メキシコよれよれ日記 (2019年4月12日〜9月10日)

5月25日(土)  前日  翌日
 パツクアロ唯一の映画館は毎日上映しているわけではないということが15日に判明したので、上映予定表を何度も確認した上で今日、満を持して出かけた。ところが、25日上映と予告されていたにもかかわらず、表の看板は25日の部分に炭が塗られ、27日(月)に変更されていた。どういうことだろう。我々が今日出かけることを察知して変更したのか、あまりに客が少ないのでそうしたのか。
 エリカは「あの映画館は建物の内部は素晴らしいけど、無茶苦茶の大音量を覚悟してね。それと客がたいてい数人しかいない。もうじき郊外に大きな映画館ができるらしいので、そのうち無くなるかも」と言っていた。上映予定をこんな風に簡単に変えたりしていたら客だって遠のくのではないか。
 映画一点に絞って今日の予定を立てていたのに、またもや肩透かしを食らってしまった。
 セントロの小広場は週末ということもあり、いつにない賑わいだった。一角でペルーのミュージシャンたちか、自前のPAでカラオケをガンガン鳴らしてケーナとサンポーニャを演奏していた。鳥の羽の派手なかぶりものとアンデス地方の民族衣装をつけた若者3人だった。演奏は手馴れていて安定感があった。ストリートミュージシャンとして北上して来たのだろうか。


  ベンチに座って目の前のタコス屋で食べている人や、靴磨きのオッサンをぼんやりと眺めた。靴磨きのオッサンが店じまいを始めた。客用のレールのついた椅子や他の必要品を手際よく箱に収めて、周りにブルーシートをぐるっと巻いてどこかへ行ってしまった。
 古本市もあったので、ぶらぶらと眺めた。スペイン語の勉強にはいいけど、重い本は持ち帰れない。薄いジョーク集30ペソを購入。


 食事に行くにはまだ早いので散歩した。大広場も人でいっぱいだが、小広場の活気に比べると、落ち着いた雰囲気だ。カルニタス屋の前に列ができていた。人気店だろう。他の客に習ってタコスを2つ買って食べた。豚肉のカルニタスを小さなトルティーヤで巻いたもの。2つ22ペソ。なかなかに美味い。
 バスターミナル方面に向かって歩いた。1つのブロックが1つの建物のように密着しているので道路からは壁だけが目立つ。バスターミナルは幹線道路のバイパス沿いにある。バイパスまで来ると、セントロとは違い路上のゴミも目立ち、街の気品は薄れる。


 小広場に戻り、いつものメルカドの食堂街に入った。中はすれ違うのに肩がぶつかるほどすごい数の人たちが食事をしていた。
 Don Prisciと書かれた食堂でランチ。エスタシオンにも同じ名前の店があるが、経営が同じなのかもしれない。通路を挟んでいて飲み物を売るバーのあるタコス屋があり、どちらも同じ店名だった。牛肉スープBirra de resとビール1本で110ペソ(660円)。一緒に出された焼きたてのトルティーヤが美味しい。


 市場でチーズ25ペソ、マンゴー+パパイヤ18ペソ、コンビニのOXXOでビール6本92ペソ、タバコ48ペソを購入してコンビで5時頃帰宅。
 8時、まだ日の残る街道を散歩。途中の集会場のような場所では人がたくさん集まり大音量の音楽が鳴り響く。パーティーのようだ。
 道々、スペイン語のレッスンについて話した。久代さんによれば、今のように予習も復習もしないでただ受け身状態でテキスト主体に進んでも上達の道は遠い。かつて神戸外大の古代ギリシア語の授業は、自分で教科書を予習し、作文と日本語訳の課題をこなし、授業では教科書の補足説明、課題の発表と添削、質問のやり取りだけだったという。彼女は、単語を暗記して早く会話ができるようになることよりも、スペイン語の構造を理解したいという考えだ。一方ワダスはできるだけ単語をたくさん覚えて早く発声することが先決だと思う。それぞれの外国語学習の原体験と嗜好の違いがある。ともあれ、今のままではなかなか会話もおぼつかないのは間違いない。明日からちゃんと勉強しなきゃ。

---やれやれ日記
古代ギリシア語の活用や変化の複雑さはとんでもなかった。初心者にはその面妖さがマゾっぽい喜びに思える一瞬があって「これを趣味にしよう」と考えたこともあったが、もちろん幻でしかなかった。

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