メキシコよれよれ日記 (2019年4月12日〜9月10日)

8月10日(土) 前日 翌日
 二日分の日記が溜まっていたのだが、部屋の中が寒いので頭も回らない。雨は降っていなかったので、気分転換と日記書きのためにコンビでセントロへ行くことにした。


 カフェ・グラン・カラヴェラでチャイを飲みつつ日記を書いた。フランス人ヤコにパラチョのホテル情報を聞いていたのだが彼は結局「誰も知らなかった」と言う。
「チェラン出身のアンヘルも知らなかった。え? 見つけて泊まったって? それは良かった」
「たまに水が出なくなるしお湯も出ない。それで500はちょっと高いような気がしたけどね。でもフェスティバルは最高だった。お勧めだよ」
「500は高いなあ。フェスティバルで値段がつり上がったんだね。ま、それでも良かったね。よし来年は行こうかな」
 エリサが100ペソ札を持ってきて「細かいの、ない?」と聞いてきた。ここの支払いの時にも釣りがなさそうだった。手元に500ペソしか残っていないので両替のためにタバコ屋を探す。ところがセントロでは普通の雑貨屋がなかなか見当たらない。大広場から小広場をうろうろしているとカフェ・ハカランダのパブロと道で会った。髪をオールバックにしていていつもと感じが違う。
「ははは、ちょっと変えたんだ。ところで、7時からサキの紙芝居だよ」と言って別れた。
 結局両替しないまま店に戻って「お釣りがなかったんじゃない?」とエリサに500ペソ渡すと「お釣り? あるわよ」と言う。
 日記を書き終えたので大広場をぶらぶらしていると、バチェとマルタと会った。食事をしてきたのだと言う。合流してコーヒーをご馳走になった。「ハカランダで7時からサキの紙芝居があるよ」「じゃあ後で行こうかな。僕はサキの紙芝居のワークショップを受けたことがあるんだ」
 彼らと別れ小広場へ。久代さんに何か食べるべきだと言われて食堂街や市場を歩いたが、これが食いたいというものが頭に浮かばない。本当に腹がパンパンなのだ。露天の商店は店じまいに忙しそうだ。市場の建物の中に入ってみた。肉屋と靴屋が並んでいた。ここは今まで知らなかった。市場は奥が深い。スーパーマーケットがあったら入ろうと探したがなかなか見つからない。途中で見つけたパン屋で明日の朝食用に菓子パンとミルクを買ってカフェ・ハカランダへ。


 ハカランダでは子供向けのイベント中だった。なんとタカンバロのプリシリアーノの妻のテレが自作の絵本やプレペチャ語などについて話していた。客席にはプリシリアーノと3人の子供達も座っていた。プリシリアーノもすぐに我々に気づき握手。テレは質問にうまく答えた子にティーシャツや火の玉ホッケーのボールなどを配っていた。客はほとんど子供連れだ。店内には薄い布にプリントされたモノクロ写真が周囲に展示され、絵本も並べられていた。ハカランダを運営するキッツィア、ディエゴの兄妹、ディエゴの妻と子供、彼らの両親の姿も見えた。
 テレの話が終わる頃、咲子さんとシズちゃんが現れた。7時10分にディエゴが観客に挨拶し、咲子さんの紙芝居が始まった。これがパツクアロ最後の紙芝居だと咲子さん。


 演目は「くもの糸」。ついで「二度と」。「ヒロシマ、ナガサキは二度と起きてはいけないNunca mas Hiroshima, nunca mas Nagasaki」。6日と9日が原爆記念日だということで選んだのだろう。そういえばバチェが6日のFacebookに広島原爆投下の時のメキシコの新聞記事を掲載していたのを思い出した。戦時下のアメリカによる原爆投下を非難し、思い出させようとする人々がメキシコにもいるのだ。
 ついで「ひろしとひまわり」。彼女は「ひろし」をメキシコでは一般的な男の子の名前「パブロ」に変えて話した。そしてアンコールに顔面紙芝居「頭山」。子供達も熱心に見てときおり笑い声を上げていた。最後に仏教伝道協会が発行している英語とスペイン語併記の仏教解説書を配った。恵光寺の戸高住職が「パツクアロの人に配ってほしい」と段ボール箱2つ預かってきたのだと咲子さん。
 ワダスはサボテン・ドブロクとも言うべきプルケを飲みつつ紙芝居を見た。プリシリアーノが「月曜日、食事でもどうか」と誘ってきたので快諾。彼がパツクアロでカフェの開店準備をしている文化センターで2時に会うことにした。


 9時頃ハカランダを出て小広場へ。エリカがパツクアロで一番と言っていたタコス屋がやっていた。待っている人々に整理券を配るほどの大繁盛だった。小ぶりのトルティーヤを焼く、それに肉を詰める、注文を取る、出来上がったタコスを配る、という作業が分業体制で手際がいい。我々もタコスを2枚ずつ頼んで食べた。さすが「パツクアロ一番」(エリカ先生)の評判に恥じず、美味しい。しかも1個10ペソ(60円)。
 満腹になったので歩いて帰ることにした。雨も降りそうになかった。歩き始めてちょっとした事件が起きた。おならをしたつもりがチビってしまった。まずい。このままだとジーンズにも影響が出る。トイレのあるような店もないし、裏道なのでタクシーも通らない。とりあえずボデガ・スーパーまで行ってタクシーを拾い帰宅。タクシー代は50ペソ(300円)。
 帰宅してすぐにシャワーを浴び、早めにベッドに入る。

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