めんこい通信2021年5月23日号

◉五輪はいずこ
 いろんな世論調査によれば半数以上の人々が五輪は中止すべしと思っているらしいのですが、わがスガソーリは何がなんでもやるという決意のように見える。国会中継をぼんやり見ていたら、議論が全く噛み合っていない。野党議員に「感染状況がどんなであっても五輪は開催するのか」「五輪選手を国民より優先するのか」と問われて「そうだ」とも「そうでない」とも言わず、質問への回答をはぐらかす答弁に終始したというか同じ内容の答弁書の朗読を繰り返していた。これでは議論どころか普通の会話もできない。まともに質問に答えない理由が何かは分かりませんが、こうした五輪にまつわる答弁だけではなく、今の政府のコロナ対策や、息子も関係した接待疑惑や、学術会議問題やら福島原発汚染水放出決定やらに対する、結局何が言いたいのか不明の、無内容の会見を見ると、納税者の委託を受けて働くはずの行政府の長であるスガは、本人と本人周辺の関係者の利害の調整で頭がいっぱいなんだと類推できる。スガがテレビでどこかおどおどした表情で喋っている姿を見ると、浅ましい欲にがんじがらめになった男の悲哀しか感じない。ま、タムラ厚労相やらタケダ総務相やらマルカワ五輪担当相やらの閣僚や、バッハやユリコも似たようなもの。ともあれ、昨年アベが五輪延期を決めた時点での感染者数を今や遥かに超え、変異種の登場でさらにいよいよ危機的状況に陥っているこの時期に、ずっとずっとややこしい対応と本来不要であったはずの多額のゼニが必要な五輪を中止と言えない事情とは一体どんなものなのか、ワダスだけではなく多くの納税者にとっても全く理解できないことだと思うのでした。
 こんなことはすでに皆さんはご存知かと思いますが、5月10日の日刊スポーツの記事を参考まで。
 ワダスは先日、宇都宮健児さんの立ち上げたチェンジ・オルグの五輪中止に署名しました。こうした署名活動を通して中止に追い込めればいいのですが、どうなることか。五の輪が重なる五輪マークを見ていると、5大陸というよりも、一つ一つの輪がコロナウイルス変種のイギリス型、インド型、南ア型、ブラジル型、日本型を象徴しているように見えてくるのでした。5大陸の変異種が東京に集まって優劣を競う、みたいな。

◉ナカガワケの散歩コース
 こんなふうに、相変わらずの政治家、官僚(特に医系技官を要する厚労省)、いわゆる専門家やメディアの混沌とした状況には絶望しか感じられませんが、ナカガワケの日常は淡々と進んでいるのでした。昨年2月以来、たまに三宮あたりに出かけることはあっても、生活はほとんどこの人工島内で完結するので、移動と言えば運動不足解消のための散歩くらいしかありません。皆さんにはどうでもいいことですが、ナカガワケの散歩コースについてちょっと書いておきます。
 まず島外への散歩。主に図書館と買い出しを兼ね月に2度ほどの往復約3時間コース。コース名はOSコース。Oは大安亭市場、Sは三宮のこと。最近はあまり本を買わないので、読書本はほとんど三宮図書館で借りる。この図書館の蔵書は相当に貧弱なので、神戸市内の図書館から取り寄せることのできるものを予約して借りています。大安亭市場にはかの業務スーパーがあり、備蓄可能な冷凍食品などを買います。業務スーパーで売っている食品はどれも単位量が多く安い。三宮では旧そごうデパート地下でたまに刺身とか寿司を買う。
 島内は、通常はA、B、C、ITの3コースで、ごくまれにAPまで。Aは神戸大橋のアーチの下ということで命名。内地と島をつなぐ神戸大橋を挟んで東西に延びる細い突堤の釣り人たちを眺めながらのほぼ1時間のコースです。Bコースは、かつての神戸夙川学院大学、兵庫医療大学、神戸学院大学のキャンパスが南北に伸びている海沿い(B:ビーチ)のコース。たまに大学内の書店で本を買うこともあります。Aよりはちょっと距離は足りませんがやはり約1時間。Cは市民病院、医療系研究所、世界最速とされる「富岳」コンピュータ(C:コンピーュタ)のある理研のビル、動物王国とかを眺めつつ一直線に島の南端へ。神戸空港を対岸に見ながらの緩い起伏の散歩コースが整備されていて、西には明石大橋や淡路島も見えます。所要時間は約1.2時間。そしてITは、イケヤ(I)、東京インテリア方面(T)。多分一番頻度が高い。我が家からの直線距離はしれていますが、イケヤ店内を脇目も触れず矢印に従って歩くと800mあるので往復で約1時間かかります。イケヤ小判鮫の東京インテリアには滅多に立ち寄らないけど、割引札のついたコタツを発見し、この冬ついに購入に至ったのでした。APは神戸空港。我が家から三宮までとほぼ同じ距離にあり、車の往来が多いので滅多に行きません。往復すると2時間。

