります。ほとんど海外でしか公演活動を行っていない七聲会の聲明をぜひ味わっていただきたいと思います。誰でも参加できますのでご興味とお時間のおありの方は足を運んでください。
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 世界は変化し続けています。世論を恐れて30年代原発ゼロと口先だけ宣言しつつアメリカやらフランスやらケーダンレンやらの原発維持願望有力者からせっつかれて大間原発工事の認可しちゃうもんねの民主党政権、シリア、アフガン、EU経済危機、米大統領選、尖閣諸島やら竹島モンダイ、反日デモ、沖縄米兵の暴行、尼崎のおっかないおばはん角田某、復興予算のとても理解しがたい用途、iPhone5、野田ソーリの近いうち解散、山中教授ノーベル賞関連騒ぎ、ハシシタと週刊朝日などなど、願望と願望の対立や岸田秀のいう内的自己と外的自己の分裂状態がほとんどの理由で毎日毎日なにかしらが発生し、どんどん忘れられて行きます。
 しかし、ワダスと配偶者をとりまく状況は、じわじわと確実に年を重ねることも含め、ミクロン単位とでもいえるほどのゆっくりした変化なのでありました。
 われわれは、ある程度仕方のないことかもしれませんが、ある事象を観察する際、個別に解釈することよりもどうしてもその事象をとりまく要素をまとめてばさっと判断する傾向があります。A型の知り合いが何人かいるということだけで人の性格を一般化して「やっぱりA型だよな」とか、思いつく数人の行動や思考パターンの似た傾向をもって「この世代の特徴は・・・」と同じ世代がほとんどそうかのように類推し、個別の中国人や韓国人やインド人やアメリカ人を知ることなく「中国人は、韓国人は、インド人は、アメリカ人は・・・」とばっさりと単純化して判断し発言する。これを「ばさっと発言」と勝手に命名しました。ワダスはいわゆる原子力村といわれる人たちには個人的な知り合いはいないし、自閉的共同体の見本のような東京電力社員にも知り合いはいないし、復興予算と銘打っててんで関係のない事業に予算を振り分けた官僚当事者にも一人として個人的な知り合いはいない。にもかかわらず「うーむ。彼らはどう見てもけしからん」などとばさっと思っている。ものすごい情報量のある個別の事象を、それに比較したらずっと少ない情報の取捨選択と編集を通して、なんとか組み立てた全体の事象の理解が一人一人の世界観になっているわけで、避けられないプロセスではありますが。で、年を取って経験が増えてくると、それまで単純だと思っていたものが実際はとてもややこしく簡単にばさっとはいえないことに気がつくわけで、そういう事象が数多くあるという認識ができるなら、ま、大人だといえます。ばさっと発言はなるべく避けようとすこしは自戒しそれなりに大人だと思い込んでいるワダスは(なにしろもう60代)、最近はからだだけ大人の精神的幼児的傾向のはなはだしい人々が多くなったのではないか、とばさっと思うのであります。われわれの社会全体が幼児化の傾向にあるのではないか。子供というのはちょっとしたことで喧嘩したり仲良くなったりする。しかし、この傾向を社会とか国家がもつとなるとひどいことになる。一度も見たこのない魚釣島やら竹島やら歯舞島やら色丹島やらの小さい島々の領有権をめぐる発言などについて「朝まで生テレビ」やニュースなんかをぼやっと眺めていると、「すべての責任は日本にある」と堂々と申し述べる粋なメガネをかけた中国政府報道官も、日本車の屋根を踏んづけている中国人青年も、他人の発言を遮ってまで発言しようとする日本の政治家、学者、評論家たちも、どうにも幼児に見えて仕方がない。ばさっと発言のオンパレードである。などとばさっと思う今日この頃なのでした。

===これまでの出来事===

 前期ジュギョーと採点の後は、まじでなあーんもない夏休みでした。あじーなー、とつぶやきつつ、寝転がって本を読んだり、だらだらとテレビを見たり、たまに練習したり、レッスンしたりのヒマな日々。

