2015年 2 月 22日 (日)、23日(月)

日記もくじ  前の日◀


動物園

 7時起床。前日のマンゴ・アイスのせいなのか、配偶者の目の周りが赤くなって腫れぼったい。アレルギーかもしれない。
 前日とあまり変わらない朝食を食べ、10時ころ行動開始。今日は、ジェニファーたちが人出が多いから薦めないと言っていた動物園に行ってみることにした。特に変わった動物を見たいというわけではないが、もし入園できればだらだらと1日過ごすのも悪くはない。長い行列だったら入るのは止めてどこか別な場所へ行けばいい。
 レセプションで動物園行きのバスの乗り方を尋ねたら「MRTが便利だ。バスなんか使わないから知らない」と言っていたが、調べてくれた。近くのバス停で282番の循環バスに乗ればよいと言う。値段はたったの30元(112円)だ。
 ホテル前の車道の中央のバス停には282番の表示があった。

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 ほどなく「動物園─圓環」と表示のあるバスがやってきた。動物園の方向は東なのか西なのか。地図で見る限り西方向だから今のバスで行けるはずだ。ところが配偶者が「圓環の方に矢印がある。逆向きではないか」と言う。次にやってきたバスの運転手に、ホテルのスタッフに「動物園に行きたい」と中国語で書いてもらった紙を見せると、これに乗れという仕草。行き先はまったく違うバスなのでどうなんだろうと思っていると、次のバス停で、ここで降りろという。ここから乗れという意味だろうか。バスを降りてみたはいいが、どうしよう。バス停近くの信号のところでタブレット端末を眺めている青年に尋ねてみた。すらっとして涼しい表情の青年は珍しくきちんとした英語を話した。
「MRTで行った方がいいと思うよ。実は僕もバスは知らないんだ。ちょっと待って、バス停の誰かに聞いてみる」
 彼は、赤信号なのに通路中央のバス停まで走り誰かに聞いた。彼は手振りで逆向きだからあっちに行くべきだと教えてくれた。ということは、さっきのバス停だ。われわれのところに戻ってきた青年は、笑顔で「神のご加護を。イエスはあなたを愛している」といった。これからミサにでも行くクリスチャンだったのか。
 ほどなくやってきた282番の運転手に確かめて乗り込んだ。清潔なバスの車内には4人しか乗っていない。バスから市街地を眺めながら移動するのもいいものだ。
 バスは前日訪ねた台北101周辺を通過し長いトンネルに入った。トンネルを抜けると急に山間部に入ったが、しばらくして曲がりくねった狭い道のある集落に出た。木柵という標識が見えた。そこで男が一人降りたので乗客はわれわれだけになった。
 途中に猫空ロープウェイが見えた。乗り場のビルにかなり長い列ができている。ほどなくバスは、終点の動物園に到着した。バス停からは山の向こうに先端だけのぞかせる台北101が見える。どういうわけか、高崎観音を思い出した。
 入り口前の広場にはかなり人がたむろしていたが、あっさりと入園できた。一人60元(225円)。

