めんこい通信2016年8月23日号

 もくじ
 新作CDが出ます
 コンサートの宣伝
 これまでの出来事
 この間に読んだ本
 これからの出来事


 前回の通信から今日までも、世間ではいろんなことがありました。
 モハメッド・アリ、キアロスタミ、大橋巨泉、永六輔など直接は知らないけどなんとなく馴染みの人たちが去っていったかと思うと、イギリスがEUを離脱して女性首相が誕生し、なんだか悲しい言い訳にこれでもかとマスコミが襲いかかったマスゾエが都知事が辞め、参院選では深い無力感とやっぱり感を伴って与党が圧勝し、トルコでクーデター未遂が起こり、スマホ持ってないのでよくわからないポケモンGOが大ヒットし、ダッカのテロ事件で日本人が巻き込まれ、不敵な面構えの青年が包丁で障害者をつぎつぎと刺し殺し、アメリカは銃乱射やらトランプやらヒラリーやらで相変わらずにぎやかだし、と思ったら天皇の「お言葉」が流され、そうこうしているうちに最多メダルでめでたいと浮かれたオリンピック、などなど。
 こんなふうに世間の騒がしさは相変わらずで、いろいろと考えることもありますが、ワダスと配偶者の生活は、個人的大変化もなく、ほとんど何の社会的貢献もせずに淡々と時間をローヒしています。
 いつも通り前期のジュギョーが終わり、いつも通りの夏休みになりました。なあーんもやることがないのは例年と変わりませんが、新しいCDを出そうと思い立ち、その準備でそれなりに動き回った夏休みでした。

◉CD

 ときどき居候がてら練習をするグレンから、簡単な録音機材を導入したので録音しようとの誘いがありました。ま、順調に加齢しているとはいえそれなりに練習は続けていますので、ここらで録っておくのもいいかとかねがね思っていました。冬休みの2月にやろうと思っていたのですが、義父の死などがありそのままになっていたのでグレンからの誘いはタイミングが良かった。前回のワダスのソロCDは2003年なので、実に13年ぶりになります。
 録音は西向日にあるグレン宅の居間。人通りのない静かな住宅街ですが、ときどき配達バイクが通ったり、飛行機が上空を通過したりと、完全防音スタジオとはいきません。タブラー演奏と録音機材の調整をするグレンとワダスの間に、ソファの背もたれや座面を縦に並べて互いの干渉を避け、強烈エネルギー源の息子の海君のいない日中、二日がかりでなんとか録音を終えました。内容は、インド古典音楽と無伴奏の「秋田長持唄」です。
 古典音楽は、ラーガ・チャンドラナンダンという珍しいラーガ。無伴奏のアーラープ、タブラー伴奏の入った2種類のガットで1時間以上の演奏です。聞き返してみると、細部に不満はあるものの、ま、こんなもんだろうなあ。
 マスタリングは旧知の工藤聡史さんのONE VOICE STUDIOで、ジャケット、ディスク面のデザインと写真は、グミ君というバーンスリー奏者と結婚したtikoさんにお願いしました。9月中旬にはCDが出来上がると思います。
 タイトルは、RAGA MUSIC BEYOND THE BORDERです。インドで発生したラーガ音楽は今や国境を超えて演奏されているのよね、ということをみなさんに知っていただくことを目的として3年前から始めたコンサートシリーズと同じタイトルです。
 とりたててものすごいとか、画期的とか、超絶とか、待望のとか、といった演奏ではありませんが、ずっと練習してるっていうなら今どんな音だしてるのかな、インド音楽は興味ないけど中川家の生活向上に寄与するのもまいいかというような奇特な人(いないとは思いますけど)は予約するか購入するかしていただけたら大変ありがたいのでありました。ワダスの演奏はともあれ、一緒に演奏しているグレンのタブラーはとてもいいですよ。

◉宣伝

◉9月17日(土)14:30開演/インド芸術祭2016/京都市国際交流会館イベントホール、京都/金澤倫子:バラタナーティアム、直原牧子:オディッスィー、入野智江:クーリヤッタム、南沢靖浩:シタール、グレン・ニービス:タブラー/主催・問い合わせ:インドアーツサンガム京都(075-701-6900)、sangam@live.jp
 今年で3回目になる芸術祭です。第1回目にはワダスも演奏しました。今年も多彩な演目です。よく居候するオディッスィー舞踊の野中ミキさんが中心のインドアーツサンガム京都はワダスもメンバーとして参加しています。

