めんこい通信2015年11月27日号

 巻頭ぶつぶつ
 まずは宣伝
 これまでの出来事
 この間に読んだ本
 これからの出来事


 

 階下のダイエーの飾り付けが赤やら緑やらやたらに派手だなと思ってカレンダーを見るともはや年末に近いことに気がつくのでした。
 ワダス個人の近辺の出来事をだらだらと報告するこの「めんこい通信」は、前号からなんとなく3ヶ月すぎると、あっぼちぼち書いておこうかな、という気分になるんですけど、最近はとくに面倒な気持ちのほうが強くなり、これも年のせいかなと思う今日この頃だっす。

巻頭ぶつぶつ


 憲法違反とされる安保法案は強引に採決され、にもかかわらず自民党の支持率が大きく下がることはなく、去年に続いて日本の学者がノーベル賞を受賞したとちょっと浮かれ、アベ政権は翁長知事がどんなことを言おうが一切耳を貸さず辺野古基地建設に邁進し、そうこうしているうちにシリア難民のヨーロッパ大量流入とロシア機爆破やパリのテロ事件が発生し、今度はロシアの戦闘爆撃機がトルコに撃墜されたりと、相変わらずテレビニュースのネタには事欠かない。
 プーチンやオランドが911直後のブッシュのように勇ましくIS打倒を叫び、高価な最新兵器をがんがん使って、ビンボーなイスラーム狂信集団の全滅を訴える。911の3000人ほどの米人犠牲者の復讐で15万を超えるムスリムを殺したように、合わせて400人弱の自国民犠牲者数の何倍もの死者を生み出すIS復讐戦を今度は仏露が仕掛けると。ブッシュの根拠なきイラク戦に参加を拒んだ「理性的」フランスも、いざ足元に被害が及ぶと理性よりも感情を優先させるということか。シリア内戦とかISとか、中東で今起こっている紛争は敵味方が入り組みすぎてなにがどうなってるのかややこしいのですが、それもこれも、依然として続く搾取者裕福欧米vs被搾取者非裕福非欧米、人権に対する考え方の非対称性という構図が遠因といえます。
 戦争をなくすために戦争をする、という自己矛盾から未だに脱却できない人間は、目の前の欲望を素早く叶えることにはものすごい能力を発揮するのに、ちょっと長いスパンになるとたちまち昔の経験を忘れて同じことを繰り返す。つくづく学習できない生物なんでありますねえ。

===まずは宣伝===

■12月6日/国境を越えたラーガ音楽C/神戸移住センター5階講堂、神戸/石濱匡雄:シタール、グレン・ニービス:タブラー、HIROS:バーンスリー/
 昨年、アメリカ人のサロード奏者デイヴッィド・トラソフ、バーンスリー奏者スティーヴ・ゴーン、タブラー奏者タイ・バーホーなどを呼んで開いたコンサートの第3弾です。今回は、オーストラリア人タブラー奏者のグレン・ニービス、大阪の若手シタール奏者として活躍中の石濱匡雄さんととも演奏します。
 ワダスがバーンスリーでやっている音楽は一般にはヒンドゥスターニー音楽といわれているのですが、これだけ世界中に広まり演奏レベルも上がってきたのでもうぼちぼちヒンドゥスターニー(インドの)という特定の地名を冠した呼び方をやめてもいいのではないか。この音楽はもはや国境を越えているのだから、西洋古典音楽をいちいち西洋をつけずに単にクラシックと呼ぶように、ラーガ音楽とより普遍的な呼び方にしてもいいのではないか。インド人演奏家でなければ純粋のインド古典音楽はできない、などという時代は過去のことだ、なあーんてことを考えて企画した演奏会でした。もっとも、まだまだインド文化の背景を示すインド式制服クルターを着用して演奏することに変わりはないわけです。クルターを脱ぎ捨て、ごく普通のコスチュームで演奏するようになったときが、国境を越えたということになるのでしょうが。
 ギターも演奏する元ロック・ジャズ青年のグレンのタブラー、まだ30代なのにある種の風格を感じさせる石濱さんのシタールは素晴らしいですよ。お時間と御意思のおありの方はぜひおいでください。

