めんこい通信2014年10月30日号

  ふと気がつけばもう秋深し。いかがおすごしですか。
 8月、9月のなあーんもない日々は一瞬のうちに過ぎ去ってしまったように思えます。ワダスと配偶者周辺にとりたてて重大な異変もなく、ただただ時間は確実に進んでいるかに見えます。いっぽう、相変わらず世間はなかなかに慌ただしい。
 広島の台風被害、御嶽山噴火、イスラーム国、スコットランド独立選挙、香港、ウクライナ、パレスティナ、じわじわと広がるエボラウイルス、うちわだ、ワインだ、SMバーだなどセージカたちのなんともみみっちく哀しく高潔とは程遠いフショージの数々、じんわり効いてきた消費税、ノーベル賞などなど。
 そうこうしている間の原発事故処理がどうなってるのかの報道はほとんどなく、ひところ盛り上がった集団的自衛権も特定秘密保護法もどんどん忘れられつつあるように見え、忘れた頃を見計らったかのようにアベチャン周辺はますます怪しい動きをし始めているように思える日々。本来はそれで十分にまかなうという理想の元に進められた再生エネルギー買取制度は既存企業の存続と利益と意図的とも言える設計の不備のために骨抜きされつつあるらしいが、再生エネルギー発電というのはそんな企業の短期的利益にとってむしろ迷惑だということなのね。こうしたことも含めた、世界中で起きているいろんな出来事の一部をぼやっと眺めていると、つくづく人間というのは至近距離的想像力しかない動物なのだと思えてくるのでした。
 最近読んだ本でとても面白かったのは『モラル・アニマル』。進化心理学なんていう学問領域があることを初めて知りました。進化心理学とは、簡単に言えば、人間関係にまつわる愛、憎しみ、悲しみ、喜びといった感情や社会のあり方の根源を、自然淘汰や家族淘汰、集団淘汰によって説明しようとする学問。
 どんな生物も、自己の遺伝子をいかに次世代に伝えていくかに突き動かれ、環境の変化に対応して進化してきた。ワダスが「きみい、ビール飲みすぎだべえ」と酒臭い息に文句を申し述べる、隣の寝返った配偶者との出会いから現在までのあらゆるプロセスも、個人の人生の物語というよりも、何百世代も続いてワダスという個体にたどり着いた遺伝子の命令に突き動かされながら次世代共同生産対象探索の結果であると。浮気するんじゃないかと気をもむのも、配偶者以外の女性に魅力を感じるのも、友人ができたりするのも、社会的地位を気にしたり、優越感や劣等感を抱いたりするのも、偶然や無意識的選択ではなく、実は存続の有利性のみを冷酷に「願望」するHIROS遺伝子の仕業なのかもしれないという。
 遺伝子そのものは個体を個体ならしめる情報を格納するモノであり、それ自身がなにか意思をもっているわけではないのですが、地球上に生命現象が発生してから延々とコピーされ中川博志という個体を数十年間動かすわけです。もしワダスが子供を作れば、配偶者のものと混ざった情報がさらに次世代へと受け継がれていくと。進化心理学によればあらゆる人間の思考や行動は進化と自然淘汰の帰結らしく、なんとなく納得できるような気もしますが、ともすれば身も蓋もない決定論に陥る可能性もあります。こうした議論が正しいのだとすれば、社会学やら文化人類学やら心理学やら哲学やらは無意味になってしまう。
 その議論は荒っぽすぎる、誕生後の行動まで全部遺伝子に書かれてあるわけではなく、「本能」といわれるほとんどの行動は環境によって決まるんじゃないの、と主張するのが、次に読んだ『本能はどこまで本能か』という本でした。これもなかなかに面白い。
 ワダスの膨満感も禁煙できない意思の弱さも忘却力の増大も、遺伝子やワダスの初期的生育環境によって決まっているんだったらしゃあーないと思うべきか、すべては意思と努力によって解決可能だと思うべきか。どっちなんだろうかと思いつつ、柿ピーをほうばり、MONDO TVの麻雀名人戦なんかを寝転んで見るワダスと配偶者なのでありました。