zoo zoo zoo
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 入ってすぐの広場にも人は多い。みな何か食べながら大声で喋っている。自撮り棒にスマホをつけて写真を撮る人も目に付いた。家族連れも多い。
 最初に目にした動物はフラミンゴ。十数羽がなんとなくだらっと休んでいる感じだ。フラミンゴ・コーナーの右のゆるい坂道をだらだらと歩く。工事用の柵や動物生態の説明板が多い割に動物の姿が見えない。しかし人だけはやたらに多い。みな大声でなにかしゃべり、何かを食べている。昨日の淡水や士林でもそうだったが、どうも台湾の人は人の集まる状態とおしゃべりと食べるのが好きなようだ。
 パンダ舎に出た。高台に1頭のパンダが寝そべっている。めったに動かないので置物のようだが、ときおりほんのわずか動く。人々はそのたびに声を出し写真を撮る。ほとんどの人はそのパンダが映る位置で記念写真を撮るのだ。自撮り棒を使ってスマホで撮るものもいる。
 オラン・ウータンなど猿の仲間、木に巻きつくアナコンダ、彫像のようにじっと動かないカバ、ラクダ、象、トラ、ヒョウ、ミューというオーストラリアの鳥などなどを見たが、どの動物も元気がなくぐったりしているように見えた。観察ポイントから動物までの距離が遠い。そのせいか、ものすごく広いこの動物園にはたくさん動物はいるはずなのに存在感が薄い。圧倒的に存在感を誇示しているのは絶えず摂食し声を出す人間だ。子供たちや、動物園は初めてというような田舎っぽい観客たちが、動物のわずかな動きに興奮しているのだった。
 ときおり設置された売店と休憩所では、多くの家族連れがテーブルを占めて飲み食いしていた。動物園とは動物をだしにして家族や仲間で楽しむ場所だったのだ。
 坂道の山側の高い通路を、機関車を模したバスが客を乗せて走るのが見えた。
 3番目の休憩所には、日式ラーメンを出す「寿がきや」とか、フライドチキンの店があり賑わっていた。われわれもポテト・フライ、フライドチキンを食べつつ休憩した。
 いったん休憩してしまうと腰をあげるのが億劫になった。ホテルを出てからまだ2時間しか経っていないのに、すでに足はくたびれ腰が痛い。地図を見ると全体の三分の一しか見ていないが、ここでリタイヤ。

猫空ロープウェイ

 どこもかしこもハローキティだらけの猫空(マオコン)ロープウェイ乗り場へ行くと長い列ができていた。知り合いのナオゴンの薦めもあったし、時間はたっぷりあるので待つことにした。
 まずチケットを買った。片道50元(187円)と安い。
 搭乗方式には、クリスタルと普通(ハローキティ)というのがあったが、違いがよくわからない。クリスタルとは、床が透明のゴンドラのこと。クリスタル待ちの列は普通よりもずっと短いので早く乗れそうだ。係員に違いを聞いたが早口の中国語なので言葉が全くわからなかった。
 普通チケットを握りしめて列の最後尾についた。

maokon
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 行列の横でいきなり噴水ショーが始まる。われわれの後ろについた台中から来たという中年男女に聞くと、さあねえ、1時間くらいかなと言ったが、30分も経つと乗り場入り口まで来ていた。エスレーターで4階まで登る。ここも長い列ができていたが、ほどなくゴンドラに乗り込むことができた。同乗したのは先の台中からのカップルと、3歳くらいの女の子を連れた若い夫婦。
 この日はあいにく曇り空だったが、眼下の樹木や山々の眺めは素晴らしい。ロープウェイに乗るのは何十年ぶりかだ。女の子はガラスに頭をつけてじっと外を見ていた。ゴンドラが上るにつれて車内は涼しくなった。台北101の薄青い先端が見えた。途中駅があったが減速するだけで乗り降りはしない。動物園駅から乗り込む客もいた。20分ほどで終点の猫空駅に到着した。ロープウェイの距離は約4キロだと後で知った。
 猫空駅周辺は広い観光地なのだった。人々は散策したりバスで周遊するらしいが、われわれはすぐに帰りたい。チケット販売所らしいところでクリスタルの整理券をもらった。14:30-14:45と書いてあるが意味がわからない。

maokon
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 自動販売機でチケットを買い、帰りを待つ長い列について前の女性グループの一人にそれを見せた。これはクリスタルだから係員に見せたらいいと列を離れてわれわれを前に連れて行ってくれた。女性の説明を受けた係員は、待っている長い行列の横を通りすぐ乗り場まで案内してくれた。英語が「プアー」だという青年男女と一緒に、床が透明なクリスタルゴンドラに乗り込んた。あれよあれよと待たずに乗れてしまった理由を車内で考えた。
 クリスタルは時間指定搭乗であると。つまり、整理券をもらえば、それに書かれた時間になったら列に並ばず乗ることができると。それなら長い列に並んでいる人々もクリスタルにすればいいわけだが、そうしている人は少ない。みんな並ぶのが好きなんだろうか。
 うーむ、いまいち分からないなあとつぶやきながら、透明な緑ガラスの床の下で移動する木々を見下ろした。水中で海底の海藻を眺めるような感じだったが、期待したほどの感動はなかった。 