■12月10日〜13日(日)/Fantasy Kidsプログラム/台中市内、台湾/招待アーティスト/白井廣美:アート・パフォーマンス、角正之:ダンス、東野健一:インド紙芝居、HIROS:バーンスリー他いろいろ
 阪神淡路大震災を契機に生まれたアクト・コウベ関係の縁で台中市内の路上でワークショップやパフォーマンスをすることになりました。
 Fantasy Kidsというのは、台中市にできる予定の子供とアートを結びつける大きな施設です。この施設のディレクターになったのが、以前から交流のある頑石劇団のヘスパー女史。彼女の発案で国際的なアート交流イベントが催されることになり、われわれも招待されたというわけです。彼女は4月に来日しその概要を熱を込めて語っていました。
 予定では施設は完成しているはずだったのですが「政治的理由」で遅れているとのこと。台湾総統選挙のせいかもしれません。建物がまだできていないので路上で何かをするということになったのですが、現地に着いてみるまで具体的にどうなるのかまったくわかりません。台湾の人たちはちょっと不思議で、前回2005年に訪問したときも、事前の打ち合わせとはまったく違う事態になって戸惑ったことがあります。ということで、今年2度目の台湾に今から楽しみにしています。何が楽しみかって? 夜市ですよ。

===これまでの出来事===

■8月15日(土)/ 午後のラーガ インド古典音楽会in 神足ふれあい町家/長岡京市/ 南沢靖浩:シタール、ナカガワユウジ:サーランギー 、グレン・ニービス:タブラー
 異常に暑い日。旧西国街道沿いの古民家を改造したコミュニティースペース。珍しいシタールとサーランギーのデュオ。ラーガ・マールワー。グレンのタブラーソロ。ユージ君と南沢さんのデュオ。民謡。近所のピザ屋で打ち上げ。海(グレン息子、小三)異常にエネルギッシュ。グレンのBMW修理中代車ボルボで自宅。練習、小屋で12時くらいまでおしゃべりしました。

■8月30日(日)/インド芸術祭2015/京都市国際交流会館、京都/舞踊-福田麻紀(バラタナーティヤム)、柳田紀美子(オリッスィー)/音楽-ジミー宮下(サントゥール)、金子テツヤ(パカーワジ)、池田剛(バーンスリー)、上坂朋也(タブラー)
 去年よりは少なかったものの8割の入場者。目鼻立ちのくっきりした顔の柳田さんは舞台ではとても大きく見える。客席で隣に座ったのがシタールの南沢さん、その隣が息子そっくりの上坂朋也君のお母さん。舞台上の池田さんは途中で何度も水を飲みリップクリームをしきり塗っていたのですが、後で聞くとむちゃくちゃ乾燥していたとのこと。ジミーさんも演奏途中で何度もチューニング。後半の盛り上げていく感じはなかなかスリリングでした。アルコールなしの簡単な打ち上げ後、近々ヴリンダーバンへ行くという本田厚美さん、三浦寛子さんと神戸へ帰ったのでした。
 
