メキシコよれよれ日記 (2019年4月12日〜9月10日)

9月8日(日) 前日 翌日
 いよいよメキシコ滞在もあと1日になった。7時過ぎに、近所のコンビニで2杯分のコーヒー(36ペソ=216円)とドーナツを買ってホテルに戻り朝食。パッキング好きの久代さんの帰り支度もほぼ終わる。靴底と側面がパックリと開いてしまったワダスのスニーカー、穴の空いた靴下、履き古した久代さんのジーパン、ヨレヨレになったTシャツなどをゴミ箱に入れる。これでスーツケースもスカスカになったので、代わりに頂いた土産物などを収納。背負い紐の付け根が今にも取れそうな二つのリュックも帰国したら捨てることにする。
 メトロカードにまだ残金があったので地下鉄でどこかへ行こう。シティの観光案内には必ず出てくるメキシコ国立自治大学Universidad Nacional Autonoma de Mexico(UNAM)へ行くことにした。4面とも壁画のある図書館が目当てだ。
 11時半、ホテルを出て地下鉄1号線でまずバルデラス駅まで行き、そこで2号線に乗り換える。終点は大学(Universidad)だが一つ手前のコプリコCoplico駅で降りた。地下鉄の階段を登っている途中、おならのつもりが下痢っぽい中身が漏れそうになった。下着まではいいがジーンズまで侵入してくるとやばいことになる。どこかにトレイのある場所はないか。しかし駅周辺はほとんど住宅街で見つかりそうにない。こらえながら大学構内に入った。日曜日なので行き交う人は少ない。


 大学の建物は広い敷地に点在して建っていた。学生らしい若者や犬を連れて歩く人などに図書館への方向を尋ねた。「あの医学部の建物をまっすぐ突っ切った方向」というのでとりあえず横幅の広い数階建ての医学部を目指す。トイレの表示を見つけ半地下に下りて探した。あった。ああ助かったと思いつつ入り口のドアノブを回した。施錠されていた。
 お腹をだましだまし医学部を通り抜けるとかなり広い広場で出た。その向こうに写真で見た図書館が見えた。焦げ茶色と白の混じった模様のある十数階はありそうな四角い建物だ。周りには建物がないので青空を背景に大地から屹立している。わずかだが人の出入りもある。建物をじっくり観察する余裕はないほど事態は切迫していた。一縷の望みを抱きつつ図書館内へ。セキュリティゲートはあるものの難なく館内に入りトイレを探す。すぐに見つかった。慌てて個室に入る。便座がなく便器もかなり汚れていたが、目的を達成できた。ふう。
 表に出てじっくり壁画を眺めた。少ない開口部も壁画の一部となっている。観光案内の解説によれば、西側の壁面には学科・活動・研究者・学生生活、南側がスペイン植民地時代にアメリカ大陸で起きた出来事、東側が永遠の二元性の下で繰り広げられる現代社会の生存活動、北側の壁画はプレ・ヒスパニック時代の主要都市と湖の様子が描かれている。(出典https://architecture-tour.com/world/mexico/biblioteca-central-unam/)。建物自体は変哲のない直方体だが4面の壁面全てが細かなシンボルに満ちていて印象的だ。広場を挟んだ向こう側にも一部壁画のある高層ビルがあった。大きな壁画のある他の建物も見える。
 広場では犬を連れた人たちも目立つ。そうした散歩がてらの人たちを相手のジュース売りやガスパッチョ屋なども店を出していた。


 プラットホームにも横長の大きな壁画のあるコプリコ駅から再び地下鉄に乗ってバラデラス駅まで行き、そこで1号線に乗り換えてインスルヘンテスInsurgentes駅で下車した。ここでもワダスの腸内活動が激しさを増してきた。有料トイレ(6ペソ=42円)に入った。ここも便座なしのトイレだったが他の選択肢はない。


 メキシコ最後の食事は韓国料理と決めていた我々は、インスルヘンテス駅に近い裏通りの韓国料理店「民俗村Min Sok Chon」を目指した。しかし、我々が目指すと閉店する法則がここでもきっちりと守られていたようで、閉まっていた。この界隈には韓国料理店や韓国惣菜店が多い。代わりにNul Bomに入り、キムチ・カルグクスとスンドゥブ(純豆腐)を食べた。キムチ、カクテキ、もやし、菜っ葉、きゅうりのナムル、味付け春雨が小皿に入って付いてきた。どんな料理を頼んでもこの小皿は出てくるようだ。これが脂っこいメキシコ料理にちょっと疲れた胃に優しい。へたへたうどんのカルグクスもスンドゥブも味は良かったが、できれば胃腸の万全な時に来たかったなあ。
 乗り換えなしでインスルヘンテス駅からピノ・スアレス駅へ行きホテルに戻った。レセプションで支払いを済ませ、5時30分のモーニングコールを頼んだ。

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