めんこい通信2020年11月16日号

◉人の短をいう事なかれ
 己の長をとく事なかれ
 物いへば唇寒し秋の風

---松尾芭蕉

 前回の通信(8月16日)から世界では実にいろんなことが起きました。ざっと主なニュース項目を挙げてみると、前回と同じ理由でアベが辞任し、代わって「行政のデジタル化」を掲げてスガ首相になり、レバノン首都ベイルートの大規模爆発、日本の貨物船のモーリシャス島沖での座礁&重油流出事故、香港警察による民主活動家の逮捕、米国で再び白人警官による黒人銃撃事件、ゆうちょ銀行の不正送金、杉田水脈議員「女性は嘘をつける」発言、持続化給付金詐欺、『半沢直樹』大流行、難解すぎるSF映画『TENET』のヒット、「Go To トラベル」本格始動、スガの日本学術会議任命拒否、中曽根元首相の合同葬、トランプがコロナ感染も3日で退院、欧州でコロナ感染再拡大の兆し、核兵器禁止条約の発効、ナゴルノカラバフ紛争、映画「鬼滅の刃」大ヒット、「大阪都構想」住民投票の否決、そしてアメリカ大統領選バイデン勝利宣言などなど。これらはどれも我々の生活に即座に影響する出来事ではないように見えます。しかし、今やあらゆる物事が網の目のようにどこかで繋がっていることを考えると、ほんのわずかとはいえ間接的に関係してくるでしょうね。
 それにしても、コロナ問題はどうなっていくんだろうか。特にトランプの無茶苦茶な言動や、スガの科学に対するバイアスのかかった学術会議任命拒否などをみると、コロナ禍は国境を越えたグローバルな問題であり科学的対処でしか解決できない問題なのに、人類的視点からの解決に向かう方向性が見えないことに絶望を感じてしまう。仮に日本がコロナに打ち勝ったとしても、インドなどの大流行が終わらなければいずれ再び日本にやってくることは目に見えています。コロナか経済かは難問ですが、トランプは話にならないとしても、我らがスガが大きな視点に立って構えているのかは疑わしい、としか見えないのが悲しい。

◉非生産的生活
 ほぼリタイヤ・ミュージシャンと、ワイン飲みつつ時事報道を消費する配偶者にとっての「社会」とのコミットメントはコロナ以前も以後もほとんど変化がありません。階下のダイエーでの食材購入、マンションの麻雀会や管理組合理事会、たまにあるテレ講座くらいです。移動は、体重増加と運動不足の防止のための散歩くらいしかない。決断を要する行動といえば、今日食べたいものをあれこれ思案し、そのための食材確保行動の他、これまでの日課である読書本の欠乏状態解消のための三宮図書館や書店への徒歩往復、我が家を中心とした散歩コースの選定くらいです。あまりやることがない日々だとみっちり楽器の練習できるだろうと思っていましたが、あまりに暇だとかえって怠けてしまうのでした。極少年金以外のシューニューもほとんどないのでただただ預貯金を切り崩していく生活なんですが、完全破綻までの年数にはそれなりの時間はあり、呑気なことに今のところあまり心配はしていません。
 こんなふうにほとんど消費するだけの我々の生活は生産的とはいえない。でも、ワダスはこれでいいとも思う。人は存在するだけで何も生産しなくともいい。というか、生産の定義にもよりますが、ほとんどの人は何も生産していないのではないか。
 成功する、クリエイティブである、生産的である、積極的である、成長する、主体性がある、といった言葉は肯定的なものとして世間にあふれています。ガッコで教えていた頃はワダスも大学生にも言っていたものでした。しかし、一般に何か人生にとって大事なこと、あるいは善であるかのように喧伝されていること、こうしたものは本当なのだろうかと最近は思うのです。生き延びるための心構えとして学生に叩き込むことも必要かもしれませんが、ひょっとして彼らにストレスを与え続けていたのかもしれません。この歳になってこれまでの自分の生き方を思い返してみると、生き延びることと他者との勝負に勝つみたいなことはほとんど無関係だったわけですから。それにしても、人生にとって勝つとか負けるとかってどういうことなんでしょうね。スポーツだったら選手のたまたまの優劣なのでわかりやすいが、人生の勝ち組、負け組とかは何を基準に誰が判定するのか。
 先日あるテレビ番組で、使われなくなった田舎の廃校舎で若者たちが共同生活をしている様子が紹介されていました。最初に住み始めた30代の青年は「仕事はたまにしかしていない。月2、3万あればなんとかなる。なんとなくみんな勝手にダラダラして生活している。限界集落なので周辺には老人しかいない。土地は余っているので適当に畑仕事もしている。都会で会社勤めをしていた頃と違ってとても自由でストレスがない。ものすごい田舎だけどインターネットは繋がる。これでいいんじゃないの」という彼のブログは人気があるとのこと。彼らのような脱力生活もいいかもしれないなあ、とこれまで脱力だらけのワダスと配偶者は、この冬ようやく(配偶者から)購入を許可されたコタツに入りテレビをぼんやり見ながら思ったのでした。
 