■9月5日(土)/短足友の会高野山合宿/大円院/榎忠作品鑑賞合宿/参加者:榎忠、岡田淳+由紀子、大垣一、大川マスター、小川和夫、幸田庄二、篠田ゆりあ、杉岡真紀子、塚脇淳、西村房子、橋本健治、松根充和、溝延洋子、HIROS
 短足友の会のエノチューこと榎忠さんが高野山金剛峰寺で展覧会をやっているというので、短足メンバーや元町の飲み屋「アビョーン」の仲間たちと合同高野山合宿を敢行しました。
 宿坊は、昔からの知り合いの高野山大学学長、藤田光寛上人の大円院。
 宿坊に荷を解いた後、金剛峰寺へ。
 展覧会は空海没後1200年の記念イベントということで会場へは簡単に行けると思っていました。しかし、お寺にはそれらしき案内がまったく見当たらない。拝観料500円を払って入り、スタッフらしき人に尋ねても要領を得ない。外国人も多い一般観光客に混じって長い廊下を歩くと、突き当たりにそれらしき表示があり、二人の中年女性が座っていました。確認すると、そうだ、という。街にも開催場所にも展覧会の表示がほとんどないのはどうしたわけか。
 ともあれわれわれは枯山水の庭に臨む会場で作品を見るのでした。他の作家の作品もありましたが、榎さんのものは圧倒的でした。とくに、襖に囲まれた和室に展開された薬莢群は異様な雰囲気でした。人をじかに殺傷する工業製品と静謐な寺院空間の組み合わせは、見たものの思考を混乱させ、あらためて薬莢のもつ不気味さを浮き上がらせる。
 出展作家のシンポジウムもありました。例によって会場案内もないので寺院内をうろつき、ようやくたどり着いたのは寺院ではなく鉄筋コンクリートの真言宗本部のホール。客席と発言者が対峙するように並べられた椅子、テーブルの配置は、裁判所のようで、発言者はまるで裁判官のように見える。聴衆は100人に満たず、がらんとした雰囲気でした。
 和歌山県立美術館学芸員だという司会者が議論を進めるのですが、発言者の人数が多いのでそれぞれは短いコメントのみで、そのコメントに対しての司会者の解説が長く、滑舌が悪く聞き取れない。高野山からは宗務総長お一人が出席。主催者としてもっとずらっとお坊さんも並んでいるのかと思ったのですが、どうも高野山全山あげての記念イベントという感じには見えませんでした。
 不完全燃焼感を漂わせたわれわれは別の会場へ。そこでは主に韓国人作家の木彫が展示されていました。
 所期の目的をいちおう達し、5時半に大円院で完全菜食の夕食。近畿大学の学生だというアルバイト青年を茶化したりしながら、持ち込んだ酒類を消費していると、お願いしていた藤田上人が登場し、真言宗にまつわる話が始まりました。宗派内対立の末に高野山を離れたという覚鑁(かくばん)上人の話は初めて知りました。

 女性部屋に移って酒を飲んでいると、榎さんから奥の院散策を提案。無数の墓石が並ぶ真っ暗な歩道を歩くこと20分ほどで灯明に照らされた奥の院に到達し記念撮影。
 次の日は雨の中、改修中の太鼓橋の横を通り抜けて丹生都比売神社、覚鑁上人が高野山を追われて創建したという根来寺を見物し、幸田車に岡田淳+由紀子夫妻と同乗し帰宅しました。 

■9月8日(火)/梅津和時ちびブラス+三田村管だけ団神戸ライブ/STUDIO Y3、神戸/出演:ちびブラス(梅津和時Sax+Cl、多田葉子Sax、三原智行Tb、菱沼尚生Tuba)、三田村管打団、HIROS:チャチャ入れバーンスリー
 ブラスサウンドは場が華やいでいいものです。8名ほどの三田村管だけ団は、グッゲンハイム邸を運用する森本アリ君を中心にゆるく集まったバンドで、たらたらっとした自由な感じがいい。いっぽう、梅津バンドは完成度がもちろん高い。
 梅津さんの歌う「東北」とAFOでもやった早いテンポの「いつだっていい加減」にワダスも参加しました。最後の「旅行」にも加わりましたが、ワダスの左右翼、背後から強烈ブラス音のキックがものすごく、蹴倒されそうになりました。


 天竺園で打ち上げでした。元大阪芸大のセンセの中山一郎さん、チビブラス4名、アリ君はじめ管だけ団の5名、ワダス、下田展久CAP代表、高橋怜子さん、予算の関係で選んだでんぷん系の水餃子、焼き餃子、焼きビーフンをつまみつつ盛り上がったのでした。