■8月4日(土)/ピザ釜完成記念ピザ宴会/CAP山荘、神戸
 耐火煉瓦でピザ釜を作るなとどいうのがCAPでいきなりはやり出し、完成になった。場所は急斜面の最上壇に建つ江見さん実家を見上げる空き地で、CAP山荘と命名された。塚脇さんのかっこいい鉄製扉もつけられた釜は本格的なものでした。当日は具の種類も豊富なピザをしこたま食べました。参加者はCAPのメンバーを中心に30名ほど。折しも港では花火大会。モヒートのほろ酔い気分で見る花火は格別でありました。

■8月21日(火)/たまご宴会/コトコト・ダイニング、大阪/参加:中川真、小林江美、HIROS
 たまごこと中川真さんが「おごったる」というので、内田はるみさんの上品おでんと焼酎で、バリ芸能のエミーこと小林江美さんとまったりとした時間を過ごしたのでした。

■8月24日(金)~8月27日(月)/山形
 山科居候先の奥山隆生、雅子夫妻と久しぶりに山形へ行ってきました。予定では配偶者も同行することになっていましたが、直前に眼のヘルペスにかかったためキャンセル。配偶者とワダスは深夜バスと青春18切符で山形へ行くことにしていました。しかし一人になったので奥山夫妻と同様に新幹線で。実家のあった赤湯の旅館「滝波」に泊まり、久しぶりに温泉につかりました。米沢牛しゃぶしゃぶ付き夕食もゴージャス。夕食後は散歩がてら、長井高校の同級生、神尾君のやっている居酒屋「陣八」で丸なすの漬け物で軽くいっぱい。
 翌日は旅館名物の餅つき大会朝食。旧知の須藤社長がワダスにハッピと杵を手渡したので数回杵をふりました。つきたての餅はうまい。隆生さんはあんこ、ずんだ、きなこの甘い餅をことのほか気に入りおかわりでした。
 須藤さん自慢のボルボで赤湯駅まで乗せてもらい、そこで予約していたレンタカーで、ワダスの卒業した吉野中学校が消滅したのを見つつまず生地の小滝へ。両親の墓を掃除したり水をかけて洗ったりした後、ワダス一押しの小滝そば「ゆかりや」でランチ。月山を抜けて鶴岡にある旧知の漆山永吉さんのそば屋「大松庵」へ。車中の雅子さんは安眠でした。一服して由良温泉の民宿「石川」に荷物をおいて再び「大松庵」。実はこの日「大松庵」で4時からワダスのミニライブの予定だったのです。
 約90分のしゃべりと演奏。
 ライブを終えて民宿へ。橋でつながった三角錐の白山島と日本海が見える部屋でした。魚づくしの夕食後、3人で真っ暗な小島に渡り散歩。
 次の日は朝食後、加茂水族館でクラゲ見物、「出羽の雪」の渡會本店資料館見学を終えて再び「大松庵」。絶品のそばランチ後、再び月山を抜けて中山町に住むワダスの叔父宅でお茶を飲む。
 薄暗くなってきた山道を走り、丹野こんにゃく楢下宿こんにゃく番所へ。カーナビの指示で着いたところには何もなく、たまたま居合わせた人に聞くと「あーあ、これで今日は3人目。カーナビが間違ってる」とのこと。さらに途中で道を聞き探し当てたら、閉店でした。通用口から強引に入って、各種こんにゃく製品を購入し、赤湯の滝波に戻る。長井高校の同級生の高橋敏幸君と連れ立って「龍上海」へ行き、ワダスがつねづね世界一といっている赤湯ラーメンを食べるのでした。隆生さんの反応はいまいちでしたが、雅子さんは「うまいうまい」と2回申し述べられました。
 翌日は大餅つき朝食。今度は隆生さんが指名され杵をふるいました。
 レンタカーを早めに返して赤湯駅から新幹線に乗り江戸を素通りして無事帰宅しました。