◉『インド音楽序説』電子版

『インド音楽序説』電子版を作りAmazonで売り始めたことは前回の通信で触れました。何しろ退屈しのぎから始めた仕事でこれをもって生活向上を目指したわけではありませんが、予想通りこれまでに売れたのはわずかです。一般の人にはほとんど関心のない内容なので当然ではありますが、これをお読みになっている方でインド音楽に関心のありそうな人がいたら「こんな出てる」と宣伝していただければ幸いです。

 

 

 

===これまでの出来事===

◉8月21日(金)/CAP句会/神戸市立海外移住と文化の交流センター、神戸
 当日参加者(敬称略)は、加川、下田、マスダ、魔女、島村、千里、ナカガワケと野口先生。
 題は「百日紅」。選の多かった句が以下。皆なかなかです。
 さよならの手を上げたまま百日紅(野口)
 母子諍いつつ夏座敷整いつつ(千里)
 背泳で見ている雲の果てはなし(マスダ)
 追い抜いてゆく八月の靴の音(堀本)
 これも縁叩きそびれた小蝿かな(島村)
 老兵のふくらはぎなり百日紅(マスダ)
 ワダスの句は、
 百日紅唐の都の夢の跡
 百日紅ラクダの足に鈴の花
 百日紅漢字の読みに意味滑り

◉8月22日(土)/18:00~/ラーガ基礎講座#14 ~ラーガ音楽演奏の構造~ /アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸/ HIROS: プレゼンター

◉9月1日(火)/CAPオンライン講座「90年代のジーベックの役割」/プレゼンター:下田展久、聞き手:中川真、HIROS
 オンラインでのズーム講座でかなりの人たちが参加しました。ワダスも企画・制作者として関わった90年代当時のジーベック・ホールの活動というのは今思えば歴史に残っていい充実したものでした。コンサートやワークショップなどから次々と人材も育っていったあの熱気は再びやってくるのだろうか。

◉9月12日(土)/ラーガ基礎講座#15 ~ターラ~ /アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸/ HIROS: プレゼンター

◉9月19日(土)/レッスン
 ラーガ基礎講座に初めて参加した鈴木聖子さんがバーンスリーを習いたいと来宅。雅楽の龍笛を演奏していたとかで笛は慣れているのですが、いかんせんバーンスリーは指穴の間隔が広くて初心者には難しい。鈴木さんは阪大の先生で、なんと去年のサントリー学芸賞受賞作『<雅楽>の誕生』の著者でした。著作をいただいて読みましたが受賞にふさわしい力作でした。

◉9月25日(金)/CAP句会/神戸市立海外移住と文化の交流センター、神戸
 参加者(敬称略)は、加川、島村、横山、千里、マスダ、下田、ナカガワケ、野口指導者
 選の多かった句が以下。題は「バッタ」。
 バス通り左に迫る虫の闇(千里)
 蜩はすべてに終わりが有ると鳴き(下田)
 ワダスの句は以下。句作というのは難しいものです。
 草を食むバッタ目がけて雀舞う
 父母去りぬ故郷遠くいなご食い
 稲の香やバッタとび跳ねかさこさと 
 
◉9月27日(日)1100~/ボディーフォーカシングWS'音浴'/Ton Placer Kazemai Theater、神戸/ダンス指導:角正之、音楽:HIROS(バーンスリー)
 コロナ禍での久しぶりの'音浴'でした。ワダスはバーンスリーの他に、ラーガを声で歌ったのでした。参加者の一人で舞踏をされるという女性から『レヒーナ』という本を紹介されたので早速読んでみました。チベット、メキシコを舞台に不思議な能力を持つ混血女性の物語です。実話だとネットに書かれていましたが、作者の創作部分がほとんどなのではと思います。メキシコ・オリンピックの年に起きたトラテロルコ事件の描写が印象的でした。