■9月13日(日)3.00pm~/Autumn Wind(秋の風)/瑞林院、京都/アン・ノーマンAnne NORMAN:尺八、グレン・ニービスGlen Kniebeiss:タブラー、HIROS:バーンスリー、ゲスト:フィリップ・フレイヴィンPhilip FRAVIN:三味線/音響:南澤靖浩、手伝い:池田剛、のりな、海
 聴衆は20名ほどと少なめでしたが、演奏は気持ち良かった。
 大谷大学教授で尺八奏者のハウザー、英国出身の尺八奏者ジョン・ライダー、アンの尺八師匠の中村心瞳夫妻(神戸)なども見えました。
 まず、アンのソロ。尺八特有の低音の力強さはないものの、音は繊細で揺るぎない技術を感じさせる。声を混ぜたオリジナル作品もよかった。
 ついで、フィリップの地歌。歌詞はまったくわからないが、尺八との合奏は生きた遺産のようでした。目をつぶって聞いていると江戸時代にタイムスリップしたような感じですが、目を開けると御本尊を背景に二人の西洋人男女が演奏しているわけで、視覚と聴覚のミスマッチがなんともいえません。横浜生まれのアメリカ人フィリップは、カリフォルニア大学バークレイ校で民族音楽博士号を取得し、現在は大阪経済法科大学教授として英語を教えつつ、地歌を歌うという変なガイジンです。

 後半、ワダスのRaga Hemant。グレンのタブラーソロがなかなかでした。
 最後が3人のにわか即興セッション。ほとんどリハーサルなしの即興なのでスリリングな展開になりました。アンの即興はのりがよく、このトリオはいいかもしれない。「オーストラリアでやれるように頑張ってみるね」と終了後にアンが申し述べていましたので、ひょっとしたらオーストラリアで再現できるかもしれません。
 打ち上げは小川一条にあるマンション。フィリップの友人の中国系日本人スティーヴ・ワンのマンションです。アン、グレン、フィリップ、アンの友人の大工久美子さん、京芸出身陶芸家女性、そしてスティーヴ。南京出身で日本に帰化し現在は電子関係の企業に勤めているというスティーヴは、餃子、麻婆豆腐、枝豆、野菜炒め、絹さや炒めなどを手際良く料理してくれました。どれもおいしい。
 10時過ぎ、大工、アンとともに京都駅の新幹線ホームへ。ワダスも10分遅れで岡山行き新幹線に乗ったのですが、ふと気がつくと新神戸は通り過ぎていたのでした。これだから新幹線は油断ならない。あわてて西明石で降りて三宮に戻り帰宅。

■9月18日(金)/東北6県ろーるショー/チキンジョージ、神戸/梅津和時氏来宅泊/白崎映美(Vo.) / 小峰公子(Acc. Vo.): zabadak / 伏見蛍(G.) / 向島ゆりこ(Vl. 篠笛) / 星衛(Vc. 篠笛) / 西村直樹(Ba.) / 江野尻知宏(Per. 和太鼓) / クラッシー(Per. 鳴り物) / カズ(Tp.) / ハラナツコ(Sax. 篠笛) / 梅津和時(Sax.)
 元「上々颱風(しゃんしゃんたいふーん)」のボーカリスト、白崎映美さんが中心となった大人数のバンドのライブでした。10日前にCAPで演奏した梅津さんも参加しているのです。
 バンドの人数やコスチュームの関係もありますが、賑やかで華やかな舞台でした。なによりも、白崎さんが歌ったり聴衆に語りかけるときの視線の動きが魅力的でした。「上々颱風」時代に磨かれた客のつかみが素晴らしい。記憶に残る盛り上がりでした。
 打ち上げで映美さんとおしゃべりしたのは楽しかったなあ。酒田出身なのでワダスと同郷の山形人なのです。当然、われわれの会話は山形語です。そこへ仙台語の梅津さんが加わると東北度が一段と上昇するのでした。
 その日の梅津さんは我が家宿泊。めったに行かないチキンジョージにその日出かけたのは「泊めてほしい。ライブ、招待するよ」という理由からです。おかげで楽しい時間を過ごすことができました。

■9月25日(金)/芋煮会/江見山荘、神戸
 恒例の芋煮会。去年からすっかりはまってしまった山形市周辺の醤油牛肉方式芋煮でした。昔は絶対に味噌豚がベストだと思っていたのになあ。

■10月5日(月)/スイス人声楽家来訪
 ワダスのウェブサイトを見て七聲会に興味を持ったスイス人ヴィクターが、ワダスとお坊さんに会いたいとわざわざ京都にやってきました。会うのはもちろん初めてです。スイス訛りの流暢とはいえない英語を話す背の高い中年男性でした。聞けばベルン近郊の町の高校で合唱を教えつつ、自身も声楽家として活動しているとのこと。実は子どもの頃、ネスレの姫路工場長として赴任した父とともにしばらく住んだことがあるので、日本は二度目だという。話し方や物腰が実に誠実そうで柔らかい。倍音唱法に興味をもってあれこれ情報を探しているうちにワダスのウェブサイトにたどり着いたらしい。


