めんこい通信2020年1月16日号

 かなり遅ればせですが、新年あけましておめでとうございます。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
 さて、今回は、メキシコ帰還からほぼ4ヶ月の報告と来年のことなど。とはいえ、義務的な仕事は皆無に近くご報告というほどのことは何もありませんが。

◉いよいよ怪しいアベ政権とトランプ
 森かけ問題あたりから怪しさの度合いを深めてきたアベ政権ですが、「桜を見る会」の参加者データ即時消去に至っては隠しようがないほどやり口が大胆になってきました。この種の、政権や官僚による都合の悪いデータの改ざん、隠蔽、消去はこれまでの政権でも行われていたのかもしれません。でも、密かにコソコソの場合は、実行する命令者あるいは担当者の心中は「いいとは言えないけど、バレたら責任取らされるので仕方がない」と疚しさを伴っているはず。ま、こうしたことはコクミンの目に触れることはないのでそうなんだろうなと推測するしかないわけですが、これほどまでに露骨でバレバレで言い訳もしどろもどろだと、救いようがない。と同時に、こうしたことに寛容に見えるメディアの、今やメディアとしての矜持すら捨て去ってしまったありようを見ると、もう、どうとでもなれという気分にすらなるのでした。野党のヒアリングに答える賢いはずの内閣府の役人の子供達なんか、お父さんの答弁にどう思うんでしょうかねえ。時間が経てば忘れてしまうのは政治家も官僚もコクミンも似たようなものですから、ほとんど社会貢献のないジョブレス・ミュージシャンがあれこれ呟いてもどうにもなりませんが。そうこうしているうちに、軍需企業や軍事請負屋からの「もっとミサイルをバンバン使ったりどっかでどんぱちやってもらわないと経営が苦しい」との突き上げや、露骨に自己の利益のみを追求し1ミリ先の情勢すら理解できないトランプの自分に向かっている弾劾の矛先をかわすためなのか、アメリカはイラン挑発に乗り出し、きな臭い雰囲気も漂ってきたように見え、箱に入ってスパイ映画もどきの脱出劇を演じたとされるゴーン氏や中国の博打企業から賄賂をもらった国会議員などという国内のニュースは霞みつつあるようです。もっとも、トランプもハメネイもいろんな事情があり本気で戦争をする気がないように今のところは見えるので、とりあえず無意味な愚行が回避されているのは世界にとっては一安心ではありますが。中東からの石油がちょっと止まっただけで干上がってしまう日本に限らず、世界中のどんな国も一国だけでは経済が成立しない状況のなかでは、権力者同士の喧嘩が戦争にまで発展するのが難しくなっている現状を考えると、90年前と比べるとちょっとはマシかもしれません。ともあれ、このままでは人類自滅が遅かれ早かれやってくるのは間違いないと思われ、少しその時間が早まるだけなのかもしれない。そんなふうにも思ってしまう今日この頃なのでした。
 
◉配偶者いよいよ70代に突入
 久代さんが先月ついに70歳に到達しました。今のところ、何か我々に事件が発生したとすればテレビなんかだと60代の夫と70代の妻、という感じで紹介されるはずですが、その60代の夫であるワダスもあと数日で70代に突入します。今月から、2人揃って敬老パスをもらい神戸市内公共交通機関による移動はすべて子供料金になったのでした。

===これまでの出来事===

 もう細部までは思い出せないので項目だけの羅列です。宴会が多いような。

◉9月15日(日)/北インド古典音楽コンサート「国境を越えたラーガ音楽」#8
ところ/海外移住と文化の交流センター 5F 講堂(神戸市中央区山本通 3-19-8)
演奏者/スティーヴ・オダ(サロード)、グレン・ニービス(タブラー)、HIROS(バーンスリー)
 スティーヴの演奏は相変わらず素晴らしかった。

