メキシコよれよれ日記 (2019年4月12日〜9月10日)

8月9日(金) 前日 翌日
 8時ころ起床。久代さんがシャワー室に入ったが、バスタオルを頭に巻いてすぐに出てきた。「途中でお湯も水も止まった」。洗面台の水も出ない。チーズケーキとバナナ、ジュースの朝食。久代さんが下からコーヒーを持ってきた。15ペソだと言われたが、お金を持たずに行ったので払っていない。


 10時前コーヒー代を払ってチェックアウトし、昨日と同じ移動遊園地の通りを歩き広場へ。遊具は片付けられテントを被せて道端に置かれていた。人の少ない広場は昨夜の喧騒が嘘のようだ。ハリボテの壊れたギターが路上にポツンと立っているのが寂しそうだ。
 コンクールの最終日は9時に始まることになっていたが、会場のCIDEGには入場を待つ人々が列を作っていた。その待ち人を相手の商売人がたくましい。路上には他にもいろんな店が出始めていた。

 


 会場から道を挟んだ東屋のベンチに座ってしばらく待った。同じように待っているアメリカ人らしい男と話す。我々と同年代だろう。フロリダで生まれ、今はメキシコの太平洋岸の町に住むという。バイオリンを弾く。「広場で友達のバイオリン売り場で弾いているんだ」。そこへ別の白髪の同年輩の男が加わった。いきなり我々に「便所はどこですか」と言う。「日本語はこれしか知らないんだ。はははは」。最初の男が受付へ行って戻ってきた。「10分後に始まるらしい。まだ審査員が来てないんだ」
 10時を30分以上過ぎて会場の扉が開いた。舞台には折りたたみ椅子が一つポツンと置かれていた。客席の中央付近に審査員が座った。審査員は昨日演奏を聴いたソリストたちだった。


 最終選考に残った若者たち6人の演奏を続けて聴いた。1人20分くらいの演奏だった。演奏曲目は奏者が自由に選んだものらしく、同じ曲はなかった。それぞれの演奏はプロ級だ。審査は難しいに違いない。ワダスの感覚では4番目の甘いマスクの若者と5番目のジーンズ姿の演奏家の演奏が良かったと思う。ともあれ、こんなメキシコの田舎で2日間に渡って洗練されたギター音楽が聴けるとは想像しなかった。もっと世界に知られてもいいように思う。
 4時からは再びソリストのリサイタル、そして8時からは閉会コンサートとパンフに書いてあったがそれらを見るにはもう一泊しなければならないので断念し、帰ることにした。
 交差点のおばさん警官に道を聞いてチェラン行きバス停へ。街道の一車線をすごいスピードの自転車の一団がシャーという音ともに走り抜ける。チェラン行きバス停はこのため向かいに変わったとバス会社の男に言われて向かいに行くと、乗合タクシーが「チェラン」と呼ぶのですぐに乗り込んだ。助手席には女性が座って待っていた。グアナフアトからだという女性は久代さんに英語で話しかけたという。程なく赤ちゃんを抱いた女性が乗ってきてタクシーが発車。耳にピアスをつけた赤ちゃんがこっちを見て「うー」と言う。「名前は?」「ルペ」


 20分ほどでチェランの広場に到着。パツクアロ行きの車線へ移動し、前回も食べたカルニタス屋でタコス2枚ずつ食べた。安くて美味しいタコス。4枚で48ペソ(288円)。おばさんは我々を覚えていた。「まだパツクアロにいるのよね」。前回話を聞いたおっさんはいず、明るく笑う娘が店を手伝っていた。


 食べ終わってしばらくするとバスがやって来たので乗り込む。久代さんは途中で居眠り。


 エスタシオンに着いたのは4時過ぎだった。なんとなくくたびれた。果物屋でパパイヤとブドウ(43ペソ)、ドン・チュチョでケソ・チワワ(チワワチーズ、35ペソ)、ホルヘの店でビール6本とジュース(103ペソ)を購入して帰宅。
 6時、ワダス一人で床屋へ行き散髪。40ペソ(240円)。膨満感とくたびれ感で何もやる気が起きず早めに寝た。

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