 写真でワダスを知るヴィクターが、待ち合わせ場所である烏丸スターバックスで声をかけてきました。早速、知恩院に務めている七聲会の南さんに連絡し、南さんの指定する居酒屋へ。南さんとお会いするのも久しぶりで、さんまの刺身なんかを食べ、日本酒を飲み、なかなかに好ましい宴会でした。われわれの話が彼の活動にどれだけためになるのかはなんともいえませんが、こういうヴィクターみたいな人っているんだよね。
 翌日、佛大と龍谷のジュギョーがあるのでその晩は祇園のカプセルホテル泊。

■10月11日(日)/横澤徹+HIROSセッション/WARM STONE 響蔵、山形県長井市/横澤徹:サックス、HIROS:バーンスリー
「中山町に住む従兄弟の神保光秀君の結婚式で山形へえぐなよ」と同級生の高橋敏行さんに電話すると「あららあ、んだが。せっかくだから何かしてけろ」ということで、長井市に住むバークレー音楽学校卒のジャズ・サックス奏者横澤徹さんとライブをしました。会場は長井高校に近い古い蔵を改造したスタジオ。
 高橋君がいろいろと連絡してくれたらしく、忙しいなか、卒業以来会っていなかった古川孝・史子(旧姓守谷)夫妻や影山長助君、下宿先だった岸本さん他、興譲館高校の校長だった蒲生直樹君、市内で「ダンガリー」というカレー屋をやっている会田邦夫君など、同級生の懐かしい面々が来てくれて、とてもほのぼのとしたライブになりました


 江戸時代から続く会場の古い蔵は、酒田までの河川運搬の基地にもなっていたということで、最後に横澤さんと「最上川舟唄」をベースににわか即興セッションをしました。

■10月12日(月)/神保光秀・黒沼奈緒子結婚式/パレスグランデール、山形
 ダンプカーの運用が仕事の光秀君の取引関係や、新婦のお父さんの会社関係の出席者が多かったこともあって、ま、いわゆるフツーの結婚式でした。千葉在住の従兄弟の高橋孝君が山形駅に到着した途端にふらふらっとなって入院したなんていう事件もありましたが、母の葬式以来再会する弟の拓治や親戚にも久しぶりに再会。例によって、光秀君からリクエストのあった「秋田長持唄」を演奏しました。

■10月19日(月)/大谷大学/井上春緒宅
 後期授業最初の井上宅居候でした。タブラーとの練習後、夏に研究旅行で行った井上さんのカシミールの話や奥様ののぞみさんの小学校教育現場の話などを聞きつつ山形の芋煮を食べ娘のさやと遊ぶという、まるで久しぶりに孫の顔を見に行ったジジーみたい感じでありました。

■10月27日(火)/Bruno+えみこ,Preston、倉橋/魚幸、市役所

 2009年の七聲会EUツアーのときに一緒だったブルーノがえみこさん夫人と一緒に来日するというので、ブルーノの尺八の師匠である倉橋容堂さん、やはり倉橋さんの弟子で大谷大で毎週顔を合わせるプレストン・ハウザーとでミニ宴会でした。場所は京都市役所前の地下街にある寿司屋「魚幸」。奄美出身だというえみこ夫人は久しぶりの日本とのこと。外国人も含めて多くの弟子がいる倉橋さんは、冗談まじりの話ぶりのなかに師匠としての風格が漂っていて、とてもワダスと同い年とは思えません。

■11月1日(日)/知恩寺十夜法要/グレン:タブラー
 4年連続の知恩寺演奏。今年のタブラーは、居候でお世話になっているオーストラリア人タブラー奏者グレンでした。
 この日は、10月の山形結婚式による休講を補う振替学外授業。大谷大、佛大、龍谷大あわせて250名近い学生に告知しましたが、出席を取らないと宣言したせいか数名が来ただけでした。大寺院で行われる聲明や儀式を体験して欲しかったのですが、それどころではないんですかね、今の学生たちは。
 この日の演奏は、練習を重ねてきたせいか、グレンのタブラーとのセッションも噛み合っていてなかなかに気持ちが良かった。

