めんこい通信2020年5月2日号

 あらゆる人間活動の回転を止めてしまった感のある新型コロナウィルスに怯える日々になっちゃいましたが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

◉COVID-19生活

 全世界で感染者300万人以上、死者20万人を超える勢いで感染拡大が続いている新型コロナウィルス。医者や研究者など専門家、経済学者、政治家、お笑い芸人、歴史学者、哲学者、街の人々などがマスメディアやインターネットを通して洪水のようにコロナについて発言し、街から人が消え、ステイホームが叫ばれる。今やすべての人類が自宅禁固刑に服している感じです。すごい時代になったものです。ワクチンや特効薬が出てくるのはまだ先の話のようなので、こんな状態はしばらく続くんでしょうね。それにしても、何としてもオリンピックをやりたいらしいアベを始め現政権の戦略のない対応はちょっと酷すぎる。特に400億円もかけての全世帯マスク2枚配布には思わずのけぞってしまったのでした。
 自宅幽閉生活も2ヶ月以上になってくると人はぼちぼち人恋しくなってきているようです。ズームで宴会とか、何年も連絡のなかった人から電話やメールをもらったりします。
 コロナ以前は始終あちこち動き回っていた友人のタマゴ殿から「とうとう、ひろすさんの時代がやってきましたなぁ!」などというメールも届きました。たしかに、外出といえば買い物と散歩に出るくらいであとは家でゴロゴロしているというワダスのような生活を、不眠不休の医療従事者(頭が下がりますね、実際)や生活必需品を扱う人たちは別として、世界中の人がやっているわけで、その意味では「ひろすの時代」と言っていいかもしれません。
 普段から絶ヒマなワダスと配偶者とはいえ、これだけ徹底した自宅幽閉状態が続くと生活にほとんどメリハリがない。ぼんやり起きて朝食、練習、テレビニュース、散歩、たまに念入りな掃除、そうこうしているうちに夕方になり、録画したドキュメントとかCSやAmazonのタダ映画を眺めつつ昼夜兼用食を摂食し、ワインとか焼酎とかを飲んでダラダラ眺めているうちに気がつくと寝る時間、というような感じの日々。
 その間に、4月にしばらく我が家に滞在予定だったメキシコ、ハラパ在住の矢作さんが渡航不能になったり、カナダから一時帰国していた林佐起子さんが帰国便延期でしばらく神戸滞在せざるをえくなったり、数少ないワダスの演奏予定だったCAPのコンサートが中止になったり、インドのベナレスにいた佐藤高さんがロックダウン状態のインドから帰国したりと、知り合いの周辺でも色々あったのでした。

◉『インド音楽序説』電子版作成
 こうしたメリハリのない生活をなんとかしようと始めたのが拙訳『インド音楽序説』の電子版作成。この本は東方出版から1994年に出され、2002年の3刷でほぼ絶版になっていたものです。Amazonでは中古本としてまだ売られていますが(なんと8,000円です)、ごくたまに知り合いなどから再販はないのかとの問い合わせがあるので、この際だからと始めたわけです。
 まず、すべての文章をタイプし直しました。さらに、文章の細かな訂正や、図版の製作をし、原著写真をスキャンしてデータ化し、ワープロ・ソフトで体裁を整えました。我が家のでかいタンブーラーの写真をiPodTouchで撮影し、江戸在住の甥のカズくんこと駒井和彬君に表紙のデザインを頼みました。かつて編集者だった配偶者のしぶとく厳しい校正をクリアし、それを最終的な電子ブックのスタイルに変換。こう書いてしまうと簡単そうですが、毎日作業して1ヶ月半はかかりました。電子ブックというのは、読者のもっているデバイスや文字の大きさによって見え方が変わってくるので、DTPの見た目通りにならないところが悩ましい。細かな調整を何度も繰り返してようやくAmazonにアップロードしたのは4月29日でした。現在、Amazonではプリント本と並んでこの電子版が掲載されています。→こちら


