めんこい通信2021年2月27日号

◉低FODMAP食品
 ずっと続いて10年以上になるハラハリをなんとか解消したいとかねがね思っているのですが、先日、明石に住む義妹から「役に立つかも」と生々しい小腸のイラストの表紙の『新しい腸の教科書』(江田証、池田書店、2020)が送られてきたのでした。早速読んでみると、ハラハリ原因の一つがSIBO(小腸内細菌異常増殖)だとしたら高FODMAPを避け低FODMAP食品をとるべし、とあったので、2月1日から3週間、それなりに徹底して低FODMAP食品なるものだけを食べたのでした。FODMAPというのは、発酵性(Fermentable)、オリゴ糖(Origosaccharides)、二糖類(Disaccharides)、単糖類(Monosaccharides)、ポリオール(Polyols)の頭文字です。避けるべき高FODMAP食品のリストには、ムギ類、豆類、繊維の多い野菜に、玉ねぎ、にんにく、甘味類、牛乳、ジュース類、甘い果物などがずらりと並んでいます。それまでほぼ毎日食べていた納豆、キムチ、漬物も、うどん、パスタなどもダメ。で、3週間後どうなったか。解消しませんでした。年季の入ったワダスのハラハリは、多分、加齢による消化器官の構造的機能低下なのかもしれません。また、加齢による機能低下現象は消化器官だけではなく、目にも現れたようです。目の周辺が痒くなり近所の眼医者に見てもらうと、目の痒みは結膜炎とのことでしたが、同時に「角膜が緩んでる」と言われてしまったのでした。加齢によって角膜がたるみ視力の低下の原因にもなっていると。となると、やっぱり、これまでのようにハラハリとも付き合っていくしかないのか。あるいはある日、何かしらの偶然によってポストハラハリ時代に突入した自分を発見することになるのか。
  
◉おかしな感染症対策
 我々の住むマンションには寿会エバーグリーン麻雀同好会というのがあり、週2回の麻雀を楽しみにしている住民が30名ほどいます。会員はほとんど70代過ぎ。しかしコロナ禍のせいでここのところ休会。また、管理組合の理事会も緊急事態宣言の前から中止が続いています。いわゆる「三密」を避けるためです。
 この三密とかマスクとか手洗いは、ウイルスを拡散する人が近くにいて、咳や会話でウイルスの飛沫を飛ばしたりいろんなものに触ったりすることから守るということが目的です。テレビのワイドショーなど、コメンテーターの横に透明アクリル板が設置されているのも同じ理由です。しかし、こうしたことは、無症状のウイルス拡散者がいなければ必要がないものです。感染拡大を防ぐ方法はそうした人たちをいち早く検出し隔離することです。しかし、今の政府の検査軽視のやり方はそうなっていない。なんでだろう。関係する様々な人たちの利害やプライドが複雑に絡み合って視界狭窄になっているのか、などとずっと家に篭ってぼんやりとテレビを眺めて思うのでした。

◉近眼の運転手
 この社会をベターなものにするために我々が雇用している人たちの、次々に起こる失言やら無策ぶりやら隠蔽やら開き直りやらのニュースに接していると、怒りや情けなさを通り越し、もはや笑ってしまうしかない状況です。
 視力が正常で運転操作が確かという評判で結構な給料で雇われたはずの運転手が、実はかなりの近眼なのにメガネもつけずに車を動かしている。これも結構な給料で雇ったはずのナビゲーターたちは、それぞれ違った地図と景色と同僚を見ながらあれこれと口に出し、まちまちの方向を示す。運転手は、彼らのいうままに右や左にハンドルを動かし、アクセルを踏んだりブレーキを踏んだり、時にアクセルとブレーキを同時に踏んだりしている。「あんた以外に適当な人がいなかったので」と言われて雇われた70代の運転手は、同輩たちの嫉妬や陰謀による解雇の恐怖に怯える内心を気取られないよう自信ありげに前方を見る。彼は、車が進んでいるのか停滞しているのか後退しているのか確信を持てないまま、ちゃんと運転してるでしょ、とばかりに同乗者に目をやるが、彼らの目は冷たい。大量の無駄な燃料を消費しつつ、車は止まったり進んだり車体を軋ませ、はっきりしない目的地へ向かってノロノロと進む。ときおり、古くなった車体の一部がどこかへ飛び去る音がする。ただでさえひどい近眼も原因だが、マスクをつけた同乗者たちの臭い呼気で、フロントガラスやバックミラーがぼんやりと曇り前後がちゃんと見えない。体にぴったりしたふかふかした運転席は座り心地がよいが、同乗者たちの喋り声や、後続車のクラクション、次々と追い抜いていく車の音がうるさく気にさわる。オイル交換時期がとっくに過ぎた排気量の小さな古いエンジンは燃焼効率が悪く、ギアもすり減っているので、アクセルを踏んでもどんよりとしか応答しない。
 車が日本在住民、運転手がスガ、同乗ナビゲーターが政治家、官僚、御用学者たちと思える夢でした。

