メキシコよれよれ日記 (2019年4月12日〜9月10日)

4月23日(火)  前日  翌日
 6時起床。日記を書き終えて練習していると、後ろ髪束ねメガネの男が庭に水を撒いていた。名前はオミ・サミュエル31歳。「バチェに絵を習っているんだ」と言って彼の描いた絵をくれた。後でエリカに聞いたら、彼はDJとしても有名だという。


 部屋の中が寒いので門の外で日光を浴びながらエリカを待った。12時ちょうど、大型のSUVに乗ってきたエリカが到着。真っ赤なTシャツにジーンズ姿だ。車を運転してきたのが母親だった。40歳の娘を持つ母親とは思えないほど若い。そういえば、16歳の時に結婚したと言っていた。夫、つまりエリカの父はオードバイの修理屋らしい。

エリカの母親アリシア


 スペイン語レッスン第2日目。Loteriaという、絵解きカードゲームのようなものからスタート。絵と字が一枚のカードになっていて、太陽、ピエロ、馬、コウノトリ、カエル、魚、ライオン、フクロウ、人魚などの絵がスペイン語とともに書かれている。親が読んだカードの絵柄が自分のボードにあればその絵の上に豆を置いていく。ボードの絵の上に豆が全て乗っかったら勝ち。文字の読み取りと発音の練習のためのゲームだ。さらにエリカは、テーブルに全てのカードを並べ「この中で植物しか食べない動物は?」「鳴き声を言うからどのカードか当てて」「水の中にいる動物は?」とう感じでカードを当てさせる。


 次に、学校で使っているスペイン語の教科書を見せて「アルファベットの正確な読み方を練習しなさい」と言う。いっぱい言葉を習ったが、覚えるのは難しい。彼女は「正しい発音のための練習だから意味は考えなくていいのよ」と言うが。
 レッスンの途中で咲子さんからメッセンジャー経由で電話があった。「突然だけど、27日で一緒になる小林さんとみちこさんが3時に来るのでぜひ」という誘い。
 レッスン後半は昨日と同じように雑談に近くなる。エリカは5月7日から20日までコスタリカへ行く。以前シアトルで知り合った医師の友人から誘われ、そこで人形を作るのだという。どんな人形かをFacebookで見せてもらった。
 レッスンで久代さんはrrの発音や新しい単語がたくさん出てきたのでくたびれたようだ。
 エリカを送り出した後、咲子宅近くのスーパーへミニバスで出かけた。缶ビール、ケーキを買って咲子宅へ。小林さんたちもちょうど到着したところだった。咲子さんたちが衣装の打ち合わせをしている間、ミヤビの絵本を見ながら遊ぶ。
 おにぎり、ドン・チュチョで売っている海苔、味噌汁、野菜炒め、サラダ、ジャガバター、山形のお母さんが作ったという梅干しなどの遅いランチをいただきながら話を聞く。
 長いヒゲの小林さんと短い髪を金色に染めたミチコさんはかつて同じテキスタイルの会社で働いていた。ミチコさんは着物の着付けの仕事のために東京から来た。メキシコ滞在2 ヶ月になるという。広島出身の小林さんは、駐在員としてメキシコに派遣され、そこで当時のミチョワカン州知事のカルデナス氏(前大統領ラサロ・カルデナスの息子)と出会い、州政府の専門スタッフとして働くよう依頼された。当初は2年の契約だったが、気がつけばもう30年以上もメキシコに居ついてしまったという。現在はUruapanに住んでいる。Uruapanには冨岡製紙工場のような大きな繊維工場の跡がまだあるという。自由でなんとなくふわふわと揺れ動くような生き方が、喋り方や目の動きにも出ているような気がする。シティの戸高住職に雰囲気が似ている。
 さて、27日のモレリアの博覧会場での紙芝居と着物の着付けのイベントではワダスも笛で参加することに。まず咲子さんが登場する時に祭囃子のように賑やかし、着付けの間は秋田長持唄を笛と歌で演奏。ついで咲子さんが日本の民話の紙芝居に引き継ぐ、というラフな流れを確認した。会場は広大で、実際どうなるかは行ってみないと分からない。当日は咲子さんたちのオフイスの車(青鯨号)で出かけることになった。
 小林さんの車でカルデナス像まで送ってもらう。ドン・チュチョの店で、トイレット・ペーパー、ケソ・チワワ(エリカがメスカルと一緒に食べると最高と言っていたチーズ)、チョコレート、ミルク、ぶどうなどを買って、歩いて帰宅。
 久代さんがビールを飲みつつ昨日の煮物の残りを食べた。ワダスはぶどうを味見。うまい。そのあとケソ・チワワ、ライム、アボカドに山葵醬油かけを食べながら、ワダスはメスカルを飲む。8時頃、ほろ酔い気分で音楽を聴きながらベッドに横になっているうちに寝てしまった。 

前日  翌日