 9月30日(金)、10月1日(土)、10月2日(日)の3日連続でコンサートをします。実はこのコンサートが企画されたこともCD製作の動機なのでした。
 きっかけは、グレンの「日系アメリカ人サロード奏者のスティーブ・オダが関西でコンサートできるかどうかと問い合わせがあったけど、HIROSはどない?」ということでした。
 スティーブの音楽そのものを直接聴いたことはありませんが、いろんな関係者に聞くとなかなかの水準のミュージシャンらしい。というわけで、彼と一緒にコンサートをするのは楽しみです。グレンのデザインしたチラシには、真ん中の頭の禿げた好々爺的スティーブを挟んで右にほぼスキンヘッドのグレン、左に短髪メガネ山形出身者のワダスが配置され、3人のオッサンが何かするらしい、というイメージが伝わってきます。たまにゆったりとラーガ音楽に浸ってみられてはいかがでありましょうか。

◉9月30日(金)開演7時/海外移住と文化の交流センター、神戸/予約2,000円、当日2,500円/問い合わせ:CAP(078-222-1003)、info@cap-kobe.com/ヒンホイのカレー販売あり
 場所は、去年の暮れにシタールの石濱さんともコンサートを行った昔のCAP HOUSEの5階講堂です。
◉10月1日(土)開演7時/インドまるごと総合学校ODC、高槻市/予約3,000円、当日3,500円/予約・問い合わせ:080-5770-1257(ハマダ)、nhamada@hotmail.comまたはsa@yskw.com
 オディッスィー舞踊の村上幸子さんのスタジオが会場です。
◉10月2日(日)/13:00~15:00ワークショップ/16:00~コンサート/誓願寺、京都/ワークショップ参加費(要予約)3,000円/コンサート参加費予約 3,000円、当日3,500円/予約・問い合わせ:080-5770-1257(ハマダ)、nhamada@hotmail.com

◉10月15日(土)/聲明とインド音楽公演/三田市総合文化センター郷の音ホール、三田市/七聲会:聲明、南沢靖浩:シタール、グレン・ニービス:タブラー、HIROS:バーンスリー/一般2,000円/
 http://sanda-bunka.jp/event/details/161015.html
 三田市で久々に七聲会のコンサートがあります。今回は、ずっと昔ジーベックホールで行ったシタール、バーンスリー、タブラーとの合奏の部もあります。収容人数1000人を超える大ホールでの公演も久しぶりです。

===これまでの出来事===

◉6月1日(水)/テンジン・チョーギャル/チャクラ、大阪/テンジン・チョーギャル:歌+デムニアン、寺原太郎:バーンスリー、中尾幸介:タブラー、ロビン・デュピュイ:チェロ、ジェシー・パリス・スミス:キーボード
 太郎君から誘われてテンジンのライブに初めて行きました。場所は、天神橋筋1丁目に近い古民家を改造した「チャクラ」。テンジンと天神橋筋とは面白い語呂合わせ。
 当日の聴衆は40人弱か。会場は大きくはないのでほぼ満員でした。
 チベットの自然や宗教観を歌ったテンジンの歌は、細かなビブラートをつけた力強い高音と、ささやくような弱音の対比がはっきりしていて心地よい。比較的単純な繰り返しの多い旋律にはよく合う声質でした。彼の歌につき従ったり、間奏部分のソロを吹いた太郎君のバーンスリーにも貫禄と安定感がありました。また、チェロ演奏の効果もかなり喜ばしかったし、コウスケの寄り添うような出しゃばらないタブラーにも好感が持てました。
 オーストラリア在住チベット人の望郷とチベット的自然観に溢れた歌を、二人の日本人インド音楽奏者、高野山に住むフランス人チェロ奏者、アメリカ人ピアニストがサポートする。このようなボーダーレスな編成は今では珍しくありませんが、ふと、歌手がテンジンではなく日本人だったらどんな編成でどんな歌を歌うのかなあと思ったのでした。