◉10月27日(日)/相馬夫妻と久しぶりに会う@アリストンホテル/東仲一矩「イカロスの森」公演
 往年のインド留学組で新潟在住の相馬夫妻が、コチンの若いピアニストのミタリさん、そして運転手として駆り出されたらしい成田道広青年を伴い、天理からやってきたのでした。相馬氏は「春になったら新潟で演奏会するよ」と言い残して去っていったのでしたが、どうなることか。
 午後には東灘の小劇場「イカロスの森」で、CAPのコンサートで2回続けて共演した東仲一矩さんの公演があり、夫婦で出かけました。東仲さんは「短足友の会」のメンバーなので、幸田庄二・杉岡真紀子さん、小川和夫さん、橋本健治さん、岡田淳夫妻、曽我夫妻、瀬口さんなどとも久しぶりに再会。
 公演は、主役の東仲さんの他に、同じフラメンコダンサーである娘のマヤさん、ギターの國光秀郎さん、ロルカの詩の朗読の木村佐和子さん、ふーちゃんこと西村房子さんのガウディっぽい金属のオブジェ、ふーちゃんの娘のボーカリストであるウタモモさんが参加。暗幕背景の舞台と朗読とダンスの演出は70年代を思わせるものでした。東仲さんの踊りはその細い体とは対照的にエネルギッシュなものでした。
 公演後、水道筋商店街の居酒屋でミニ宴会の後、三宮の「アビョーン」で東仲さん、公演をお世話した田村珠妃さんも加わり、追い打ち宴会。

◉11月13日(水)/ローレン、クリスティン/京都
 フランス人カップルのローレンとクリスティンが去年に続いて来日したので彼らの泊まっている京都まで出かけて「もりもり寿司」を食べたのでした。彼らから「来年はゴアのスジャイに会いがてらアーメダバードのコンサートを見てから南インドに旅してヨーロッパに一緒に行くというのはどうかなあ」と言われたのでしたが、実現したらいいなあ。

◉11月23日(土)/おおたか静流、沢田譲治/ピッグアップル
 今年10月の企画が進行中で、2人にも出演してもらおうと思っているところに神戸でのライブがあるというので出かけました。超厳選聴衆でのライブはなかなかに楽しかった。同じマンションに住む長江昭一さんもお誘いしたところご夫婦で見えていました。ライブ後はその長江さんと居酒屋へ。

◉11月25日(月)/野中家/カレー、三浦/大光寺
 昨年12月29日に亡くなった久行さんのお参りも兼ねて野中家を訪ねました。「運転に自信がない」というミキさんに国際会館前まで迎えにきてもらいました。この日は独り住まいになったミキさん、神戸のヨーガ講師の三浦寛子さん、そしてワダスの作るカレーの宴会。久行さんの持っていたバーンスリーを形見にいただいてバスで京都市内まで戻り、仁王門の大光寺に寄って七聲会の南忠信さんと打ち合わせでした。

◉12月5日(木)/奥山家とフレンチ/レスト(京都)
 烏丸のスターバックスで音響の徳竹敏之さんと今秋の企画についての打ち合わせをした後、錦市場、新京極をぶらぶらしつつ東大路通まで歩いてビストロ「レスト」へ。奥山先輩のご招待でフランス料理だったのです。

◉12月10日(火)/知恩院
 今秋の企画に出演をお願いする予定の平安雅楽会の今村三郎さんと打ち合わせでした。今村さんは80過ぎとは思えないほどのお元気な方で、この日も知恩院に雅楽を教えに来られていました。楽人12名、舞人4名の計16名で「迦陵頻」を演奏してもらうことに決まリました。12月の知恩院は伝宗伝戒道場(加行-けぎょう)の期間で、100人以上の僧侶予備軍が修行中でした。薄暗い廊下で七聲会の橋本知之さんと久しぶりに再会。彼は修行僧に厳しい師匠として知られています。

◉12月13日(金)/ラーガ講座#9「バジャン」/アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸
 メキシコから帰国後の初めての講座でした。内容はヒンドゥー教の宗教歌バジャンについて。この日は伊勢の皇學館大学で教える瓜田理子女史も参加でした。例によって近所の焼き鳥屋「とり好し」で打ち上げ。店でこまめに動いていた「母親が亡くなった」と大将。
 帰りがてら「アビョーン」に寄ってビールを飲んでいると、フウちゃんから「トンちゃんが入院しとる」と聞いてショック。トンちゃんとは、フラメンコダンサーの東仲一矩さん。10月の公演では元気そうに見えたのでしたが、なにしろ74歳ですからね。年末には退院し療養中とのこと。