◉『インド音楽序説』電子版

『インド音楽序説』電子版がAmazonで売られています。一般の人にはほとんど関心のない内容ですが、これをお読みになっている方でインド音楽に関心のありそうな人がいたら「こんなの出てる」と宣伝していただければ幸いです。Amazonへ

 


 

 

 

 

===これまでの出来事===
 コロナ禍で自宅生活周辺以外の「出来事」はほとんどありません。全く最近は非活動的というか非社交的で、身体維持活動のみに徹したロージン的ヒマモテアマシ状況ですが、項目だけ以下に書いておきます。

◉3月3日(水)/「咲いてこ」録音/神戸市立海外移住と文化の交流センター、神戸
「咲いてこ」(作詞:マスダケイコ/作曲:シモダノブヒサ)という曲はCAPの「嘘の連続テレビ小説『そめてこっ』展で発表した主題歌です。この展示は春のオープンスタジオ「FACE 〜見せてこっ〜」の一つのプログラムとして行われました」(CAP)。
この曲の背景にバーンスリーをひゃらひゃらと吹いて欲しい、という依頼が作曲した下田さんからあり、CAPの事務所に出かけて録音してきました。下田代表殿は「1時間もかからないすよ」とのことでしたが、実際は3時間くらいかかってしまったのでした。曲のキーに合わせて持っていった笛(D管)が間違い。インド音楽のドレミであるサレガマ運指と五線譜の照合に頭が混乱をきたしたのでした。
 作曲家下田展久の面目躍如たる曲は素晴らしいので聞いてみてください。CAP界隈だけで流通するにはもったいない曲です。YouTubeへ

◉3月12日(金)/「植松奎二 〜 みえないものへ、触れる方法 - 直観」展/芦屋市立美術博物館

 小雨の中、旧来の友人である植松奎二さんの展覧会へ。館全体を使った植松さんの作品展は見応えがありました。木材を組み合わせた新しい大きな作品「見えない力 - 軸・経度・緯度/可変、角材、ワイヤー、万力、ステンレス、コップ、水」が大迫力でした。昔の映像作品もあり、その中で<Drawing-Black>が特に印象に残ったのでした。少女、自動車、建物のある写真の輪郭がマジックでじわじわと塗り潰されていく作品。認知症患者だけではなく我々の記憶もあんな風に次第に失われていくことを暗示させるような感じです。会場には短足友の会の幸田・杉岡マキちゃん、岡田淳夫妻、曽我了二夫妻や、サウンドアートの藤本由紀夫さんらの姿も見えました。
 植松さんから、本人出演の展覧会の動画もよかったら見て、とメールが届き早速見てみました。作品のコンセプトがよくわかってとてもよかった。YouTube動画

◉4月3日(土)/ラーガ基礎講座「基本のき」インド音楽の特徴 /アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸/ HIROS: プレゼンター

◉4月4日(日)/駒井家より鹿肉入手
 義妹夫婦から「大量の鹿肉が入った」との連絡を受け、ローストした肉を届けてもらったのでした。鹿肉は初めてでありがたくいただきました。ちょっと硬めでしたが、味はとてもよかった。

◉4月29日(木)/佐久間新+ウィヤンタリ来宅
 佐久間夫妻が老人安否確認的訪問。お父さんの入退院、長男ブナの大成長、最近の佐久間さんの活動、ウィヤンタリや妹ハナちゃんの近況とか、アート関連のおしゃべりとか、やはり直接会って話すと楽しいものです。持参のインドネシア産コーヒー、ウィヤンタリ特製のインドネシアン・スイーツも美味しかった。

◉5月5日(水)/新井孝弘+裕子夫妻来宅
 3月にインドから帰国していたサントゥール奏者の新井さんと裕子さんが来宅。新井さんはコロナでなければ例年の今頃は日本ツアーで忙しくしていたはずですが、それがなくなり神戸の裕子さん宅で練習の日々とのこと。

◉5月6日(木)/奥山雅子さん来宅
 かつて京都の大学へ通っていた頃にしょっちゅう居候させていただいていた山科の雅子さんですが、ご長男の央志さんが我が家から近いマンションに越して来られ、二人で挨拶にみえました。折しもご近所の木村夫妻と麻雀卓を囲んでいました。

◉5月8日(土)/ラーガ基礎講座「基本のき2」ラーガに入る前に /アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸/ HIROS: プレゼンター

===この間に読んだ本===

(*読んで損はない、**けっこういけてる、***とてもよい)