◉6月3日モハメッド・アリ死去

◉6月24日(金)イギリスEU離脱/手持ちポンド大幅値下がり
 離脱か残留かということは、人類初の国家連合という実験が失敗に終わるかどうかという大きな意味を持つ問題であります。とはいえ、ほぼジョブレス・ミュージシャン低年金生活者のワダスらの生活に直ちに直接影響を与えるわけではありません。
 ところが、あの結果によってポンドの価値が大幅に下落してしまったので、大したことではないとはいえ他人事ではない事態になったのでした。
 2008年の七聲会UKツアーのギャラがポンドで振り込まれてきたのですが、リーマンショックが起こりいきなり価値ががくんと落ちました。2008年ツアー開始当時は1ポンドが約200円でした。ところが振り込まれた時点でいきなり160円になってしまった。なのでその時点で円に両替すると、航空券を含めたツアー経費が賄えず赤字になる。というわけで、銀行口座にポンド預金として凍結せざるをえなくなったのでした。
 で、今年の1月には1ポンド180円台になったのでぼちぼち両替かな思っていた矢先のポンド急落。これを書いている8月23日現在は、なんと131円です。ギャラをもらったときのレートに戻るのか戻らないのか。今の世界経済の状況をぼんやりと眺めていると、中川家の家計が為替差益でうはうは状況になるなんてことは、ま、ないんだろうなあ。

◉6月27日(月)/大谷大学講義/京都/野中宅泊/ゲスト:南沢靖浩
 京都八瀬の野中宅居候でした。ワダスがカレーを作った当日のゲストはシタール奏者の南沢靖浩さん。ビタミンCやら足裏マッサージやらクエン酸やらラーガやら、いろんな話をけっこう生真面目にする南沢さんはいじりがいがあるのでした。

◉7月10日(日)参院選
 自民党圧勝。うーむ、世の中には、考えない人、考えない人に考えさせないようにしようと考える人、考えない人を間違った方向に誘導しようと考える人、考えない人が多いことを憂える考える人、何もしないけど考えている人がいて、結局、考えない人がほとんどなんだななどと、選挙結果報道の後のウィンブルドン男子決勝、アンディー・マレー対ラオニッチの試合を見ながら考えるともなく考えるのでありました。

◉7月11日(月)/大谷大学講義/京都/中尾幸介宅泊
 練習がてら、宇治の中尾宅居候。この日は麻婆豆腐と半田そうめんを調理。
 コースケ君が「アイコはこういうのぜーえーんぜんだめ」といっていたように、ワダスが知っているジョークを何発も飛ばしたのに愛姫さんの反応がいまいち。

◉7月14日(木)、15日(金)/レコーディング/グレン宅

グレン宅での録音

 最初に録ったのが無伴奏の「秋田長持唄」。グレン宅の周辺は車が通れない道に面していてほとんど人通りがないので録音条件としては悪くはありませんが、この日に限って録音途中でなにかの配達のバイクが現れる。うーん、じゃあもう一回と始めると今度はヘリコプターが上空を通過。われわれがひっそりとこういうことをしていることを察した組織の嫌がらせにちがいない。
 同じ曲を何度も吹いてけっこうくたびれ、残りは、大阪出勤の奥様ノリナさんと小学生の高エネルギー発散少年海君のいないピースフルな次の日の昼下がりにということになりました。
 レコーディングはライブ演奏とは違った緊張感があります。アーラープ、10拍子のジャプタール、16拍子のティーンタールの順に録りました。最後のティーンタールのころになると疲れてきてきちんと指穴を塞ぐのに難儀しました。どういう結果になったかはCDをお聴きになっていただくしかありません。
 
◉7月19日(火)/龍谷大学講義/瀬田、滋賀/録音編集/グレン宅
 龍谷大のジュギョーの後、再びグレン宅へ。先日録音したものの編集でした。編集とは言っても、グレンの使うシーケンサーソフト「Cubase」はワダスにはちんぷんかんぷんです。音質を変えたり、同じ音をループさせたり、ピッチを上下させたり、切ったり貼ったりなどなどいろいろなことができるらしいが、グレン自身も全部使いこなせないとのこと。ずっと昔、ワダスもProToolsで試したことがありましたが、はまりだすと抜け出せません。こういうソフトを自在に使いこなす人というのはすごい。