◉12月14日(土)/太陽フレア/兵庫医療大学
 久代さんの誕生日でした。近くの兵庫医療大学の講演を聞きに出かけた後、いつもは三宮周辺でちょい豪華ディナーですが、70歳の記念すべき誕生日のこの日は講演後にひっそりデリバリーピザとワイン。
 講演は京都大学の柴田一成教授による「スーパーフレア」について。ご自身が台長を務める花山天文台の宣伝がちと多かったが、本題の話はなかなか面白かった。太陽ではときどき強烈なフレアが発生し、磁気嵐となって地球に大きな影響を及ぼしていると。実際、1989年にはカナダで大停電を引き起こし、気象衛星の通信が途絶えたりしたのは記憶に新しい。電子機器だらけになった現在の地球ではかつてよりもずっと甚大な災害がもたらされる危険がある、という話は説得力があるのでした。AIやら自動運転やらと今後もますます電子機器に依存する社会になりそうですが、いつ次に起こるかわからない太陽のスーパーフレアによってとんでもない災害が起きてもおかしくないとのこと。特に、停電による原発のメルトダウンや放射能汚染は、何もでかい地震や津波ばかりではなく、強烈な磁気嵐によっても起きるわけで、結構怖い話でした。原発関係の人たちは磁気嵐対策なんて考えているんですかね。

◉12月16日(月)/Jay Bhat氏とお会いする
 Jay氏とは、我々がインド留学の時にお世話になった故Bhatさんのご子息で、今回初めてお会いしました。

◉12月28日(土)/角家宴会/川崎義博、中島康治、和田忠さんら
 あん肝とハマチがうまかった。

◉12月29日(日)/大阪ミニ忘年宴会/佐藤高仁、小林江美、山崎晃男さん
 梅田周辺の混雑が半端ない。ものすごい人出でした。しかもほとんどが若者。居酒屋でだし巻き卵を頼んだのですが、出てきたのは注文してから2時間後でした。

◉1月1日(水)
 いつも元旦は西明石の妹夫婦のとこで甥や姪やその子供たちと過ごすのですが、今年は夫婦だけで、徒歩で三宮の生田神社まで出かけ、あまりに人出が多いので眺めるだけにしてそのまま徒歩で戻り、前日購入した牛肉を焼いて食べたら下痢になり、夜中何度も起き、昼間もなんとなくまだ半分寝てるようなどんよりして気分でしたが、同じものを食べた70過ぎの配偶者はてんで丈夫でした。一般に女は男よりも丈夫であることは間違いないという確信を深めたのでした。

◉1月3日(木)/植松家麻雀/参加/植松奎二、島末雅邦、中川久代・博志
 定例の麻雀。これまでずっと固定メンバーだったチューサンこと榎忠さんの体調不良、母親の介護で忙しい宮垣さんの不参加でちと寂しくなりました。島末さんは相変わらず強い。

◉1月4日(土)/ナカガワユウジ君来宅
 近所に実家のある南野さんへの出張レッスン帰りという、サーランギー奏者のナカガワユウジ君が来訪。10日には演奏のためにインドへ行くというユウジ君と、現在のインドの古典音楽状況やら、ネパールでの骨折事件やら、井上想君たちの活動ぶり、2017年のワダスの国立劇場での公演の時に伴奏してくれたラビンや秋田さんの死やら、昔話やら、インスタントタコスをつまみつつのおしゃべりでした。彼から、有名なドゥルパド・デュオのグンデーチャー兄弟のラマカーントが昨年11月8日に心臓発作で亡くなったことを聞き、ショックでした。ラマカーントとは2000年のロンドン以来何度も会っています。兄弟が「東京の夏音楽祭」で来日した時には浅草を案内したり、DVDの制作にも付き合ったほか、ボーパールのグルクルや自宅でも会っています。インドで列車移動中に亡くなったとのこと。享年57歳はいかにも若い。世界中で公演やワークショップを行い、ドゥルパドの伝統を伝える数少ない声楽家の死は、兄のウマカーントや家族はもとより、インド音楽界にとっても喪失感は大きいはず。