◉10月9日(金)/ラーガ基礎講座#16 ~ドローンの役割~ /アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸/ HIROS: プレゼンター
◉10月10日(日)/レッスン
◉10月11日(月)/レッスン

 かつてバナーラスでタブラーを習い、その後名古屋に住んでインド式ヴァイオリンを習っていた北原寛隆さんが「どうもヴァイオリンは僕の体に合わないみたい。で、バーンスリーの方がいいかなと思ったので習いたい」とやってきた。レッスン後「これから四国巡礼に行きます。巡礼中に練習します。えっ、泊まるところですか? 野宿ですよ」と帰っていったのでした。結構寒い季節になっちゃったけど、どうしているんだろう。

◉10月15日(木)/音と動きの即興対話『五鬼の賦』/酒心館、神戸/角正之:ダンス、東仲一矩:フラメンコ、久田舜一郎:小鼓、喜多直毅:ヴァイオリン、黒田京子:ピアノ
 コロナ禍で人が集まるコンサートが中止になったり延期になったりしている状況です。現にワダスの数少ないコンサートや企画も今年はすべて中止でした。その中で久々にダンス公演を観に行きました。彼のスタジオでたびたび演奏しているコンテンポラリーダンスの角さんと、長い付き合いの短足友の会メンバーでありかつ同じ舞台を作ったりしてきたフラメンコ・ダンサー東仲さんの二人の舞踊家の舞台ということで、知り合いの顔が数多く見えました。角さんとシリーズで舞台を作ってきた小鼓の久田さん、ヴァイオリンの喜多直毅さん、ピアノの黒田京子さんという音楽隊との組み合わせもとても良かった。
 それにしても、70歳を超えた二人の踊りは鬼気迫るものでした。いかにもダンサーらしい均整のとれた痩身の二人の動きもシャープで、全く「枯れた」ロージンとは程遠い。
 トンチャンこと東仲さん応援団の短足友の会からは、植松奎二+渡辺信子夫妻、幸田庄二+杉岡真紀子、曽我了二夫妻、岡田淳+由紀子夫妻、橋本健治+例子夫妻、西村房子+大川マスター、瀬口、小川和夫(敬称略)が参加。久しぶりに再会でした。

◉10月22日(木)/CAP句会/神戸市立海外移住と文化の交流センター、神戸
 参加者(敬称略)は、岩出、マスダ、アルパカ+千里夫妻、ナカガワケ、野口先生と、いつもよりもぐっと絞られたメンバー。
 選の多かった句が以下。題は「コスモス」。
 秋の空たゆたう鳶の点となり(久代)
 コスモスや連なる子音唇に(野口)
 母と居て毬となる我栗を剥く(マスダ)
 ワダスの句は以下。
 童女やけなげに揺れる秋桜
 コスモスや風にあらがい宙を観る
 秋桜夢巡らせてメヒコの野
 コスモスがメキシコ原産であること、その秩序だった花弁からスペイン人がコスモス(秩序)と名付けたことなど、知らないことが多いものです。

◉11月5日(木)/高齢者講習/ジェームス山自動車学院、神戸
 警察から「更新時に70歳を超える人は高齢者講習を受けるべし」。うっすらと自覚はあるものの普段は年齢を気にすることはないのですが、ついにその対象になったのだと思い知るのでした。ということで、久しぶりにJRに乗り須磨にあるジェームス山自動車学院へ行ってきました。ポートアイランドにも自動車学校はあるのですが、電話すると年内は予約がいっぱいとのこと。我々の住む島も老人だらけになったということか。
 60歳を超えると動体視力や夜間視力が急激に落ちてくるとか、視野が狭くなるとか脅かされつつ、車庫入れとかクランクやらのあるコースを運転し無事終了。当たり前ですが6人の参加者も講師も全員ロージンなのでした。歩行の怪しい女性もいました。
 運転する機会も極端に減っているので自主返納して身分証明書として使える運転経歴証明書を取ろうかとも考えました。そこで、散歩がてら写真を持ってわざわざ近くの海上警察署へ行ってみると写真のサイズが合わないとか言われる。ハサミで切ってサイズを合わせてもダメらしい。まったくお役所仕事の典型。内地の県警まで行くのも面倒なので講習を受けることにしたのです。
 免許の更新をすると75歳になるまで有効となり、それ以降は認知検査などというものも受ける必要があるとのこと。ま、それまでは一応運転できるようにしておくことにしたのでした。