■11月6日(金)/ケニー遠藤と再会
 ハワイに本拠を置く和太鼓奏者ケニー・遠藤と久しぶりに再会。翌日行われる西宮プラレホールでのケイコフジイ舞踊公演のリハーサルを終えた彼とビールを飲みつつおしゃべりしました。10年ほど前に東京での彼のリサイタルで演奏したり、彼のアルバムに参加したことがあります。
 最近は、かつてアミット・ロイと一緒に日本を演奏旅行したインド人タブラー奏者アビジット・ベナルジーなどとも活動しているとのこと。やはり世界は狭いものです。

■11月9日(月)/大谷大学講義-8/京都/バヤン宅泊
 バヤン君のマンションで久しぶりに練習しそのまま泊めてもらいました。大津のマンション8階の広いベランダからは琵琶湖が見下ろせます。その日たまたまお土産用に持ってきたHIROSスパイスセットがあったので、近所のイオンモールで買い物をしてカレーを作りました。

■11月15日(日)/「伝統文化に親しむ」 /「恵庵」、京都 /グレン・ニービス:タブラー、HIROS:バーンスリー
 9月の瑞林院コンサートにおいでいただいた茶道教授の大林恭子さんの依頼で、彼女の主催するお茶会で演奏しました。場所は、京都地下鉄東山駅に近い2階建ての古民家「恵庵」。
 マイク・スピーカーなしでこじんまりとした和室での演奏もなかなかいいものです。
 演奏を終えたわれわれは、大林さんの車で祗園まで送ってもらい、昔のポップス生演奏が売りの「アメリカン・グラフィティーズ」というライブハウスに直行しました。グレンが「ビートルズのカバーバンドの演奏がある。知り合いにメンバーがいるんだ」というので予約していたのです。
 すでにバンド演奏は始まっていました。ビートルズナンバーです。なつかしい。演奏している人たちの佇まいがなかなかにいい。女性キーボード奏者が一人いましたが、ほとんどが60近いサラリーマン風のオッサンというメンバー構成。彼らは実際にサラリーマンだったようです。後半のライブでは、なんとグループサウンズの曲なんかも登場し、徹底して60年代、70年代の雰囲気でした。
「飲み足りない」というグレンに付き合い、近くのバーでバーボンを1杯。「もっと飲みたい」というグレンはさらに別のバーに誘う。昔シタールをやっていたというマジシャンのフランス人がやっている店だという。ここでカクテルを2杯飲んで二人で阪急電車に乗ったまではいいが、西向日でグレンと別れた後、にわかに胃にむかつきを覚えました。どうも、悪酔いしたようでした。
 次の日は、案の定、二日酔いでした。聞けばグレンも二日酔いだと。ライブハウスの油まみれの食事とチャンポンアルコールが祟ったようです。

■11月16日(月)/ドゥルバのメール
 ムンバイ在住の友人のサーランギー奏者、ドゥルバ・ゴーシュから悲歌のようなメールが届きました。
"Roselyne sailed away to her Cosmic Mother this afternoon in Brussels."
(ブリッユセルで今日の午後、ロザリンが母なる大宇宙の元へ旅立った)
 ロザリンとはドゥルバのベルギー人配偶者です。ワダスと同い年だったはずなので旅立つにはなんとも早い。ワダスは彼らが結婚したてのころから知り合いでした。ムンバイとブリッュセルと、離れて暮らしていたドゥルバにとってはショックだったに違いありません。
 2004年にムンバイにある彼らの別荘で10日ほど居候したとき、毎日一緒に食事をし、熱心なホメオパシー信奉者だった彼女からワダス専用のレメディを何度か処方してもらったこともありました。
 知人の訃報に接するのは悲しいことではありますが、われわれにだっていつでも起こりうる年齢にあるともいえるので、ふと感慨に耽るのでありました。