===とりあえず宣伝===

 もはや2日後と3日後のものもありますが、ワダスも演奏します。お時間と御意思のおありの方はいらしてください。

■11月1日(土)/十夜法要/百万遍知恩寺、京都/室優哉:タブラー、HIROS:バーンスリー
http://hyakusan.jp/?p=335

■11月2日(日)6:30pm~/本田あつこ個展関連HIROSライブ「月と夜」/アンタイル、神戸/田中りこ:タブラー、HIROS:バーンスリー
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=461091094028917&set=gm.753614608019346&type=1&theater

■11月30日(日)13:00開演/CAP音楽祭「CAPおんせん(音泉)3」/CAP CLUB Q2、神戸/出演者:石上和也(ノイズ)、岩本象一(パーカッション)、上坂朋也(タブラー)、Cana(ダンス)、金子鉄心(イーリアンパイプス)、児嶋佐織(テルミン)、小島剛(ラップトップ&バンジョー)、佐久間新(ジャワ舞踊)、シモダノブヒサ(ギター、Eベース)、中尾幸介(タブラー)、中村好伸(ギター)、祝丸(和太鼓)、HACO(電子楽器、声)、 藤澤バヤン(タブラー)、堀部潔(音響)、松本こうすけ(タブラー)、宮本玲(バイオリン)、丁健史(ダンス)、丁友美子(クラリネット)/HIROS(バーンスリー):企画・構成・カレー調理

http://www.cap-kobe.com/club_q2/2014/11/30141043.html#more

 いろんなジャンルの音楽をタブラーで接着して音の温泉状態にすればどうなるか、こんなアイデアで始まったこのCAPおんせんも今回で最終回です。なぜ最終回かというと、CAP STUDIO Q2が来年からCAPの手を離れるからです。CAP自体も若い世代を中心としてちょっとずつ変わりつつあり、その一環ということもあります。
 というわけでいよいよ最後です。1回、2回と、集客はいまいちでしたが、参加ミュージシャンたちの間では非常に盛り上がりました。今回の最後のプログラムでは聴衆も参加して大団円を迎える計画です。ミュージシャンもお客さんも、温泉(音泉)の湯船に浸ったり、体を洗ったり、背伸び体操をしたり、入場チケット代わりの風呂桶たたいたり、声を出したりして、CAPおんせんを楽しみませんか。

===これまでの出来事===

■7月22日(火)/パスカル+アルベルト宿泊
 マルセイユに住むパスカルとモントリオールに住むアルベルト夫妻が、前日の愛媛から翌日からの熊野古道への途中にわが家に一泊しました。
 四国から神戸に着いた夫妻は、ブッチーこと岩淵君と三宮周辺をぶらぶらしたあと、この日ジュギョーのあった瀬田から戻ったワダスと合流し、高架下の中華料理店「天一軒」でミニ宴会でした。この日参加したのは、ブッチー、中島さん、森ちゃん。
 パスカルが今回来日したのは、横浜で開かれた医療人類学会に参加するためでした。フランスの大学教授の給料はむっちゃ安いとか、中島さんの息子がモントリオールのアルベルトの家に訪ねてきたとか、娘だったはずが最近息子になった話などなどで盛り上がったのでした。
 で、夫妻はワダスと一緒に、ヘルペスで右目付近が腫れ上がった久代さんに迎えられてわが家の客となり一泊し、翌日、熊野古道へと向かうのでありました。

■7月24日(木)/たまご宴会/『ごま屋ちゅう兵衛』、大阪梅田/参加者:中川真、小林江美、HIROS
 前週の江美さん主宰のギータ・クンチャナ公演のことなどを話題にごま料理と焼酎の宴会。真さんの「ボーナスが入ったからおごったる」というのも大変喜ばしかった。

