メキシコよれよれ日記 (2019年4月12日〜9月10日)

7月1日(月)  前日  翌日

 午前中ずっと大音量の音楽を鳴らしている街道向かいの水屋は今日は閉まっていておとなしい。


 週明けでレッスン再開。「チェランに行ってきたのね。あそこは独特の雰囲気よね。ずっと昔、友達の車にぎゅうぎゅう詰めで乗って音楽コンサートへ行って以来、最近は行ってないけど」とエリカ。そこから、チェランには壁画が多いので観光ルートを作って案内してもらうのもいいね、とか、壁画はスペイン語でムラレスという、などという話になった後、テキストの宿題に入った。不規則動詞、比較級の最上級の表現など。
「今日で午後からの授業が終わるので、明日からはかなり自由になる」というので、明日は我が家でリゾットをご馳走するということになった。
 レッスン後、例によって散歩がてら買い物に出かけた。パツクアロ市街地の上には真っ黒な雲が垂れ込め、怪しい空模様だった。
 まずドン・チュチョ横のトルタ屋へ。久代さんはミラネーサ、ワダスはチキンとチーズのトルタを頼んだ。普段はカウンターの中にスタッフが3人いるのだが、今日は男性1人だけだった。その後手伝いに入った女の子が出来上がったトルタを客に配ったりお金を受け取ったりといつにない忙しさだ。今にも雨が来そうなのに、次々に客がやって来るが、文句を言うでもなく辛抱強く彼女の応対を待っていた。持ち帰る客も結構いた。


 我々のトルタがようやくできてきた。一口かじって狭いカウンターに皿を置いて、別のカウンターに行ってサルサを取って戻ったとき、皿に手を引っ掛けてひっくり返してしまった。トルタは無残にも通路の床に落下。仕方がないので同じものをまた頼む羽目になった。客の間をうろちょろしていた小さな犬が目ざとく察知して落ちたものを食べ始めた。災難に遭わなかった久代さんは「あーあ」と言いながら自分のトルタをうまそうに食べてから、犬が敬遠した野菜を床から拾い上げた。再注文のトルタを食べているとき、強い雨が落ちてきた。しかし10分ほどで雨が上がった。トルタ屋の勘定は115ペソ(690円)。ミラネーサが35ペソ、チキンとチーズを2回頼んだので80ペソだった。悔しいなあ。
 近くの肉屋で豚肉300g(30ペソ、180円)を購入し、そのまま坂を上がってボデガ・スーパーへ。ベーコン、ズッキーニ、ワイン、ビール、ピーマンで合計255ペソ(1530円)の買い物。
 コンビを降りて我が家の門に歩き始めたとき、ウエコリオ方面から走ってきたコンビがトラクターを追い越そうとして木にぶつかり斜めになって路肩に停まった。誰にも怪我がなかったようだが、メキシコに来て初めて交通事故を目撃した。助手席のドアの下部がひしゃげていた。トラクターを運転していたおっさんや近所の人たちが集まって乗客や運転手に「大丈夫か」と聞いていた。どう処理するのかしばらく我々も見ていたが何も起こりそうにないので一旦家に帰った。もう一度現場に戻ってみると、車はすでに側道に引き上げられ、別の白いコンビで来たらしい男が何やら書類に書き込んでいた。


 帰宅して安富歩の講演を聞き始めた。すると真っ先に紹介したのが片岡祐介のセレブスピーカーの話だった。片岡? どこかで聞いた名前だ。思い出した。作曲家の野村誠さんと一緒に鍵盤ハーモニカを路上で演奏していた人で、ワダスも何度か会ったことがある。そこでセレブスピーカーについて片岡氏が語っているのをYoutubeで見た。そうかそんなこともやっていたと。ダンボール箱に安物のスピーカーをくっつけ、中に新聞紙やスポンジなどをくしゃくしゃにして入れると、高級スピーカーに劣らない音になるという。その後、桂米朝の落語を聞いているうちに寝てしまっていた。

前日  翌日