 ◉『インド音楽序説』電子版

『インド音楽序説』電子版を作りAmazonで売り始めたことはこの通信でしぶとく触れましたが、予想通りこれまでに売れたのはわずかです。一般の人にはほとんど関心のない内容なので当然ではありますが、これをお読みになっている方でインド音楽に関心のありそうな人がいたら「こんなの出てる」と宣伝していただければ幸いです。

 


 

 

===これまでの出来事===
 コロナ禍で自宅生活周辺以外の「出来事」はほとんどありません。全く最近は非活動的というか非社交的で、身体維持活動のみに徹したロージン的ヒマモテアマシ状況ですが、項目だけ以下に書いておきます。

◉11月20日(金)/CAP句会/神戸市立海外移住と文化の交流センター、神戸
 参加者(以下、敬称略)は、野口指導者を初め、岩出、加川、下田、ナカガワケ、中村、マスダ、千里+アルパカ夫妻、横山
 選の多かった句が以下。兼題は「コスモス」。
  母と居て毬となる我栗を剥く
  コスモスや連なる子音唇に
  秋の空たゆたう鳶の点となり

◉11月26日(木)/リハーサル/自宅、神戸/中尾幸介+アイコ宿泊
 12月20日予定の久しぶりのワダスの演奏会にタブラー伴奏をお願いした中尾幸介君と配偶者のアイコさんが来宅し、練習と宴会でした。
 彼らは、ワダスのヒジョーシキコーシ時代に何度か泊めてもらった宇治から滋賀県日野町の田舎に引っ越したとのこと。コロナ禍でライブ演奏もめっきり減った幸介君は「ほとんど大工です」と借り賃格安古民家の改修に専念し、「最近なんと本も出た」というアイコさんは刺繍指導で忙しいらしい。

◉12月5日(土)/ラーガ基礎講座#18 ~カマージ・タートのラーガ~ /アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸/ HIROS: プレゼンター
◉12月14日(月)/第71回中川久代生誕記念2人宴会/もりもり寿司、三宮
◉12月18日(金)CAP句会/神戸市立海外移住と文化の交流センター、神戸
 参加者(敬称略)は、野口指導者を初め、岩出、加川、下田、ナカガワケ、中村、マスダ、横山
 選の多かった句が以下。題は「数え日」。
  数え日や牛蒡脇差すエコバッグ
  電飾が先に年の瀬連れてくる
  山の端を透けた大根冬の月

◉12月20日(日)18:00~/北インド古典音楽演奏会「月に捧げるラーガ」/スペースMa、神戸/中尾幸介:タブラー、HIROS:バーンスリー
 小さなスペースでしたが、ものすごく久しぶりに聴衆を前にした演奏でした。男性は我々の住むマンションの管理会社のYさん一人で後は全て女性。京都でバーンスリーを演奏しているという渡部さんも参加。演奏後は森すみれさんお手製のカレーでした。