■7月31日(木)/超限定同窓会/会津、三宮/参加、奥山隆生、湊隆、HIROS、矢尾眞
 東京に住む矢尾さんが京都出張というので、超限定にわか同窓会が三宮で行われることになりました。会場は、神戸市役所に勤めていたころたびだひ利用したという湊の薦めで「会津」。三宮駅近くのビルの4階にある、昭和40年代的雰囲気の居酒屋でした。福島会津出身という店主を含め3人いた女性はみな70代かひょっとすると80代と思われます。完全お任せコースで一人5000円くらいだったので決して安い店ではない。
 さて、大学卒業以来(と自分では思っていたが途中に会っていたらしいことが後で判明)、ヤオの名前は、記憶に残っていたし、安藤や奥山さんの話に同じ衛生工学科の同窓生としてたびたび登場していたので、ドウソウセイとしてそういう名前の人間がいたという認識はありました。しかし、体型、表情、語り口の記憶を喚起しようとしても何も浮かばない。
「封鎖していた図書館の屋上で空を見上げ雷を眺めていたとき、こいつは(つまりワダス)、なんかふわっとした男だと思った」
「まったく同じときに新宿で逮捕された。志村警察署だった。植垣がいた。練馬鑑別所も同じだった」
「フォークソング研究会だった。中島みゆきも知っている」
 ときどき黒の混じる灰色の髪、ポッチャリといってもいい中肉中背の体型と顔の矢尾が語る。図書館、新宿、志村警察署、上垣、鑑別所、北24条のジャズバー「アイラー」といったキーワードは、ワダスには体験を伴っていてリアルなのだが、その体験をヤオも共有しているという話がどうにも実感を伴わない。彼は確信をもって語っているわけなので、きっとそうだったに違いない。しかし、ワダスの記憶貯蔵庫をいろいろと探索してみるものの、やはりヤオは登場しない。彼のワダスとの関係を示す話を聞けば聞くほど、ワダスの大学生初期の体験記憶に、なにかしら大きな空白があるらしいということが分かってくる。特に教養部を2年間休学し、東京でバイトしたあと外国に旅行に行くまでの体験記憶、特に人間関係に関しての記憶に自信がない。
 同じ年齢の他者の体験記憶もワダスと同じように空白や欠落があるのか、それともワダスだけがそうなのか。
 ともあれ、穴だらけの学生時代の記憶と目の前の現実の話題が往来する宴会は、いつにない酩酊も重なりなかなかに楽しかった。

■8月2日(土)/反町真理子さん一家と再会/Amanto、大阪中崎町
 フィリピンのバギオに住む反町さんから「フィリピンでワークショップを指導するためにCAPのマスダマキコさんを紹介してほしい」というメールが来たのがきっかけで、その日関空から帰国するという真理子さん、長男アラシ、次男ビリク、長女キカと14年ぶりに再会しました。マスダさんは時期的に無理で、かわりに依頼に応じた高濱浩子さんが初めて反町さんと対面するその場に立ち会うのが目的でした。場所は、シタールの石濱君に呼ばれて演奏したことがある、古い民家を改造したAmanto。なかなかに男っぷりのいいオーナーの舞踊家Amantoが反町さんのバギオでのプロジェクトに参加したことがあり、知り合いだというのも理由です。
 ワダスがバギオまで行って反町さんの子供たちに初めて会ったのは2000年です。その年、かつてのミュージシャンの夫、アーネル、その弟のエドガーを含め一家で来日し、ワークショップをしてもらったり、十津川村で川遊びをしたのを覚えています。そのころのことは下記参照。
http://sound.jp/tengaku/Essay/Phillipine.html
 当時、アラシはムチャクチャに活動的な小学低学年でした。その後、エドガーの不法滞在その他いろいろあったのですが、反町さんは3人の子供を育て上げ、アーネルの出身部族であるルソン島山岳部族のための活動をされていて、つくづく頼もしい女性です。
 精悍で剽軽な、アーネルによく似たアラシ、寡黙でゲームに熱中するビリク、バレーを習っているというほっそりとしたキカ、昔から「どんとこい」的頼もしさの反町さん、高濱さんと、梅田の紀伊国屋前で記念撮影をして別れたのでありました。
 後日、高濱さんから「11月にフィリピンへ行くことになりました」とメールをもらいました。タフな旅行だと思いますが、元気で行ってきてください。

■8月2日(土)/みなとこうべ海上花火大会
 山奥の豊能町から花火大会を見にやってきた佐久間新、ウィヤンタリ夫妻が突如わが家をやってきました。佐久間君は相変わらずいろんなところに出没している様子で、ウィヤンタリも以前にも増して風格貫禄光線を放射していました。