◉7月28日(木)/たまご宴会/韓国料理「爛」(玉造、大阪)/小林江美、中川真、HIROS
 ほぼ年2回開催される極小宴会です。
 今回の会場は相変わらずむっちゃ忙しのたまごこと真さんが行きつけだという韓国料理店でした。
 玉造はたぶんワダスは生まれた初めて足を踏み入れた場所でした。駅周りは、他の大阪の街と同様に、美的意識というよりはずっと実質的かつ結果的にそうなってしまったゴチャゴチャ感で、要るものと要らないものが平面的かつ無計画的に配置された部屋に招かれて家族写真を見せられているような馴れ馴れしく安定した感じでありました。料理はどれもすばらしく、かつ値段も高くない。豆腐キムチ、参鶏湯、豚肉炒め、どれも美味しかったが、特にアワビ雑炊が印象的でした。隣の駅が韓国食文化センターの鶴橋だけあってレベルが高い。
 最近は家飲み酒を絶っていたという小林江美さんの「もういっぱい行こや」で近くのイタリア風ワインバーVINOでワインを1杯。ゴチャゴチャした玉造の街に突然現れた西洋風の居酒屋でありました。「家がここから1分半なんです。今日はマンション自治会で」というたまごの同僚がいきなり現れたりとなかなかに油断ならない玉造なのでした。

◉7月24日(日)/ポリゴノーラ/KOBE STUDIO Y3、神戸/桜井直樹:話、鈴木昭男+桜井真樹子+志村哲:パフォーマー
 旧知のアキオさんと聲明の桜井真樹子さんも出るというのでY3まで歩いて出かけました。
 ポリゴンが多角形、アウラが音という意味で、多角形の金属円盤楽器にポリゴノーラと名付けたのは真樹子さんのお兄さん桜井直樹さん。
 直樹さんの話はなかなかに面白かった。スイカの熟度を音で判定するみたいな研究の過程で非整数倍音に気がつき出来上がった楽器なのだと。整数倍音を元に整えられてきた一般的な楽音とちがい、ポリゴノーラは微妙なうなりと整数倍音とは違った倍音を出すので、普通の音楽とは違った響きになります。
 そのポリゴノーラの音質の可能性をさまざまな奏法で広げて見せたアキオさんのパフォーマンスはさすがでした。それと驚いたのは志村さんのとんでもなく長い6尺の尺八。最低音のむらいきから出る倍音の多彩さにはびっくりです。志村さんは大阪芸大のセンセなんですが、個人で尺八ミュージアムをおもちだとか。機会があれば行こうかなと思っています。
 最後にお会いしたのが2002年の東京なので、真樹子さんとは実に14年ぶりでした。彼女の聲明の声は、昔聴いたときよりもツヤがありなかなかでした。
 どの音楽ジャンルとも特定できないこのようなコンサートをたまに聴くのは刺激的です。 

◉8月5日(金)/施餓鬼/福林寺、明石
 2月に亡くなった義父の初盆にちなんで施餓鬼なるものに参加しました。特に暑い夏の当日、義弟の車で義母、配偶者とともに福林寺へ。この日は本堂で朝から儀式が進行していました。お坊さんは8名というけっこうな規模の儀式で、お坊さんたちは、着飾った住職のお経に合わせて唱えたり、唱えながらぐるぐる回ったりするのを繰り返す。欄間に張り出された供養されるべき名前が儀式一式が終わると剥がされ、同じ儀式が繰り返され、また名札が剥がされるという、まるで自動機械のような感じでありました。
 
