メキシコよれよれ日記 (2019年4月12日〜9月10日)

4月29日(月)  前日  翌日
 スペイン語レッスンの2週目。室内は寒く、庭の芝生に座ってレッスン。挨拶とこれまでの復習、新たにbe動詞に当たるserの活用。ようやく教科書のレッスン1に入る。単数、複数、女性形、男性形。形容詞も変化するので混乱する。説明の合間に新しい単語が挿入され、次第に語彙が増えてきた。全部記憶するのはとても無理だ。テキストの課題が宿題。
 レッスン後の雑談の時「日本語を習いたいと日本大使館のウェブサイトで申し込んだけど、必要項目を入力しても反応がなかった」とエリカ。
 エリカに2週目のレッスン料1000ペソ支払う。彼女は、5月8日から20日までコスタリカへ行くのでその間はレッスンがない。タカンバロやウルアパンへの小旅行を考えてもいいかな。
 2時半すぎ、コンビでスーパーマーケットBodega Aurreraへ。ここでイチゴとスナック菓子を買い、咲子さん宅へ。去年タカンバロでお世話になったマリナと会うことになっている。


 咲子さんがランチの準備中だった。そのうち子供達が学校から帰ってきた。子供達がドアの外の壁際の猫を見せる。白黒の野良猫だった。見つけて餌を与えていたら居ついてしまい、子供を産んだ。4匹産んだが1匹は死んだという。
 ほとんど同時にマリナがやってきた。再会を祝ってハグ。

マリナ


 彼女は、レストランEl Molinoを運営している。店はまあまあ順調だが、昨年来コック以外は皆辞めてしまったので、彼女が料理を運んだり会計もしているという。一緒に盆踊りを歌ってくれたドゥルセも辞めた。
 Facebookに「給仕係求む」の広告を出していた。ホテルのオーナーの叔母のアレヘンドラ、姪のナタリーは相変わらず元気だという。モリタ家の10歳の男の子が転落事故で亡くなったということを咲子さんに聞いたと話すと「そうよねえ、まだ10歳だもんねえ」と表情を暗くした。
「去年我々はモリタ家の招待を受けて大パーティーに参加したけど、その子に会っているのかなあ」
「いや、会ってないと思う」
 CAPの下田さんから送られたブックレット100部がマリナに届いた。先週の金曜日だった。それを読んで涙が出たという。去年8月のタカンバロの活動を参加した7名のそれぞれの感想を綴った日英併記のブックレットだ。


「タカンバロに行きたいけど、なんとなく町に行っても訪ねる場所が限られているし、どうしようかねえ」
「あら、そんな感じでもいいんじゃないの。奥さんにいろんなところを見せて歩くのもいいし。来る日が決まったら知り合いに声をかけるよ」
 彼女は今、週二日間、ここパツクアロに通ってきている。咲子さんたちとは違う文化団体に所属し、学校などでの文化活動の手助けをしているのだ。彼女はエスパルタと同じメキシコシティの演劇学校を出ている。なのでエスパルタとは先輩後輩の関係という。


 咲子さん宅には別の若い女性も呼ばれていた。たどたどしい日本語で「コンニチハ。あなたの名前はナンデスカ」と挨拶した。英語も話すアナイという女性だ。ちょっとぷっくらした体型でメガネをかけている。ボイストレーニングの指導をしていて、クラシックのオペラを含めいろんな歌を歌う。ワダスがホーミーもどきをやってみせると、驚いていた。彼女は試したができなかったという。
 彼女は「カフェ・ハカランダ」の運営にも関わっていて、我々が訪れた時に我々を見たかもしれないという。日本の歌もちょっと知っているので、5月のライブでは一緒に何かできるかもしれない。
 ランチは手巻き寿司だった。冷凍マグロとアボカドのユッケ風、エビのマヨネーズ和え、アボカドと香菜を混ぜたソースにつける野菜スティックを、海苔とすし飯に乗せて食べる。どれもいい味付けだった。アイデア、味付け、盛り付け、適切な分量、配膳の手際の良さに感心する。咲子さんの料理センスはなかなかだ。


 食事をしながらの会話も楽しかった。エスパルタは話題の映画「ローマ」について。監督は「ゼロ・グラビティー」のアルフォンソ・キュアロン。今年のアカデミー賞で外国語映画賞、監督賞、撮影賞の三冠に輝いた映画だ。家政婦役で出たメキシコ原住民の色濃い顔の女性ヤリッツァ・アパリシオの演技が、メキシコの大女優マリーナ・デ・タビラよりも話題になり、大きな皮肉になったと、エスパルタ。ネットでも話題になった映画で、ぜひ見てみたいものだ。
 ビールやメスカルを飲みながら6時過ぎまで会話が弾んだ。

エスパルタとマリナ


 咲子さん宅からドン・チュチョまで歩き、メスカル、卵を購入。メスカル1リットル瓶が300ペソ(約1800円)、卵は12個で20ペソ(120円)。日本ではテキーラが1000円くらいで買えたので、メスカルは意外と高い。
 徒歩で帰宅後、この二日間顔を見ていない母屋の様子を見に行った。アトリエでマルタが何かしていたので手を振ると「中に入ってこい」と促した。アトリエには未完成のものを含め、様々な彼女の作品が並んでいた。ほとんどは陶製のブローチや飾りなどの小物類。釈迦の石膏レリーフもあった。「釈迦が好きなの」とマルタ。二人で母屋に入ると、バチェがマックブックに向かって何かしていた。
「やあ、元気か。あなたたちを見かけないのでマルタに言われて咲子に連絡したんだ。まずはメスカル一杯どうだ」と差し出した。例の洪水事件の後バチェは体調を崩していたという。そのうち、ワダスのホームコンサートをしようということになった。帰り際に亀の格好をした小さなオカリナをもらった。上の写真のブックレットのページ重石にしているもの。
 部屋に戻ると、久代さんがハムやらレタスやらをつまんでビールを飲みつつ今日の復習をしていた。ワダスはメスカルを飲む。
 10時頃ベッド入り、荻上チキ・セッション22を聞いているうちに意識を失った。

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