■8月4日(月)/Pryal Satheデモンストレーション/京都教育大学/Pryal Sathe:ヒンドゥスターニー声楽、、ナカガワユウジ:サーランギー、中尾幸介:タブラー、田中多佳子:解説
 インド人の若い女性大学院生、プリヤル・サテさん(以下ぴゆ)が、ワダスのプネーでのレクチャーがきっかけの一つとなり日本に留学してきました。現在、京都教育大の田中多佳子さんの元で博士論文のためのリサーチをしています。
 プネーで初めて会ったとき「わたしは日本の演歌を歌っています」と流暢な日本語で自己紹介をしたのにも驚きましたが、その後、日テレの「のど自慢ザワールド」に出演し、審査員をうならせるほどの歌唱力を披露したのにはたまげました。自身は正統なインド古典声楽家なので、いってみればバイミュージカルを体現しているといえます。
 せっかく来日しているのだからと、そのぴゆの古典声楽を聴く会が京教大でありました。たまたま来日していたユージ君もサーランギー伴奏で参加。不十分な音響機器で全体の音響バランスは良いとはいえませんでしたが、なかなかにしっかりした声楽を楽しみました。彼女のテーマは、日本の歌謡曲や民謡のコブシとインド古典声楽の修飾技法であるガマカの比較というもの。アカデミックな成果がどうなるかは別として、日本の、しかも民謡や歌謡曲に興味をもつインド人はものすごく稀なので応援したい。ぴゆが歌っている日本の曲はYouTubeでも聴けます。びっくりしますよ。
 https://www.youtube.com/user/Fujichan11
 演奏が終わった後は、近くのラーメン居酒屋で打ち上げ。参加したのは、田中さん、その学生二人、ぴゆ、ユージ君、幸介君、バヤン君、ヴァイオリンの脇田君、田中りこさんにタブラーを習っているという岡林さん。
 ぴゆの本格的なコンサートは11月5日、同じ場所で開かれます。タブラーはバヤン君。無料なのでご興味のおありの方はいかがですか。

■8月10日(日)〜7日/レッスン/小鯖
 コルカタのテージェンドラ・マジュムダールにサロードを習い始めた江戸在住の小鯖君の4日間声楽集中レッスン。カプセルホテルや外人向け安宿に泊まったり、カラオケで練習して朝までいたり、などとなかなかに昔のヒッピー風来神でした。

■8月17日(日)/クリシュナ・ジャヤンティ/神戸芸術センター、神戸/ナリニ・トシニワル:カタック、ウマー・ドグラ:カタック、ルクミニー・ナオコ:バラタナーティアム、大橋一慶:タブラー、HIROS:タブラー
 ナオコさんが主催するこの催しに参加するのは、昨年の朝日ホールに続いて2回目。会場は新神戸に近いタワーマンションの1階です。
 当初、ワダスのタブラー伴奏者はインド人のチントゥーということでしたが、チントゥーがインドに帰省したため、急遽、カズ君こと大橋一慶さんになりました。カズ君は本業のコピーライター業が忙しいとのこと。
 ヒンディー語、英語の通訳を交えた見事な司会をしたのは、小磯千尋さん。「学科はそっくり神戸山手に移行するという話があるけど、まだはっきりしない。まほ、可愛い? そうねえ、でも、どうも娘には嫌われてるみたいで」と静かに話す夫の学さん、「この人変やでえ」と父に向かってふざけて毒づきつつぐっと可愛くかつ生意気傾向の見えるまほちゃんも手伝いにきてました。
 この日は、ムンバイ在住の舞踊家、ウマー・ドグラ女史もカタック舞踊を披露。技術、表現力とも良かったのですが、50代後半という年齢と体型は、華麗でシャープなカタックにはちと荷が重いのかもしれないと思いながら見るのでありました。公演後の彼女とのおしゃべりは、共通のムンバイの友人が何人も登場したので楽しかった。「アニーシュ・プラダーン? あらあ、わたしが最初に舞台公演をしたときにタブラーを叩いてくれたのよ」
 まったく、世の中は狭い。
 日本のバラタナーティアムの草分である大谷紀美子さんが去年に続いてお顔を見せ、次の公演で一緒になる予定のダヤさんもいらしてました。

