メキシコよれよれ日記 (2019年4月12日〜9月10日)

5月8日(水)  前日  翌日
 2日続いた小旅行でちょっとくたびれたので、家でダラダラすることにした。
 室内外の寒暖差がどれくらいあるのかわからないが、体感としては室内が晩秋、室外が盛夏。家の中ではヒートテックの長袖とジャージー、靴下が欠かせない。
 というわけで、ちょっと長めの練習の後、お昼すぎに近くを散歩。
 頑丈な鉄扉と高い塀に守られたバチェ宅の前は直線の街道になっている。トラックやコンビが猛スピードで頻繁に走っていて、よほど道路から離れて歩かないと危険を感じる。さらにメキシコは歩行者がそれほど優先されない。事故もけっこうあるようだ。バチェ宅から100m以内に、おそらく事故死のあったであろう場所に花が捧げられているし、コンクリートで作られた写真入りの祠もある。


 そんな花塚や祠を横目で見つつ街道を歩いた。雲ひとつない快晴の炎天下をしばらく歩くと汗ばむほどになる。かつて鉄道の駅のあったエスタシオンのあたりはほぼ毎日行くので、今日は別の道を通ることにした。2度ほど行ったハニツィオ島行き船着場とは別の船着場のムエイェ・サン・ペドリトMuelle San Pedritoへ向かう。広い道の両側に住宅や小さな雑貨屋が続いているのだが、車や人の行き来はほとんどない。ホテルも2件ほどあったが営業している様子はない。


 どん詰まりに船着場の建物が見えた。建物の真ん中の通路の上に「ようこそ東サン・ペドリトへ。ハニツィオ、ユヌエン、パカンダへの特別な旅」と書いてある。そこをくぐると視界が開けた。湖岸に停泊している数隻の平たい客船ランチャ、広々とした湖、なだらかな傾斜の山。陽に当たりながら茶色に濁った湖水に浮かぶ浮子を見つめる釣り人が数人。湖では漁師らしい男が手漕ぎのボートで漁をしていた。何の物音もせず、とても静かだ。
 建物には土産物屋や簡易食堂、レストランが並んでいたが、客の姿は見えない。みな開店休業状態だ。店主らしい人々がぼんやりと店の奥に座って外を眺めていた。「死者の日」にハニツィオ島へ渡るシーズンはおそらくすごい人出で賑わうのだろうが、今はひっそりしていた。


 同じ道を戻り、途中のいつもビールを買う小さな店でコーラとキノコの缶詰を購入 (20ペソ=120円)。隣の果物屋でバナナ4本と大きめの青唐辛子1本15ペソを買った (90円)。本日の出費はこれだけ。210円。
 1時間ほどの散歩から帰った。早速、玉ねぎ、青唐辛子、トマト、ニンニク、キノコを炒めたものに大量の香菜を絡ませたスパゲッティと、アボカドのわさび醤油まぶしでランチ。庭には車がないのでバチェたちもどこかへ行ったらしく、母屋もひっそりしていた。


 というわけで、この2日間の小旅行的興奮から離れ、老人らしい静かな生活なのでした。

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