◉11月6日(金)/ラーガ基礎講座#17 ~ビラーヴァル・タートのラーガ~ /アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸/ HIROS: プレゼンター
 参加者はすべてオンラインでしたが、森すみれさんの事務所で講座でした。終わってから二人で定例の<とり好し>で打ち上げでした。

===この間に読んだ本===
(*読んで損はない、**けっこういけてる、***とてもよい)

◉『誰が音楽をタダにした?』***(スティーヴン・ウィット/関美和訳、ハヤカワ文庫、2018)
--音楽がデジタル情報として流通するきっかけになったMP3の開発、規格の乱立と当時の音楽流通業界との確執などなど、結果的に現在のような音楽流通のあり方に至った物語。一気に読めました。 

◉『滅亡へのカウントダウン』上下***(アラン・ワイズマン/鬼澤忍訳、ハヤカワ文庫、2017)
--これを読むと人類の未来に対して相当絶望的になります。気候変動だけではなく、水や農水産資源、エネルギー資源などなど、どの要素をとっても我々は滅亡へ向かってひた走っているように思えてきます。いつまでも成長だ成長だと叫び続ける人に特に読んで欲しい。

◉『サピエンス異変』**(ヴァイバー・クリガン=リード/水谷淳・鍛原多恵子訳、飛鳥新社、2018)
--私たちが生きるこの地球の「地質年代」は、1万年以上続いた「完新世」に次いで、「人新世」という新たな段階に突入している。そして文明が生み出したこの「人新世」によって、いまや私たち自身がつくり変えられようとしている―。欧米の歴史教科書に追加されつつある「人新世問題」をめぐる衝撃の書!--Amazonの書籍紹介より

◉『芭蕉』(田中善信、創元社、2013)

◉『奇想、宇宙をゆく』**(マーカス・チャウン/長尾力訳、春秋社、2004)
--難解すぎて普通の頭ではとてもついていけない奇想天外な物理学者たちの発想に驚かされます。

◉『13億人のトイレ』***(佐藤大介、KADOKAWA、2020)
--インド全土にトイレを普及させるという「スワッチ・バーラト」を提唱し、昨年2019年に「成功した」と高らかに宣言し、その功績でビル・ゲイツ財団から表彰されたモディ首相だが、宣言とは裏腹な実態が特派員記者の取材で明らかにされる。今や世界一かもと言われる人口を持つインドの底知れない混沌とした社会状況には、ずっと縁があったワダスとしても人ごとではない気がします。

◉『音楽が聴けなくなる日』*(宮台真司+永田夏来+かがりはるき、集英社新書、2020)
--電気グルーヴのピエール瀧の麻薬取締法違反容疑逮捕に伴ってなされたレコード会社の音源・映像の出荷停止、在庫回収、配信停止のおかしさを様々な視点から抉り出している。読めば読むほど、日本の会社の思考停止と右へ習えの度が酷くなりつつあることを痛感する。

◉『狙撃者のゲーム』*上下(スティーヴン・ハンター/公手成幸訳、扶桑社ミステリー、2019)

◉『憂鬱と官能を教えた学校』**再読(菊池成孔、河出書房新社、2004)

◉『レヒーナ』上下**(アントニオ・ベラスコ・ピーニャ/竹西知惠子訳、ナチュラルスピリット、2002)
--読み物としてなかなかでした。とはいえチベット僧によってスピリチュアルな訓練を受けたドイツとメキシコ原住民の混血女性が、メキシコを覚醒させるという話は実話というにはかなり怪しい。メキシコ・オリンピックの年に起きたトラテロルコ事件の描写が印象的でした。トラテロルコ事件については、去年のキュアロン監督によるアカデミー賞受賞作品「ローマ」でも静かに不気味に描かれています。

◉『デンジャラス』*(桐野夏生、中央公論社、2017)
--「谷崎潤一郎」を題材に、桐野夏生が織りなす物語世界から炙り出される人間たちの「業」と「欲」。実際の話だったのかもしれないと思わせる。