■8月24日(日)/インド芸術祭2014/京都市国際交流会館イベントホール、京都/HIROS:バーンスリー/ダヤ・トミコ:バラタナーティヤム、油谷百美:オディッスィー、ナカガワ ユウジ:サーランギー、中尾 幸介:タブラー、藤澤ばやん:タブラー、HIROS:バーンスリー/インドアーツサンガム京都:企画制作
 このイベントは、オディッスィー舞踊の野中ミキさんが中心となって組織したインドアーツサンガム京都の主催でした。ミキさんのものすごいパワーの結果なのか、激しい雨にもかかわらず、当日は入りきれない人も出るほどの満員でした。
 ユージ君のサーランギーはとてもよかった。ずっとムンバイにいて成長しているようです。ちらっとしか見てませんが、油谷さんのオディッスィーもなかなか良かったのですが、やはり圧巻は最後のダヤさんのバラタナーティヤム。まったく、この人がワダスとほとんど年が変わらないなんて信じられない。初めて彼女に舞踊を依頼したのが1987年の奈良・シルクロード博覧会ですから、知り合ったのは27年前。まったく月日の経つのは速いものです。
 この日ワダスが演奏した模様をYouTubeに載せています。とはいえ、ミキさんからいただいたDVDからすべてアップロードできなかったので、中間の部分が欠落しています。ま、もし、ご興味がおありでしたらどうぞ。
 http://sound.jp/tengaku/Plan/movie.html
 この日も多くの知り合いに会いました。スタッフとして手伝いに来ていた田村さん、ヨーガの三浦寛子さん、撮影の今岡さんなどなど。故郷のウクライナ情勢を心配するユージ君の配偶者オレナは「夫婦がどれだけ長く離れて暮らせるか実験みたい」などという。17日の神戸に続いて大谷紀美子さん、バリ舞踊の大西由希子などのお顔も見えました。
「山科へ出てJRに乗って神戸に帰るんです」という三浦寛子さんらと、雨の中帰途につきました。同行したのは、かつていろいろとインド音楽のコンサートを作ったことがあるという元IT技術者の徳田さん、お父さんのクリニックを手伝っているという新田真理子さん、WTC32階のコールセンターにお勤めという中尾桂子さん。独身女性3名で山科駅前の寿司屋でビールをひっかけ、一緒にJRで帰ったのでした。

■8月30日(土)~31日(日)/ボン!ボン!盆!!オールナイト・パーティー/CAP CLUB Q2、神戸/コントラバスと唄とギター_宮内大、鈴木克行 (from めぐみと雨)/パフォーマンス_白井廣美/和太鼓_祝丸/怪談_笑福亭智六/アニメーション上映_イワイフミ/インド音楽_池田剛、大橋一慶/パフォーマンス_白井廣美/インド音楽_Hiros、大橋一慶
 このヘンチクリンな催しは、CAPの下田さんも関係しているインターネット・テレビのコネクタ・テレビの主催でした。すべてのプログラムはUSTREAMで中継放映されましたが、どれだけの人々が見たんだろうか。
 最後のワダスの出番はなんと朝4時45分から。待ち時間はさすがに長かった。
 睡魔と戦いつつ演奏したものをウェブサイトに掲載してます。ご興味のある方はどうぞ。
 http://sound.jp/tengaku/music2.html
 20秒ほど経過すると音が出てきます。ただし、最初の30分くらいだけです。

■9月10日(水)/金子飛鳥さんと夕食/天竺園
「兵庫芸文センターの公演に来てるんだけど、この日は夜公演がないので三宮あたりで食事でもどうお」というメールが飛鳥さんからきたので喜んで出かけました。彼女が音楽監督兼演奏していたのは栗山民也演出「炎立つ」という芝居でした。
 その芝居の話や、現在の居住地であるセントルイスでの夫ジェフリーや息子のセイヤの話などなど、世界中で大活躍の彼女の話はとても面白い。
「10月17日も西宮です。ガイヤ・クアトロで」といってたけど、ワダスはすっかり忘れてて行きそびれてしまいました。最近、こういうのうが実に多い。老人力、忘却力がどんどんパワーアップしている感じです。

