メキシコよれよれ日記 (2019年4月12日〜9月10日)

6月6日(木)  前日  翌日
 1時すぎ、昨日発見した新しい散歩道を逆から回った。ドン・チュチョ方面への横道を通るが、途中で右に折れて我が家大回りコースを取る。横道をしばらく入るとたいてい数頭の犬が威嚇するので二人とも棒切れと石ころを持って歩く。家住さんの話では、メキシコの犬は噛むことがあり、彼も噛まれたことがあると言っていたので用心に越したことはない。

   


 昨日は薄暗かったが、今日は晴れているので周辺の景色がくっきりと見える。途中にあった明るいベージュ色の壁の平屋建ての家が可愛らしい。敷地に沿った基礎に鉄筋が伸びているので、全体を囲う塀はこれから作るようだ。車も人もほとんど通らないので実に静かだ。ときおり畑で作業している農民が見えた。
 鉄道線路の手前を右折すると民家がちょっと増えてくる。学校もあり、子供たちが広場で遊んでいた。黄色と緑の柵とパペル・ピカドのある祠は、後ろのこんもりとした樹木のせいで日本の田舎の神社のようにも見える。
 2時20分、エリカが来た。レッスン開始よりも10分早かった。友人の車で送ってもらったと言う。まず昨日何をしたかをスペイン語で話す練習。話題はタコス屋から日本の地理へ。ついで現代版赤ずきんちゃんの童話を読む。子供向けの本だが、知らない単語が多い。さらに昨日の宿題の解答と解説。「〜しなければならない」に関する質問に答える質問が22問。テキストの例文では簡単には答えられない設問もある。「安心して旅に出るには何が必要か」などという質問には正解は一つでなく様々考えられるが、既知の限定された単語では適切な言葉がなかなか出てこない。以下の27の単語の反対語を列挙せよ、という質問もあった。これも返答に首をかしげるものもある。例えば「いつも、いつでも」の反対語は「決してない」とエリカは解説したが「たまに」だっていいはずだ。
 4時半レッスン終了。明日から3日間はレッスンがなく、今のところ特に予定はない。タカンバロでエステバンが金曜日、つまり明日モレーリアの音楽院を案内したいと言っていたが、まだ何の連絡もないので、多分なしだろう。
 バチェとマルタが新しいギャラリーの設営に忙しそうだったので、バチェに何か手伝うことはないかと聞いた。「特にないけど、明日、絵を描けるフックをつけたりするので手伝ってもらおうか」との返答だった。これでとりあえず明日の予定が何となくできた。

   


 5時半、ドン・チュチョ方面のタコス屋にでも行こうと家を出た。いつになく開いている店は少ない。ドン・チュチョで買ったビール2本30ペソを持ってオバサン一人がぼんやりと客待ちしている店に入った。ケサディーヤはないと言う。あるのはゴルディタだけ。ゴルディタはちょっと厚めのトルティーヤを油で揚げたもので、真ん中に切れ目を入れて具を挟み込む。メキシコ版ハンバーガーといった感じだ。頼んだのは魚フライとチキン。これがそれなりにボリュームがあり味も悪くない。おばさんは我々が食べるのをじっと見るのでちょっと気詰まりになる。勘定は二つで50ペソ(300円)。無茶安いともいえない微妙な値段だ。
 遅めのランチにしては若干足りないので、鉄道沿いのタコス屋へ行ってみた。この店は我々の散歩コース沿いにあるので毎回見かけるのだが、客がいたためしがない。やはりケサディーヤはないと言う。久代さんは何もいらないと言うのでワダスだけスープのポソレを頼んだ。豚肉の切れ端と大粒のトウモロコシの実を煮込んだスープだ。ちょっとコクは足りないが、味は悪くない。これに小さなトルティーヤを油で揚げてパリパリにしたトスターダがつく。
 客は我々だけだった。それを50代くらいのよく似た3人のおばさんたちが見る。「姉妹ですか」と聞くと「そうだ」と。「勘定は」と聞くと、長女らしいおばさんが数秒考えてから「30ペソ(180円)」と言った。あの間は何だったのか。「安いだろ」と言われたけど、何ともいえない。讃岐うどんであれば1杯が100円くらいから150円なので、それに比べると何となく高いような気もする。
 7時に帰宅。今日はもうやることはない。宿題もあったが、やる気無し。

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