◉『嫉妬の時代』再読(岸田秀、飛鳥新社、1987)
◉『俳句脳』(茂木健一郎+黛まどか、角川書店、2008)

◉『<雅楽>の誕生』**(鈴木聖子、春秋社、2019)
--昨年2019年のサントリー学芸賞〔芸術・文学部門〕受賞作品。〈雅楽〉とはなにか――近代日本において「科学」を通して日本音楽の研究に終生取り組み、現代われわれが知る〈雅楽〉の概念を作り上げた人物・田辺尚雄。田辺は当時最先端の音響学や進化論などの知見にもとづいて日本の音楽を研究、「日本音階」の探究から出発し、〈雅楽〉を核とする「日本音楽史」を編み上げ、さらには遠くシルクロードのむこうに〈雅楽〉の悠久の響きを追い求めた。つくられた〈雅楽〉の真相に迫る画期的論考。-Amazon書籍紹介より 

◉『ユングのサウンドトラック』*(菊地成孔、河出文庫、2015)
◉『インド人の「力」』**(山下博司、講談社現代新書、2016)
◉『京都ぎらい官能篇』*(井上章一、朝日新書、2017)
◉『レッド・メタル作戦発動』**上下(マーク・グリーニー/伏見威蕃訳、ハヤカワ文庫、2020)

◉『アメリカーナ』***(チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ/くぼたのぞみ訳、河出書房新社、2016)
--久々に小説の世界にはまりました。作者はナイジェリアからアメリカに留学した女性です。大きな事件が起きるわけではないが、短い描写によって登場人物の的確な表情を描き出した「恋愛小説」。我々がアメリカに対して思っている黒人と白人といった図式とは違った視点での人種差別の実態が浮かび上がる。

◉『ミレニアム6』*上下(ダヴィド・ラーゲルクランツ/ヘレンハルメ美穂+久山葉子訳、早川書房、2019)
◉『緊急提言 パンデミック』***(ユヴァル・ノア・ハラリ/柴田裕之訳、河出書房新社、2020)
◉『しのびよる破局』*(辺見庸、大月書店、2009)

◉『わたしはナチスに盗まれた子ども』**(イングリット・フォン・エールハーフェン&ティム・テイト/黒木章人訳、原書房、2020)
--両親と思い込んでいた夫婦からなぜか愛されなかった著者が、実はナチスが純潔アーリア人の子供を生産するべく作った組織<レーベンスボルン>からもらわれてきた子供だったことがわかってくる。優生思想と千年王国を夢見たナチスのおぞましい歴史が明らかになる。

===これからの出来事===

 例年通りというか、コロナ禍もあって輪をかけてヒマなのでほとんど予定もありません。とはいえ12月20日には1年ぶり以上のワダスの演奏があります。

◉11月19日(木)/ピアノ作品リハーサル/スペース天、大阪
 友人のタマゴこと中川真さんからインド音楽が専門のワダスにピアノ曲を作って欲しいというかなり変な依頼を受けて作った曲のリハーサルです。ワダスのへんてこりんな曲は彼のサウンドスケープ的手法で編集され一つの作品として発表されるとのこと。
 実際の演奏は、12月11日(金)東京の松濤サロンで、1843年プレイエル社製フォルテピアノを使い大井浩明さんの演奏によって行われるとのことです。タマゴ作曲以外にもシューマンの作品も演奏される予定のようです。
 どんなおかしな曲になるのか期待しています。

◉11月20日(金)/CAP句会/神戸市立海外移住と文化の交流センター、神戸

◉12月5日(土)/ラーガ基礎講座#18 ~カマージ・タートのラーガ~ /アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸/ HIROS: プレゼンター

◉12月20日(日)18:00~/北インド古典音楽演奏会「月に捧げるラーガ」/スペースMa、神戸/中尾幸介:タブラー、HIROS:バーンスリー
 ラーガ基礎講座というのをここ2年ほど続けてきた森すみれさんのスペースMaで実演することになりました。タブラーは、最近、宇治から甲賀の田舎に移り住んだ中尾幸介さん。マンションの一室なので10人も入ればいっぱいになる限られたスペースでの演奏です。久しぶりのHIROSの演奏をどうしても生で聴きたいという方は申し込んでください。予定では、インターネットでライブ配信されるはずです。