■9月22日(月)/大谷大学講義-1/京都
 ほぼ2ヶ月の夏休みが終わり、後期のジュギョーが始まりました。

■9月24日(水)/土井スタジオ
「来年3月に、乙仲通でワールドミュージックフェスティバルみたいなのを企画してるけど、いろいろとご相談したい」と、同じポートアイランドに住むミュージシャンの土井亮さんから電話をもらい、彼のスタジオへ行きました。かなり昔、一緒に演奏したことがある土井さんは素晴らしいジャズピアノ奏者であり作曲家です。
 乙仲通とは、神戸市中央区の“栄町通”と“海岸通”の間を東西に通っている、約800mの通りです。この界隈には、南京町やポートタワー、神戸海洋博物館などがあり、昔ながらのビルが残るなかに最近は約270軒のお洒落な店やカフェやアトリエ、オフィスなどが軒をつらねるようになっています。一緒に企画している堀さんによると、通り全体の活性化のために何か神戸らしい催しをやりたいとのこと。神戸にはすでにジャズストリートというのがあるので、ワールドミュージックのほうがいいかなあということです。具体的にどんなものになるかわかりませんが、来年3月後半に何かありそうです。

■9月26日(金)/アラメール芋煮会/CAP CLUB Q2
 恒例の芋煮会でした。今回は、ワダスの生まれ育った置賜地方の豚味噌ではなく、山形市周辺の牛肉醤油スタイルでした。去年テレビを見ていて発見した山形人の恐るべき想像力による方式、つまり、一通り食べてしまった芋煮の残り汁にカレールーを投入し、さらにうどんを入れて食べるスタイルはグローバルスタンダードにすべきだと確信します。その美味と満腹感を味わえば、戦争の無意味さをたちどころに了解するはずです。
 参加したのは、Q2の大家さんである神戸市港湾局の3名、ワダスのカクテキを愛するという森信子、加藤元+大見明子+奏(5ヶ月)、杉山知子、築山有城、カワサキマキ、下田展久、岡山市立大の真世土マウ各氏などなど、20名ほど。
 最近、帰化したという肌頭陶芸家の真世土さんの話が面白かった。メキシコ生まれで見た目は明らかにメキシコ系で、フリーダ・カーロ、ルイス・ブニュエル、トロツキーらがいた周辺で育ったとのこと。アメリカの空港で日本の赤いパスポートを見せたら、その外見と国籍の齟齬感からあらぬ疑いを招き、入管係官にスペイン語で説明したという。

■9月27日(土)/短足麻雀
■9月30日(火)/佛教大学講義-1/京都

■10月5日(日)/インディア・メーラー・リハーサル/ムケーシュ・ハウス、神戸
 12日(日)に出演予定のインディア・メーラーのためのリハーサル。カズ君(大橋一慶)のタブラー、ムケーシュのカホン、ワダスのバーンスリーという変なバンド構成。ムケーシュが「赤とんぼ、やろう」というので、あれこれ練習したのですが、12日はあいにく強力台風接近ということでわれわれの出番はなくなったのでした。

■10月25日(土)2pm~/對揚(たいよう)--聲明(しょうみょう)とインド古典舞踊の出会い /京都市西文化会館/聲明・三弦:泉浩洋、南インド古典舞踊家:金澤倫子、進行:中川博志
 ワダスの企画したものであれば経験はありましたが、シゴトとしての進行役は初めてでした。タイトルにあるように公演内容は、聲明とインド古典舞踊バラタナーティヤムで、出演者は二人。
 聲明や聲明舞を披露した泉和尚は地元の桂の天台宗寺院、十輪寺の住職です。しゃべりだしたら止まらないエネルギッシュな和尚はとても85歳とは思えない。
 一方のバラタナーティヤムは金澤倫子さん。今から12年前(2002年1月)、ワダスや七聲会も参加したダヤ・トミコさんの公演のときにもお弟子さんとして踊っていたらしい。その後、インドでの修行も含め研鑽を重ね、今やソロ舞踊家として活動していて、当日の舞踊もとてもよかった。
 ワダス個人としては、梵讃、漢讃、和讃、論議といった種類の違う天台聲明に触れることができたのは収穫でした。比叡山では、経典をどれだけ理解したかを試す口頭試問のような論議というものがあり、質問も回答もメロディーのついた文言でやりとりする、なんということを初めて知りました。現在は形式化されていてたいていの人は合格するらしいのですが、かつては不合格になると「出直してこい」と青竹の杖をもって下山させられたとのこと。
 對揚という聲明をバックに演じられた聲明舞も面白いものでした。密教儀式の洒水(しゃすい)における所作の一連の動きですが、まるできっちりと振り付けられたダンスパフォーマンスのようでした。
 天台聲明にもバラタナーティヤムにも不案内で、とちらないようにいろいろと調べて原稿に起こして本番に臨んだのでしたが、ま、大きな破綻もなくツトメを果たしたのでした。