迪化街と寧夏観光夜市

 来た時と同じ282番バスに乗り込んで後部座席に座ると、中年女性がわれわれに何か言った。「お金払うのよ」ということだろうと思い運転手のところで財布を開くと500元札しかなかった。それを引っ張り出して運転手に見せた。彼は不満そうに何か言った。すると女性が自分の財布からコインを出して入金箱に投入し下車していった。親切な人だ。来る時の青年といい、猫空駅のオバサンといい、台北には親切な人が多い。
 バスは帰路とは違うルートを通り市街地に出た。
 中山で降りて迪化街へ向かって歩いた。迪化街は行く価値ありと知り合いの新谷さんも言っていた。
 途中で長さ1ブロックほどの寧夏観光夜市があった。ほとんどが開店の準備をしていた。開店している屋台もあった。晩飯はここにすることに決めた。それまでの時間つぶしで迪化街方面へ散歩。

dinfa
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 迪化街は台北の一般庶民が正月用品などを揃える有名な商店街なのだが、正月とあってどこも閉店していた。小籠包を食べさせる店なんてのもまったくない。
 裏通りを抜けてコンビニで台湾ビール2本(70元)を買って寧夏観光夜市に戻った。
 人々の食べるものを見ながら空いた席に座った。そこで海鮮蒸し餃子(70元)を2つと酸辣湯(30元)を食べた。期待した以上の味ではなかった。
 別の屋台で、皮の内側に牡蠣を並べ中に卵を入れた揚げ物(40元)を買った。「お好み焼きもこんなふうにくるんと丸くして揚げたらいいかも」などと言いつつベンチに座って食べた。なかなかの味だった。
 まだ何か食べたいと言うので、別の屋台で線麺の小(40元)を食べてみた。びろびろの細い麺が酸辣湯のようなどろっとしたスープに絡まったものだった。不味くはないが感動的とは言えない味だった。ビールを飲んでいたら、持ち込みはダメだと言われてしまった。この時点でわれわれの所持金は100元ちょっとになった。

yoichi
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 ホテルまでは南京路をまっすぐ西に一本道だ。繁華街の商店を眺めながらぶらぶら歩いた。途中の店で土産のパイナップルケーキと腸詰を購入。現金がないのでクレジットカードで購入した。ファミリーマートでビール2本(70元)とイカの足(40元)を買ったので残りの所持金は23元(86円)となった。
 7時過ぎにホテルに帰り、全身は収容できない小さな浴槽に浸かり、ビールを飲みつつテレビを見たり日記を書いたりして12時ころ就寝。

2月23日(月)

 5時に目覚めてしまった。部屋のインスタントコーヒー2杯飲んで、タバコを吸いに外に出た。街はまだ暗い。
 7時になったので1階の食堂で朝食。ご飯、わかめスープの朝食。レタス炒め、豆腐と肉の炒め煮、練り物、きゅうりの漬物をごたまぜにしてご飯に乗せた。
 7時50分。フロントから電話。出発だという。ジェニファーへの電話代20元(75円)を支払いチェックアウトを済ませた。財布に3元(11円)残った。
 迎えの青年が来て高架のある通りにミニバンに案内された。車内には若い女性4人グループがすでに座っていた。来た時とは違うメンバーだった。
 30分で桃園空港着。8:35amのチェックインのために長い行列。チェックイン、セキュリティーチェック、パスポート・チェックもスムーズに終わる。免税店でタバコ3カートン購入し帰国便に乗り込んだ。予定通り午後2時に関空着。4時前に無事帰宅した。やれやれ。

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