メキシコよれよれ日記 (2019年4月12日〜9月10日)

7月3日(水) 前日 翌日
 宿題の答え合せからレッスン開始。ワダスの作文には冠詞の欠落が多い。名詞の男性女性形がやはり煩わしい。語尾がOかAですぐに分かるものはいいのだが、いちいち辞書を引かなければならない単語がかなりあるし、OやAの語尾を持つ単語でも例外がある。
 20日にパツクアロのセントロである熱風船祭りGlobos de Cantoyaの話。パペル・チノという薄い紙で造形した様々な形の熱風船を飛ばすのは文化センターのあたりだという。エリカはセントロの地図を描き、そこに通りの名前を書き入れた。通りの名前が途中で変わる場合が多いという。名前のない通りもたくさんある。その後は、スーパーマーケットでの会話から昨日の我々の買い物の話へ飛び、エリカの父親が火のついたガスコンロにフライパンを乗せたまま忘れてしまったとか、母親はなんにでもすぐに電子レンジを使ってしまうとか、ミチョアカン名物のコルンダスを食べたか、などなど。「私は時間が自由になったので一度一緒に市場へ行きましょう」と提案した後、宿題を課して帰っていった。
 家の中にいると寒いのでセントロのカフェへ行って日記を書くことにした。
 小広場でコンビを降り、市役所前のカフェ・スルティドーラへ。中庭の明るい部屋に入ると、なんと咲子さんが読書をしていた。読んでいたのは手塚治虫の『ブッダ』だった。すごい偶然。子供達が夏休みに入って毎日がなかなか大変そうだが、彼女はどこかできちんと自分の時間を作ってベンキョーしているのがすごい。
 向かいのお役人がよく利用するというカフェ・スルティドーラは大広場の本店と違い値段は抑え気味だし、中心街の喧騒を逃れて静かに過ごすのにいい。コーヒーはたった10ペソ(60円)だし、ラテでも18ペソ(108円)だ。特に中庭に面した奥の部屋が読書に最適だ。


 我々はタコスを頼んだ。これが安い。20ペソ(120円)でサラダとサルサは取り放題。
 店は3時には閉めるというのでチップ込み67ペソ(402円)の勘定を支払って表に出た。出たところの道端に、今日レッスンで話題に出たコルンダス屋があった。表情の明るいおばさんがやっていた。
「いろいろ食べてみたけど、ここのコルンダスが一番美味しかった」という咲子さんの勧めで1個25ペソ(150円)を二人で食べてみた。練って丸めたトウモロコシの粉をトウモロコシの葉っぱで包んで蒸した食べ物。正三面体になっているのでぱっと見、ちまきのように見える。葉っぱを剥がして皿に盛り、クリーム、チーズ、サルサをかけて食べる。ちよっとモサモサしているが、クリームと一緒に食べるとなかなかに味わい深い。


 コンビで帰宅する咲子さんと別れ、何度か利用したことのある大広場に面したカフェでビールを飲みつつ日記を書いた。ここはネットが通じる。以前はレストランと併設だったがカフェだけになっていた。経営者が変わったのかもしれない。ビールも1瓶40ペソ(240円)と高い。雨が少し降っていたせいか、大広場は普段の賑わいがなく寂しそうだ。


 空を見上げるとなんとも悩ましい景色だった。分厚い雲の切れ目から太陽が顔を出すとカッと明るくなるが、隠れて薄暗くなりまた涼しくなる。1時間もってくれれば濡れずに帰宅できるが、その判断が難しい。降ってくれば途中でコンビを拾えばいいか、と歩き始めた。
 ボデガ・スーパーが見えてきて、買い物へ。牛肉、モレソース、ミルク、特売ビール12本、桃、トマト、お菓子、マーカーペンなどで268ペソ(1608円)。雨は来そうにないので、ずっしり重いリュックを担いで我が家まで歩いた。ドン・チュチョの店の前には6時過ぎなのにすでに「界隈一」タコス屋が店を開いていた。
 我々の借りている離れの壁に大きなキャンバスを立てバチェがそれを水で洗っていた。「カビが入っちゃって」とブラシでゴシゴシしていた。
 宿題をしたり、残りのテキーラを飲んで寝るまで過ごす。このところ、1日の時間経過が加速している感じがする。

前日  翌日