===この間に読んだ本===

『旅する遺伝子』再読(スペンサー・ウェルズ/上原直子、英治出版、2008)
『量子革命』(マンジット・クマール/青木薫訳、新潮社、2013)
『ヒトはいつから人間になったか』再読(リチャード・リーキー/馬場悠男訳、草思社、1996)
『途上国の人々との話し方』再読(和田信明+中川豊一、みずのわ出版、2010)
『インドの正体』(藤本欣也、産經新聞社、2006)
『最後の審判』(リチャード・ノース・パタースン/東江一紀訳、新潮社、2002)
『芸術・メディアのカルチュラル・スタディーズ』(佐々木英昭+松居竜五編著、ミネルヴァ書房、2009)
『100年予測』(ジョージ・フリードマン/櫻井祐子訳、ハヤカワ文庫、2014)
『異端の数0』再読(チャールズ・サイフェ/林大訳、ハヤカワ文庫、2009)
『科学と幸福』(佐藤文隆、岩波書店、1995)
『くねくね日記』(田口ランディ、筑摩書房、2002)
『これが物理学だ!』(ウォルター・ルーウィン/東江一紀訳、文藝春秋、2012)
『モルジブが沈む日』(ボブ・リース/東江一紀訳、NHK出版、2002)
『生命の逆襲』(福岡伸一、朝日新聞出版、2013)
『すごいインド』(サンジーヴ・スィンハ、新潮新書、2014)
『歌うネアンデルタール』(スティーヴン・ミズン/熊谷淳子訳、早川書房、2006)
『腸が元気になる本』(松生恒夫、健康人新書、2009)
『ハンナ・アレント』(川崎修、講談社学術文庫、2014)
『一神教と国家』(内田樹+中田考、集英社新書、2014)
『日本の軍歌』(辻田真佐憲、幻冬舎新書、2014)
『モラル・アニマル』上下(ロバート・ライト/竹内久美子監訳/小川敏子訳、講談社、1994)
『本能はどこまで本能か』(マーク・S・ブランバーグ/塩原道緒訳、早川書房、2006)

===これからの出来事===

■11月1日(土)/十夜法要/百万遍知恩寺、京都/室優哉:タブラー、HIROS:バーンスリー

■11月2日(日)6:30pm~/本田あつこ個展関連HIROSライブ「月と夜」/アンタイル、神戸/田中りこ:タブラー、HIROS:バーンスリー

■11月5日(水)17:30~/Priyal Satheインド古典声楽コンサート/京都教育大学

■11月30日(日)/CAP音楽祭「CAPおんせん(音泉)3」/CAP CLUB Q2、神戸/出演者:石上和也(ノイズ)、岩本象一(パーカッション)、上坂朋也(タブラー)、Cana(ダンス)、金子鉄心(イーリアンパイプス)、児嶋佐織(テルミン)、小島剛(ラップトップ&バンジョー)、佐久間新(ジャワ舞踊)、シモダノブヒサ(ギター、Eベース)、中尾幸介(タブラー)、中村好伸(ギター)、祝丸(和太鼓)、HACO(電子楽器、声)、 藤澤バヤン(タブラー)、堀部潔(音響)、松本こうすけ(タブラー)、宮本玲(バイオリン)、丁健史(ダンス)、丁友美子(クラリネット)、丁健志(ダンス)/HIROS(バーンスリー):企画・構成・カレー調理

■12月21日(日)/クリスマスコンサート/大阪府箕面市稲6-15-26『あいあいプラザ内』 大阪府立稲スポーツセンター、大阪/出演予定者:下田展久とQ2ペリカンズ、金子鉄心:イーリアン・パイプス、藤澤バヤン:タブラー、HIROS:バーンスリー