 プリント本は3,700円とかなり高価でしたが、どっちみちあまり売れないとはいえ、あまり高いと誰にも買ってもらえないので価格は2,200円にしました。高いか安いかなんともいませんが、初版よりはずっと安くなったので、欲しい人には書いやすくなっています。
 もっともこの本はインド音楽という超オタクなテーマです。普通の読み物のように手軽に読めるものではありませんので、ミリオンセラーになることは絶対にない。インド音楽の理論や演奏に興味がある人、いわゆる民族音楽に関心のある人、初版のプリント本を買いそびれた人たちにぜひ購入して中川家の生活向上にご協力いただけたらと願っています。紙の本ではないので、Amazonの読書用デバイスKindleや、Kindleアプリをインストールしたタブレット端末、PCなどでしか読むことはできません。

===これまでの出来事===

 多くの人と同様ずっと自宅にいたので書くことはあまりありません。

◉1月27日(月)/下田雅子・中川博志合同誕生宴会/下田家/参加者/下田展久・雅子、中川博志・久代、大野裕子、森信子、高橋怜子
 大量の飲食物をご用意いただいた下田家に感謝です。とにかくよく飲んでよく食べました。

◉1月31日(金)/滋賀医科大学へ
 特に病気になったわけではないのに大津の病院に行ってきました。かねてから悩ましい腹部膨満感の解消になればと、SIBO(小腸内最近異常増殖)の治験に参加するためでした。
 午前中に病院へ行く必要があったので前日に瀬田のビジネスホテルに一泊しました。前日はこの秋に予定していた知恩院の大きな催しのプレゼン(結局キャンセルになりましたが)を終え、夫の精神的応援と退屈しのぎを兼ねてやってきた久代さんと合流。瀬田駅近くの居酒屋「梅原水産」でミニ宴会でした。
 当日、10時に病院へ行き、若い医師からSIBO(小腸内最近異常増殖)治験の説明を受けた後、血液検査とCT検査。次回は胃カメラ検査と十二指腸から細菌採取の予定でしたが、コロナ騒ぎのため、いまだに行けていません。

◉2月9日(日)/ボディーフォーカシングWS'音浴'/Ton Placer Kazemai Theater、神戸/ダンス指導:角正之、音楽:北村千絵(ボイス)、HIROS(バーンスリー)
 北村千絵さんのボイス・パフォーマンスとの絡みは絶妙、とは角さんのお褒め言葉です。

◉2月14日(金)ラーガ講座#8「聲明を歌う」/アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸

◉2月23日(日)16:30~/神戸国際ダンスアレイ/Ton Placer Kazemai Theater、神戸/ダンス:辛恩珠(韓国)、角正之/音楽:北村千絵(ボイス)、HIROS(バーンスリー)
 ハンガリーのダンサーも参加予定でしたが、事情で韓国の辛さんと角さんの即興舞踊になりました。釜山に本拠を置く辛さんは、彼女のドキュメンタリーを作っているというスタッフ達と一緒でした。龍大の青木恵理子さん、京都のダンサー、ハイジなど、長らく顔を見なかった人たちとも久しぶりに会いました。

◉3月7日(土)/榎忠・池内美絵展/Atelier L.S.D.F、神戸
 エノチューことアーティストの榎さんがこれまでのアトリエを閉めることになり、池内美絵さんとの展覧会がありました。榎さんは「目が悪うなってもて運転でけへんねん。だからここに来られへんようになったから閉めよう思うてんねん」とのこと。場所は神戸市営地下鉄の「西神中央」からバスに乗って山間に入ったところ。榎さんのこれまでの作品やポスター、写真などが展示されていました。我々のようなロージンから若い人まで、チュウサン人気のせいか、年代を問わず訪れる人たちが多かった。短足友の会の幸田・マキちゃん、橋本健さん、アビョーンのフーちゃん、大川マスターなどなど見知った顔も。チュウさんは長田のアトリエで製作を続けるとのこと。

◉3月14日(金)/ラーガ講座#9「インド音楽の音律」/アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸
 講座開始予定時間のずっと前に徒歩でCAPへ。マスダさんの個展を見つつおしゃべり。ロンドンで写真家として活動していた佐藤昌也さんの部屋でダラダラした後、やはりロンドンの美術大学へ留学していたという國久真有さんとおしゃべりをしていたら「もう講座開始時間ですが、準備OKですか」と伊勢市に住む瓜田理子さんから電話。ワダスの腕時計は4時35分を指していたのでまだ余裕があると思っていたのですが、実は時計が止まっていたのでした。メキシコで電池を入れ替えた超安価ダイソー時計はこれだから油断がならない。大急ぎで歩いて会場に着きましたが、30分遅れになりました。
 順序や中身がぐちゃぐちゃ、しどろもどろの講座になってしまいました。参加者の皆さん、すみませんでした。
 終了後は例によって焼き鳥の「鳥好し」で打ち上げでした。