『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』**(パット・シップマン/河合信和監訳+柴田譲治訳、原書房、2015)
『図解インド経済大全 』*(佐藤 隆広, 上野 正樹編集、白桃書房、2021)
『ダリウスは今日も生きづらい』*(アディーブ・コラーム/三辺律子訳、集英社、2020)
『ゲンロン10』*(東浩紀他、株式会社ゲンロン、2019)
『ブラッド・ランド』上下**(ティモシー・スナイダー/布施由紀子訳、2015)
『南アジア史』*(辛島昇編、山川出版社、2004)
『重力波は歌う』**再読(ジャンナ・レヴィン/田沢恭子+松井信彦訳、早川書房電子版、2016)
『ビートルズと旅する芸能と神秘の世界』**(井上貴子、拓殖書房新社、2007)
『命がけで南極に住んでみた』***(ゲイブリエル・ウォーカー/仙名紀訳、柏書房、2013)
『サブカルズ』*(松岡正剛、角川ソフィア文庫、2021)
『ナバホへの旅たましいの風景』(河合隼雄、朝日新聞社、2002)
『現代俳句の世界9 西東三鬼集』**(西東三鬼、朝日文庫、1984)
『孤独の科学』**(J.T.カシオポ+W.パトリック/柴田裕之訳、河出書房新社、2018)
『大航海時代』*(ボイス・ペンローズ/荒尾克己訳、ちくま学芸文庫、2020) 
『竹の文化誌』(スザンヌ・ルーカス/山田美明訳、原書房、2021)
『責任という虚構』***(小坂井敏晶、ちくま学芸文庫、2020)
『進化は万能である』***(マット・リドレー/大田直子・鍛原多恵子・柴田裕之・吉田三知世訳/ハヤカワ文庫、2018)

===これからの出来事===

 ますます輪をかけてヒマでほぼ予定はありませんが、7月末から8月にかけてはCAPアート林間学校の一環としてZoom講座を開く予定にしています。今回は、ペルシアのサントゥール奏者、谷正人さんと組んで、ペルシア音楽とインド音楽について何回かに分けて喋ったり演奏したりする予定です。

◉6月5日(土)/ラーガ基礎講座「基本のき3」ラーガ /アーツ・コミュニケーション・ラボ、神戸/ HIROS: プレゼンター

CAPアート林間学校Zoom講座◉
 以下は、とりあえずの予定です。変更があるかもしれませんが。

◉7月31日(土)20:00-)/アジアの音楽シリーズ #1「ペルシア音楽の全体像」/講師:谷正人(ペルシアンサントゥール演奏家・イラン音楽研究)/参加費:1,000円/定員:30名/対象:どなたでも/内容:ペルシア音楽鑑賞のための講座。演奏家で研究者でもある講師が、経験を交えペルシア音楽を理解し楽しむための手ほどきを行います。

◉8月7日(土)20:00- /アジアの音楽シリーズ #2「サントゥールの実演と解説」(Youtube streaming)/演奏:谷正人(ペルシアンサントゥール演奏家・イラン音楽研究)/参加費:1,000円/定員:50名/対象:どなたでも/
内容:旋律の連結、微分音の世界など谷正人によるトークとペルシアンサントゥール実演

◉8月14日(土)14:00- 20)アジアの音楽シリーズ #4「北インド音楽鑑賞講座1 ラーガ」/ 講師:HIROS(中川博志・北インド古典音楽演奏家)/参加費:1,000円/定員:30名/対象:どなたでも/内容:インド音楽の即興演奏における旋律創造の基本になっているのがラーガと呼ばれる数多くの旋律法について。

◉8月15日(日)20:00-21)/アジアの音楽シリーズ #5「北インド音楽鑑賞講座2 ターラ」/ 講師: HIROS/参加費:1,000円/定員:30名/対象:どなたでも/内容:インド音楽のリズムサイクル、ターラについて

◉8月21日(土)14:00-22)/アジアの音楽シリーズ #6「バーンスリーの実演」/演奏: HIROS+タブラー奏者(未定)/参加費:1,000円/定員:50名/対象:どなたでも/内容:HIROSによるトークとバーンスリーの北インド古典音楽演奏。Youtubeのストリーミングで中継

8月22日(日)20:00-/アジアの音楽シリーズ #3「対談-インド音楽とペルシア音楽」/講師:谷正人(ペルシアンサントゥール演奏家・イラン音楽研究)+HIROS(北インド古典音楽演奏)/参加費:1,000円/定員:30名/対象:どなたでも/内容:ペルシア音楽と北インド古典音楽をそれぞれの専門家が、共通点や相違するところなど話します。歴史的にも音楽体系的にも、膨大なコンテンツを含むが「鑑賞のため」という切り口で、お話しします。