■11月18日(水)/レッスン
 江戸の小鯖青年の2日間集中レッスンでした。彼はちゃんと練習しているようです。サロードの音色がすごく良い。将来が楽しみです。
 で、この日に合わせて鶴岡の漆山さんから送られてきた新そばを3人で堪能したのでした。山形の、しかも鶴岡の有名な蕎麦屋「大松庵」店主みずから打った新そばは、噛んだ後の甘みがなんともいえない。この日の蕎麦は、月山産の蕎麦粉95%。

■11月19日(木)/レッスン
 小鯖君のレッスンが終わると入れ替わりに岡山から美術家の歳森勳さんが来宅。開催中のクレー展を見に奥さんといらしたと。奥さんはそのまま岡山へ帰りましたが、歳森さんは中川家泊。だらだらとミニ宴会なのでした。歳森さんは来月一緒に台湾へ行くことになっていたのですが、受け入れ先の準備が整っていないので取りやめたのでした。

■11月22日(日)/江見家長男結婚披露野外宴会/江見山荘、神戸
 先日グアムで結婚式をあげた江見家の24歳長男壮太君と新婦の香奈さんのお披露目宴会でした。目玉はスペインから取り寄せたという子豚の丸焼きでした。皮がパリッとしてんまかったなあ。
 30人以上の参加者はほとんどCAP関係なので、新婦には初めて会う人たちだらけ。今や子供達も増えてきたCAP関係者はかなりユニークな人たちなので戸惑っていたのではないかと思います。いっぽう、小学生の頃からCAPに遊びに来ていた壮太君はみんなからいじられてシャイな表情を見せながら幸福そうでした。
 
===この間に読んだ本===

『ドーン』(平野啓一郎、講談社、2009)
『小沢征爾さんと、音楽について話をする』(小沢征爾+村上春樹、新潮社、2011)
『藤沢周平と庄内』(山形新聞社編、ダイヤモンド社、1997)
『流れとかたち』(エイドリアン・ベジャン+J・ペダー・ゼイン/柴田裕之訳、紀ノ国屋書店、2013)
『ノイマン・ゲーデル・チューリング』(高橋昌一郎、筑摩書房、2014)
『書くことについて』(スティーヴン・キング/田村義進訳、小学館文庫、2013)
『傷ついた日本人へ』(ダライ・ラマ14世、新潮新書、2012)
『インドクリスタル』(篠田節子、角川書店、2014)
『意味がなければスイングはない』(村上春樹、文藝春秋、2005)
『食の終焉』(ポール・ロバーツ/神保哲生訳、ダイヤモンド社、2012)
『抑圧された記憶の神話』(E.F.ロフタス+K.ケッチャム/仲真紀子訳、誠信書房、2000)
『スティーブ・ジョブズ』1、2(ウォルター・アイザックソン/井口耕二訳、講談社+α文庫、2015)
『果てしなき渇き』(深町秋生、宝島社文庫、2007)
『ダブル』(深町秋生、幻冬舎文庫、2012)
『動的平衡ダイアローグ』(福岡伸一、木楽舎、2014)
『ローマ帝国の崩壊 文明が終わるということ』(ブライアン・ウォード・パーキンズ/南雲泰輔訳、白水社、2014)
『超麺通団2 ゲリラうどん通ごっこ軍団始まりの書』(田尾和俊、西日本出版社、2012)
『明治の音楽教育とその背景』(前田紘二、竹林館、2010)
『津軽三味線ひとり旅』再再読(高橋竹山、新書館、1997)
『ファインマンさんの流儀』再読(ローレンス・M・クラウス/吉田三千世訳、ハヤカワ文庫NF、2015)

===これからの出来事===
 
■12月6日(日)3.00pm~6.00pm/国境を超えたラーガ音楽3/KOBE STUDIO Y3、神戸/石濱匡雄:シタール、グレン・ニービス:タブラー、HIROS:バーンスリー /問い合わせ:info@cap-kobe.com

■12月10日(木)~13日(日)/Fantasy Kids December Activisties."Open children's international viewpoint"/台中市、台湾/招聘参加者/白井廣美:パフォーマンス、角正之:ダンス、東野健一:インド紙芝居、HIROS:バーンスリー他いろいろ