■9月1日(土)/短足麻雀/曽我了二、幸田庄二
 配偶者大勝のため中川家損失なし。

■9月5日(水)/ポートアイランド病院
 腹部膨満がひどいので、かつての中央市民病院、現在はポートアイランド病院へ行ってみました。50代の医師はお腹をなでなでして「きれいなお腹です。どこも腫れたとかもないし。念のため、CTとりましょうか」。ま、ついでなのでCTをとってもらいました。生まれて初めてです。で、写真に小さくて白いものが数カ所にありました。カルシウムとかのミネラル系の結晶化したものです。それを気にした医師は「前立腺にあるのは気になる。血液検査で癌マーカーを調べよう」という。結果は0.4とかでガンではなかった。

■9月24日(月)/後期授業開始/大谷大学

■10月6日(土)/デザイン・クリエイティブセンター神戸オープニング、トヨダヒトシvisual diary レポート/KIITO、CAPCLUB Q2、神戸
 旧生糸検査所の大きなビルが「デザイン・クリエイティブセンター神戸」となってリニューアル。CAPも3階のスペースを借りて何かすることになったのですが、この日は築山君らがスリット・バーを開店したのでビールを飲みにいきました。
 ほろ酔い加減で今度は歩いて近くのQ2へ。トヨダヒトシさんのスライドショーを見ました。なんでもない日常の風景のスライドが静かに映される不思議な作品でした。

■10月17日(水)/水都大阪フェス2012水辺キャラバン/中之島、大阪
 中川真さん経由で依頼され、オープンエアで動きながら笛を吹くことになっていました。いましたと書いたのは、笛は吹かないで帰ってきたのです。ワダスがちょうど会場の中之島に着く直前、強い雨警報が出てたらしく、本部のテントに到着したとたんイベント全体が中止になったことを知ったのでした。去年の島根の「庭火祭」、ギャラリー島田でのライブと、数少ない演奏が風雨によって取りやめになるのが続くのでありました。何か人知を超えた重大な理由があるのかも知れません。

■10月19日(金)/Acte Kobeライブ/旧グッゲンハイム邸、神戸/バール・フィリップス:コントラバス、久田舜一郎:小鼓、齋藤徹:コントラバス、稲田:コントラバス、森本アリ:音具他
 フランス在住のコントラバス奏者かつ元アクト・コウベ・フランス代表のバールが久しぶりに来日したのを機にアクト・コウベのメンバーやゲストたちとセッションでした。ちゃんとした公演というよりは、だらだらパフォーマンス・パーティーといった趣。場所は塩屋の旧グッゲンハイム邸。ワダスは例によってカレー隊長兼笛吹きでした。
 今年78歳になるバールに会うのは8年ぶり。2004年にプロヴァンスの彼の家にしばらく居候をしたり、二人でデュオを組み南仏ミニ・ライブ・ツアーをして以来でした。外見はそれほどの変化は見られませんでしたが、しゃべるとやはり年を感じさせます。しかし、セッションの間合いの取り方と演奏は素晴らしかった。彼は、そこにいるだけで人をほわんとさせるオーラを出しているのでした。バールのように年取りたいというのがワダスの目標です。3兄弟なのだというバール、車いすの乾千恵ちゃん、齋藤徹さんの娘の真妃さんが記念写真を撮ってました。
 久しぶりにActe Kobeのメンバーに会い、幸せな気分になりました。参加したメンバーは、石上和也、岩淵拓郎、川崎義博、北川真智子、佐久間新、白井廣美、杉山知子、下田展久、角正之、歳森勲、中島康治、HACO、東野健一、HIROS、森信子、龍神悦子、メンバーではないが展久配偶者の雅子さん。お客さんにも昔からの知り合いが多かった。水田さん、和田さん、島田さん、松原君などなど。
 数人の仲間と帰りの電車に乗込むとき、ひろみさんがワダスにいった。
「あれ、ヒロッサン。楽器はどないしたん」
 会場のピアノの上に置き忘れていたのでした。あーあ、楽器をを忘れるとは。