◉1月7日(火)/打ち合わせ兼新年ピエンロー鍋宴会/徳竹敏之、三井康嗣、岡部翔子
 
◉1月10日(金)/新年宴会/佐久間華、中山玲佳さん
 2種カレーでメキシコ、アート談義。

◉1月12日(日)/佐藤寛子7回忌/誠心寺、京都/藤澤バヤン:タブラー、HIROS:バーンスリー
 2014年1月14日にガンで逝去した佐藤寛子さんの7回忌でした。我々がインドから帰ってきてから、札幌生まれでサントゥールを弾いていた寛子さんとはいろんなところでよく一緒に演奏したものでしたが、亡くなられてもう6年。まったく月日の経つのは速いものです。
 夫の高さん主催の7回忌は、金閣寺から北へ上がった浄土真宗高田派の誠心寺で行われ、仏前で演奏してきました。参加者は、高さんの他、寛子さんが生きていた当時よく遊んだ安曇川在住の陶芸家、立石善規・啓子夫妻、その娘で今や誠心寺の副住職となったアスカさん、寛子さんと高さんの従兄弟さん、高さんが現在住んでいる家の大家さんなど。「最近安いバリカンを買ったので」と坊主頭のバヤン君との演奏も久しぶりでした。
 
===この間に読んだ本===

(*読んで損はない、**けっこういけてる、***とてもよい)
**『オリジン』上中下(ダン・ブラウン/越前敏弥訳、角川文庫、2019)
**『十二の遍歴の物語』(G・ガルシア=マルケス/旦啓介訳、新潮社、1994)
**『魂に息づく科学』(リチャード・ドーキンス/大田直子訳、早川書房、2018)
***『コレラの時代の愛』(G・ガルシア=マルケス/木村榮一、新潮社、2006)
*『わが悲しき娼婦たちの思い出』(G・ガルシア=マルケス/木村榮一、新潮社、2006)
***『ペドロ・パラモ』(フアン・ルルフォ/杉山晃・増田義郎訳、岩波文庫、1992)
*『火山の下』(マルカム・ラウリー/斎藤兆史監訳、白水社、2010)
**『ガルシア=マルケス「東欧」を行く』(G・ガルシア=マルケス/木村榮一、新潮社、2018)
*『燃える平原』(フアン・ルルフォ/杉山晃訳、岩波文庫、2018)
『孤独な崇拝者』(J・D・ロブ/中谷ハルナ訳、ヴィレッジブックス、2017)
『不倫』(パウロ・コエーリョ/木下眞穂訳、角川書店、2016)
『あの季この季』(岸田今日子、朝日新聞社、1998)
***『百年の孤独』再読(G・ガルシア=マルケス/鼓直訳、新潮社、2006)
**『無限に魅入られた天才数学者たち』(アミール・D・アクゼル/青木薫訳、早川書房、2002)
**『神は妄想である』再読(リチャード・ドーキンス/垂水雄一訳、早川書房、2007)
***『危機と人類』(上下合本版)(ジャレド・ダイアモンド/小川敏子+川上純子訳、 日本経済新聞出版社、2019)
**『4分33秒論』(佐々木敦、株式会社Pヴァイン、2014)
『僕たちは、宇宙のことぜんぜんわからない』(ジョージ・チャム+ダニエル・ホワイトソン/水谷淳訳、ダイヤモンド社、2018)
***『21Lessons』(ユヴァル・ノア・ハラリ/柴田裕之、河出書房新社、2019)
『シュレディンガーの猫』(アダム・ハート=デイヴィス/山崎正浩訳、創元社、2017)
*『都会と犬ども』(マリオ・バルガス=リョサ/杉山晃訳、新潮社、2010)

===これからの出来事===

 ソートーに暇な日々が続きますが、たまあに演奏したりしています。

◉1月27日(月)/下田雅子・中川博志合同誕生宴会/下田家

◉2月9日(日)11:00~/ボディーフォーカシングWS '音浴'/Ton Placer Kazemai Theater、神戸/ダンス指導:角正之、音楽:北村千絵(ボイス)、HIROS(バーンスリー)

◉2月23日(日)16:30~/2020神戸国際ダンスアレイ/Ton Placer Kazemai Theater、神戸/ダンス:バタリタ(ハンガリー)、辛恩珠(韓国)、角正之、音楽:北村千絵(ボイス)、HIROS(バーンスリー)

◉3月13日(金)19:00~/国境を越えたラーガ音楽#9「弓で弾くインドとフラメンコ」/海外移住と文化の交流センター5F講堂、神戸/出演/三木重人(バイオリン)、國光秀郎(ギター)、ナカガワユウジ(サーランギー)、グレン・ニービス(タブラー)、HIROS(企画、バーンスリー)/料金/予約3,000円、当日3,500円/予約問い合わせ/CAP事務局(078-222-1003)<info@cap-kobe.com>