◉1月1日(金)/駒井家
 久しぶりにJRに乗り西明石の駒井家でおせちを頂いたのでした。甥も姪もその子供たちもいない、老夫婦ツーセットのみの静かな宴会の図。
◉1月7日(木)/非常事態宣言
◉1月8日(金)/ラーガ基礎講座#19 ~カーフィー・タートのラーガ~ /ZOOM講座/ HIROS: プレゼンター
◉1月22日(金)/CAPメール句会
 緊急事態宣言ということで投句も選句もメールでのやりとりになりました。

◉1月23日(土)/第71回HIROS生誕記念日
 当日は特別な式典も宴会もなかったのですが、数日後に夫婦でお寿司宴会を敢行したのでした。

◉2月6日(土)/ラーガ基礎講座#20 ~アーサーワリー・タートのラーガ~ /ZOOM講座/ HIROS: プレゼンター
◉2月13日(土)/インド音楽基礎講座#1 ~概論/ZOOM講座/ HIROS: プレゼンター
◉2月26日(金)/CAPメール句会/神戸市立海外移住と文化の交流センター、神戸
 参加者(敬称略)は、野口指導者を初め、アルパカ+知里、岩出、下田、ナカガワケ、野田、マスダ、横山
 選の多かった句が以下。題は「猫の恋」。
 冴え返り土鍋なみなみ出汁をとる
 影ごとに陽の寄り添うて春の風
 春寝床四角の光見つめおり
 無沙汰詫び雛人形の髪を漉く

===この間に読んだ本===
(*読んで損はない、**けっこういけてる、***とてもよい)

◉『海坂藩大全』上下*(藤沢周平、文藝春秋、2007)
◉『半分のぼった黄色い太陽』***(チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ/くぼたのぞみ訳、河出書房新社、2010)
◉『須賀敦子』再読***(池澤夏樹=個人編集 日本文学全集、河出書房新社、2016)
◉『なぜ世界は存在しないのか』再読**(マルクス・ガブリエル/清水一浩訳、講談社選書メチエ、2018)
◉『人新世の「資本論」』***(斎藤幸平、集英社新書、2020)
 30代著者による話題の本。こういう若者が出てきたことに少し希望が湧いてきます。読みながらかつてトロツキストであった学生時代を思い出すのでした。
◉『ウダイ・プラカーシ選集』*(ウダイ・プラカーシ/石田英明編訳、大同生命国際文化基金、2011)
◉『疾病と世界史』上下***(ウィリアム・H・マクニール/佐々木昭夫訳、中公文庫、2007)
◉『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』***(ミチオ・カク/斎藤隆央訳、NHK出版、2015)
◉『破壊する創造者 ウィルスがヒトを進化させた』再読**(フランク・ライアン/夏目大訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫、2014)2014
◉『未来への大分岐』**(マルクス・ガブリエル+マイケル・ハート+ポール・メイソン 斎藤幸平編、集英社新書、2019)
◉『地球を「売り物」にする人たち』**(マッケンジー・ファンク/柴田裕之訳、ダイヤモンド社、2016)
◉『新しい腸の教科書』(江田証、池田書店、2020)
◉『句会入門』*(長谷川櫂、講談社現代新書、2020)
◉『気候変動クライシス』*(ゲルノット・ワグナー+マーティン・ワイツマン/山形浩生訳、東洋経済新報社、2016)
◉『ナニカアル』**(桐野夏生、新潮社、2010)
◉『猿の見る夢』*(桐野夏生、講談社、2016)
◉『ウイルスの意味論』**(山内一也、みすず書房、2018)
◉『なぜペニスはそんな形なのか』***(ジェシー・ベリング/鈴木光太郎訳、化学同人、2017)
◉『バラカ』**(桐野夏生、集英社、2016)
◉『ハーバード大学は「音楽」で人を育てる』(菅野恵理子、アルテスパブリッシング、2015)
◉『ダーウィンが愛した犬たち』**(エマ・タウンゼント/渡辺政隆訳、勁草書房、2020)
◉『長いお別れ』*(中島京子、文藝春秋、2015)

===これからの出来事===

 ますます輪をかけてヒマでほぼ予定はありません。

◉3月6日(土)18:00~/ラーガ基礎講座#21 ~ヴァイラヴ・タートのラーガ~ /アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸/ HIROS: プレゼンター