◉4月10日(金)/ラーガ講座#10「ラーガと音階」/アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸/Zoomによるテレ・ワークショップ
 7日に政府の緊急事態宣言が出たこともあり、Zoomによるテレ講座となりました。今大流行りのZoomはとても便利ですが、参加者の表情がきっちりと見えないのでもどかしい。コルカタ在住の日本女性も参加したのにはたまげました。

◉4月14日(火)/「響きあう・辞・紀行・網戸絵展」/ギャラリーNUKU3/網戸絵:橋本健治
 この日は短足友の会の宴会も兼ねたオープニングでしたが、やはりコロナのために中止になりました。しばらくして、橋本さんの奥様の詩人、彼末れい子さんの紀行文集『旅にしあれば』が届きました。彼らは結婚50周年とのこと。おめでたいことであります。ちなみに我々はこの4月で42年になりました。

◉4月17日(金)/CAP句会
 予定ではCAPのある「海外移住と文化の交流センター」で参加者が俳句を持ち寄ってそれぞれ批評するということでしたが、神戸市の管理である同センターが休館となり、メール句会になりました。我々夫婦も初めて参加することにしていたのですが仕方ありません。ワダスは次の3句作って送りました。句会の誘いを受けてから「この頃は 常に頭が 五七五」てな感じになってます。

 人の世の いとなみ止まる 風邪籠り
 ひっそりと 葉桜繁り 人恋し
 卒業は 新型コロナ 離れ椅子

 下手な俳句だなあ、我ながら。

===この間に読んだ本===

(*読んで損はない、**けっこういけてる、***とてもよい)

『ジョン万次郎』(マーギー・プロイス/金原瑞人訳、集英社文庫、2018)
『おっぱいマンション改修争議』(原田ひ香、新潮社、2019)
**『ヒトラーと物理学者たち』(フィリップ・ボール/池内了・小池史哉訳、岩波書店、2016)
**『交雑する人類』(デイヴッィド・ライク/日向やよい訳、NHK出版、2018)
*『老子・荘子』再読(森三樹三郎、講談社学術文庫、1994)
『不祥事』(池井戸潤、実業之日本社、2004)
**『古代文明と気候変動』(ブライアン・フェイガン/東郷えりか訳、河出書房新社、2005)
『昭和の落語名人列伝』(今岡謙太郎・中川桂他、淡交社、2019)
**『イスラム最終戦争』1~4(マーク・グリーニー/田村源二訳、新潮文庫、2019)
**『大格差』(タイラー・コーエン/池村千秋訳、NTT出版、2014)
*『大阪的』(井上章一、幻冬舎新書、2018)
*『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』(マイケル・ピュエット+クリステーン・グロス=ロー/熊谷淳子訳、早川書房、2016)
***『フェルマーの最終定理』再読(サイモン・シン/青木薫訳、新潮社電子版、2016)
**『暗号解読』(サイモン・シン/青木薫訳、新潮社、2001)
***『ビックバン宇宙論』上下/再読(サイモン・シン/青木薫訳、新潮社、2006)
***『銃・病原菌・鉄』上下/再読(ジャレド・ダイアモンド/倉骨彰訳、草思社、2000)

===これからの出来事===

 コロナ期間中につきほとんど予定なしです。
◉5月9日(土)/ラーガ講座#11「ラーガとラサ」/アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸/Zoomによるテレ・ワークショップ
 Zoomにアクセスできれば誰でも参加できます。
 https://www.facebook.com/events/1197093690635683/

◉10月31日(土)/圓龍寺ライブ/圓龍寺、和田山/ナカガワユウジ(サーランギー、予定)、グレン・ニービス(タブラー)、HIROS(企画、バーンスリー)
 これもコロナ状況次第です。