■10月20日(土)/アステアステ イン コウベ2012/CAPCLUB Q2、神戸/
野口昌彦(シタール)+池田絢子(タブラー)、平川麦(サロード)+上坂 朋也(タブラー)、すずきなお(ボーカル)+カネコテツヤ(パカーワジ)、東野健一(ポトア)、gumi(バーンスリー)+吉田元(タブラー)、木村倫朗(シタール)+松本こうすけ(タブラー)、根岸フミエ(ボーカル)+室優哉(タブラ)、石濱匡雄(シタール)+中尾幸介(タブラー)、Sagar(サロード)+カネコテツヤ(パカーワジ)、南澤靖浩(スルバハール・シタール)+Ashwini Kumar mishra(タブラー)
 根岸さんの演奏開始のとき睡魔に襲われ、その後の演奏は断念して帰宅。5時過ぎから12時までのほぼ6時間だけ聴きました。若い人たちはみな素晴らしく、われわれが始めた頃とは隔世の感があります。リズム感覚の良さがとくに印象的です。池田絢子さんと上坂朋也さんのタブラーはとてもシャープで印象に残りました。木村倫朗さんのシタールの音色は魅力的でした。みんな、あとちょっと修行に励めばインドの聴衆も納得する演奏家になれそうです。
 東野さんも相変わらず元気でええおっちゃんぶりでした。

===この間に読んだ本===
『街場の教育論』(内田樹、ミシマ社、2008)
『子供の眼』再読(リチャード・ノース・パターソン、新潮社、2000)
『いじわるな遺伝子』(テリー・バーナム+ジェイ・フェラン、NHK出版、2002)
『旅する遺伝子』(スペンサー・ウェルズ、英治出版、2008)
『印象派を巡る旅ガイド』(メディア・ファクトリー編/中川久代他訳、2012)
『宇宙を織りなすもの』上下(ブライアン・グリーン、草思社、2009)
『ブラックアウト』上下(マルク・エルスベルグ、角川文庫、2012)
『地球46億年全史』(リチャード・フォーティ、草思社、2009)
『ヒトはいつから人間になったか』(リチャード・リーキー、草思社、1996)
『なぜオスとメスがあるのか』(リチャード・ミコッド、新潮選書、1997)
『民主主義のあとに生き残るものは』(アルンダティ・ロイ、岩波書店、2012)
『僧兵=祈りと暴力の力』(衣川仁、講談社選書メチエ、2010)
『戦後史の正体』(孫崎享、創元社、2012)
『ボーン・レガシー』上中下(ロバート・ラドラム、ゴマ文庫、2009)
『ロスト・シンボル』上中下(ダン・ブラウン、角川文庫、2012)
『踊る物理学者たち』(ゲーリー・ズーカフ、青土社、1992)
『インドの僧院生活』(グレゴリー・ショペン、春秋社、2000)
『無縁社会』(NHK「無縁社会プロジェクト」取材班、文芸春秋、2010)
『鳥の仏教』(中沢新一、新潮文庫、2011)
『「おじさん」的思考』再読(内田樹、角川文庫、2011)
『古希の雑考』再再読(岸田秀、文春文庫、2007)

===これからの出来事===
 毎週月曜日に京都へ行くとか、たまあのレッスンとか以外ほとんどヒマ状態です。

■11月1日(木)13:00ころから/十夜法要/百万遍知恩寺、京都/七聲会他知恩寺式衆会:聲明、室優哉:タブラー、HIROS:バーンスリー/入場無料

■12月16日(日)/堺市文化団体連絡協議会25周年記念事業/堺市民会館大ホール、大阪/柳田紀美子(東インド古典舞踊=オリッシィ)、田中峰彦(シタール)、田中りこ(タブラー)、HIROS(バーンスリー)