◉8月7日(日)/金子飛鳥と家族/大正庵、キャトルノワール、苦楽園/ジェフリー、セイナ、金谷こうすけ+ヒロミ夫人

セイナ、飛鳥、ジェフリー
ひろみさん、こうすけさん

 飛鳥から「関西に来てるよお。ジェフリーとセイナも一緒だよお」と連絡をもらい、池田でライブを終えた彼らと苦楽園の蕎麦屋で落ち合いました。
 大正庵は苦楽園駅そばの公園に面しているので広い庭があるように見えます。ジェフリーとセイナに最後に会ったのは2008年なので、8年ぶりでした。まだ大学の非常勤講師でレギュラーの仕事のないジェフリーの外観や話しぶりに大きな変化はなかったのですが、当然ですけど当時中学生だったセイナはぐっと大人びた青年になってました。彼は今、政治学部の学生とのことでしたが、有給で州知事選の広報を担当するので大学はやめるとかいってました。
 飛鳥ファミリーの他に参加したのは、ピアニストの金谷こうすけさんと小児科医だという奥様のひろみさん。この宴会は、もともと飛鳥がゲスト出演したこうすけさんのリサイタルの打ち上げで、そこにワダスが割り込んだのでした。
 大正庵で締めのざるそばを食べたあとも、こうすけさんの行きつけという近くのバー「キャトルノワール」へ場所を移して宴会は続く。ここで吸った葉巻の味はなかなかでした。
 その日金谷宅に泊まる飛鳥一家は、明朝5時におきて天橋立へ観光とのこと。 

◉8月18日(木)、19日(金)/CDマスタリング/ONE VOICE STUDIO、近江舞子
 7月に録音したもののマスタリングのため滋賀県の田舎にある知り合いのスタジオまで出かけました。場所は、湖西線近江舞子駅から山に向かって車で10分の、山林に囲まれたスタジオです。
 14年前に移り住んだという工藤聡史、悦子夫妻は、かつてポートアイランドのジーベックホールに関わっていて、旧知です。聡史さんは、京都駅ビルの京都劇場や小曽根真ツアーの音響などさまざまなイベントの音響技術者で、かつエッチャンこと悦子さんがボーカルをするロックバンドのドラマー。田舎暮らしのために家さがしをしている時に偶然現在の家を見つけて購入したという。最初の冬に膝までの雪が積もってびっくりしたとか。

ONE VOICE STUDIO


「あんなに雪が降るなんて知らなかった。猿が集団で出てきたし、イノシシ、シカ、カマイタチ、シロマダラなんて普通。野菜作ろうと庭に畑作ったけど、みんな彼らがもってっちゃう。近所に野菜作ってる人たちがいるから、もらえばいいということでもう作ってない。近くには、仏師、陶芸家などアーティストが多い」
 古い母屋を改造した後に隣に建てたかっこいい2回建てがスタジオ。中には、ドラムセット、ギターなどの楽器の他、音響機材が並んでいます。一方の壁が本棚になっていて、難しそうなものから資料的なものまでぎっしり。
「親父のもあるからね」
 聡史さんの父親は往年の映画監督の故工藤栄一氏。
 グレンが直前まで編集していた録音データはその日、向日町駅で息子の海くんから受け取りました。それを最終的なCDに落とし込むためにiMacを睨む聡史さんのマスタリングの作業を横で見守る。この段階になると演奏者のワダスにできることは、ときどき求められる意見に応対するくらいでほとんどないのです。8時前に2曲終えたとろで「さて、宴会だあ」となりました。
 大病になり現在は体力回復中だというエッチャンの手料理と滋賀県の地酒を飲みながら、この家のこと、二人の馴れ初め、聡史さんが最近ボストンに行って3キロ太ったとか、物語を書くのに最近はまっているというエ

ッチャンの話などを聞いて気がつけば2時になっていました。スタジオ2階で就寝。
 翌日の朝食を食べ終わった頃、グレンが合流して申し述べる。
「うわー、こんなところに住みたいんだ。理想だね。オーストラリアでもずっと田舎に住んでいたのよね」


 さっそくスタジオで残りのマスタリング開始。昼になり「もうちょっとで作業が終わるから先に食べてて」と聡史さんがいうので、ワダスとグレンはエッチャンの作ったあんかけ焼きそばなどのランチをいただく。もうちょっとだったはずがすでに夕方になってからやっと作業が終わりました。最終のマスタリングデータをもらったグレンとワダスは工藤家を辞して帰路につきました。暑い夏の二日間がこうして終わったのでした。工藤家ではまた宴会しようということになっています。

