メキシコよれよれ日記 (2019年4月12日〜9月10日)

6月4日(火)  前日  翌日
 2日分の日記が溜まっているため今日も練習をサボった。
 11時、家住氏が来訪。オポンギオでメスカルを買いたいとのことで付き合うことになった。
 家住氏は藤條虫丸氏の舞踏公演のためにパツクアロに来たことはあるが、周辺を見て回るのは初めてとのこと。曇り空だが湖を右手に見つつ、ゆっくりと車を走らせる。車中でも色々話を聞いた。メキシコは腐敗だらけ。警察官は給料が極端に低いためか賄賂を取るのが一般的だ。彼らは公共の治安維持というより自分の利益だけを常に考える。政治家たちはより大規模に賄賂を取る。腐敗は隅々まで浸透している。ごく普通に殺人事件も発生している。大農園主たちは武装した私兵を雇い簡単に人を殺す。マフィアの抗争も日常茶飯事だ。運転免許証はお金を払って目の検査をすれば簡単に取得できる。戸籍管理は無いに等しく、土地の売買もかなりいい加減だ。お手伝いさんの謝礼は1日数時間労働で300ペソ(1800円)くらいが相場。貧富の差も激しい。山の中に土地を買って住んでいるが、住所は自分で決める。当然郵便物は届かない。当初は電気も水もなく、ろうそく、薪で生活していた。前に乗っていたフォルクスワーゲンが運転中に火を吹いて壊れたので、友達のを格安で譲ってもらった。ここ4、5年インフレがひどくなっている。産油国なのにガソリンの値段は日本と変わらない。メスカルは万病に効く。オアハカで飲んだメスカルがとても良かった。などなど。

 エロンガの広場を通過し、40分ほどでオポンギオに着いた。「メスカルMezcal、伝書鳩(Palomas Mensajeras)、創業より4代目」と書かれたテント看板を見つけた。「伝書鳩」がブランド名だろう。その横にメスカルの製造工程の写真などもあった。車を降りてカウンター越しに中をのぞくと、メスカルの瓶が棚に並んでいた。ちょっと太った中年男が、種類の違うメスカルの味見をさせてくれた。1瓶が250ペソ、350ペソ、700ペソする。安くはない。小さなプラスチックカップに入れたメスカルを2杯ずつ試飲する。家住氏は「値段と味が期待とは違う」ということで別の店にも行ってみようとなった。坂なりの集落を回ったが、学校と住宅だけで店舗らしい建物はない。壁の石垣をペンキ塗りしていた青年にも聞いたが、それらしい建物がない。我々が数日前に行ったレストランへ行くと、給仕をした男が現れて笑顔を見せた。彼は「この辺に専門店はあなた方の行った店しかない、ほとんどのメスカルは、ここから遠いビジャ・マデロVilla Maderoという町で作られている」と言う。家住氏はレストランで売られていた230ペソ(1380円)の瓶を購入。


 エロンガの広場の露店マーケットに寄った。数日前にテント張りの劇場のあたりから奥までいろんな店が続き賑わっている。豚の皮を油で揚げたものもあった。味見したら香ばしくて美味しい。

 


 家住氏が市役所の中で「エロンガの案内冊子のようなものがあるか」と尋ねたら、担当の中年女性が「ない」と言って教会を案内してくれた。教会の中や、一般には入れない神学校の中など。今は試験中で2階には行けないとのこと。パティオを通過すると、劇場のような空間もあった。教会入り口に「6月5日、6日、慈悲の守護聖人祭り」の案内板。教会音楽などのプログラムが書いてある。


 2時頃、帰宅した。庭の手入れに来ていたオミに家住氏を紹介。彼も絵を描いているので興味がありそうだった。
 ちょうど2時半にエリカがやって来た。入れ替わりに家住氏が咲子さん宅へ。
 エリカにオポンギオやメスカルの話をした。この辺のメスカルはほとんどビジャ・マデロVilla Maderoで生産されているらしいと言うと「あそこはとても危険な町。銃器だらけだしドラッグの取引も盛ん。町並みも汚れているし、何よりも流れているバンダという音楽が嫌いだ。でもそこからちょっと足を伸ばすと、素晴らしい森があり、変化に富んだ植物生態系が見られる。森はBosqueというのよ。きのこもいろんな種類がある。きのこはHongo、Fungas、Champiñonというのよ」と新しい単語を教えながら話した。
 レッスンは不規則に変化する動詞、hay(ある)を使って、部屋に何があるか、を言う練習。居間の角にあるランプを見て「あれは天才だけどクレージーなツミンディ・マリオの作品。実は家で会ったお母さんの友達のリナの元夫なの」と言う。
 今日の新しい課題は現在進行形の作り方、そしてアニマルゲームの続き、そして簡単な体操をしてレッスンが終了。
 5時過ぎに、歩いてスーパーまで買い物に出かけた。ドン・チュチョ周辺のテント張りタコス屋も雨が近いせいかほとんど閉まっていた。雲が低く分厚く覆い今にも雨の来そうな天気だったのだ。
 スーパーでビール12本98ペソ、七面鳥ソーセージ20ペソ、チーズ23ペソを購入。トータル141ペソ(846円)の買い物。コンビで帰宅。
 ワダスは今日はいつになく膨満感がひどいので食欲なし。一方の久代さんは食欲満点。ビールを飲みつつソーセージなどをぱくつくのを見ながら、溜まっている日記を書き続ける。今日の宿題もやらないとなあ。

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