===この間に読んだ本===

*はおすすめ
『反社会学講座』(パオロ・マッツァリーノ、イースト・プレス、2004)
『太った男を殺しますか?』(デイヴィッド・エドモンズ/鬼澤忍訳、太田出版、2015)
『證券詐欺師』(ゲーリー・ワイス/青木純子訳、集英社、2007)
**『刑務所図書館の人びと』(アヴィ・スタインバーグ/金原瑞人+野沢佳織訳、柏書房、2011)
*『古代文明と気候大変動』(ブライアン・フェイガン/東郷えりか訳、河出書房新社、2005)
**『粋酒酔音』再読(星川京児、音楽之友社、2004)
***『職業としての小説家』(村上春樹、スイッチ・パブリッシング、2015)
『ユーミン・陽水からみゆきまで』(富澤一誠、廣済堂新書、2015)
***『セロニアス・モンクのいた風景』(村上春樹編・訳、新潮社、2014)
*『カイコの紡ぐ嘘』上下(ロバート・ガルブレイス/池田真紀子訳、講談社、2015)
*『音楽からインド社会を知る』(寺田吉孝、フィールドワーク選書、2016)
『レム・コールハース 驚異の構築』未読了(ロベルト・ガルジャーニ/難波和彦監訳/岩元真明訳、鹿島出版会、2015)
*『意識はいつ生まれるのか』(マルチェッロ・マッスィミーニ+ジュリオ・トノーニ/花本知子訳、亜紀書房、2015)
『ワインの歴史』(マルク・ミロン/竹田円訳、原書房、2015)
***『アフリカ音楽の正体』(塚田健一、音楽之友社、2016)
『北極大異変』(エドワード・シュトルジック/園部哲訳、集英社インターナショナル、2016)
『よくわかる音楽理論』(秋山公良、ヤマハミュージックメディア、2014)
**『食料と人類』(ルース・ドフリース/小川敏子訳、日本経済新聞社、2016)
*『天才が語るサヴァン、アスペルガー、共感覚の世界』(ダニエル・タメット/古屋美登里訳、講談社、2011)
***『意識をめぐる冒険』(クリストフ・コッホ/土谷尚嗣+小畑史哉訳、岩波書店、2014)
『夏のものがたり』(クドウエツコ、自費出版、2011)

===これからの出来事===

 9月19日から始まる後期のジュギョーで毎週月曜日、火曜日、京都の3つのガッコに通うことになります。それ以外はこれといって大きな出来事はありませんが、冒頭に書いたように下記のようなコンサートがあるのでした。

◉9月17日(土)14:30開演/インド芸術祭2016/京都市国際交流会館イベントホール、京都/金澤倫子:バラタナーティアム、直原牧子:オディッスィー、入野智江:クーリヤッタム、南沢靖浩:シタール、グレン・ニービス:タブラー/主催・問い合わせ:インドアーツサンガム京都 075-701-6900、sangam@live.jp

◉9月22日(木)/郷の音ホール打ち合わせ、ハニーFM出演/三田市

◉9月30日(金)開演7時/海外移住と文化の交流センター、神戸/予約2,000円、当日2,500円/問い合わせ:CAP(078-222-1003)、info@cap-kobe.com/ヒンホイのカレー
◉10月1日(土)開演7時/インドまるごと総合学校ODC、高槻市/予約3,000円、当日3,500円/予約・問い合わせ:080-5770-1257(ハマダ)、nhamada@hotmail.comまたはsa@yskw.com

◉10月2日(日)/13:00-15:00ワークショップ/16:00~コンサート/誓願寺、京都/ワークショップ参加費(要予約)3,000円/コンサート参加費予約 3,000円、当日3,500円/予約・問い合わせ:080-5770-1257(ハマダ)、nhamada@hotmail.com

◉10月15日(土)/聲明とインド音楽公演/三田市総合文化センター郷の音ホール、三田市/七聲会:聲明、南沢靖浩:シタール、グレン・ニービス:タブラー、HIROS:バーンスリー/一般2,000円/
http://sanda-bunka.jp/event/details/161015.html