2017年9月2日(土) ネパール2週間よれよれ日記

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 5時起床。睡眠薬と便秘薬のせいか、下痢っぽい感じで起きてしまった。半覚半睡。トイレに2回、やはり下痢。
 7時、ミナ・ディディの店で朝食。チャイ、揚げて味付けしたジャガイモ、ダール豆、ゆで卵の定番メニュー。

近郊の村へドライブ

ヴィシャール、井上、プラモード、長野 プラモード、井上

 井上くんの「先生、今日は車でこの辺を案内します」という提案で、プラモード・タクシーに乗り込んだ。井上・ヴィシャール、長野くん、ワダスの4人。
 曲がりくねった坂道を登っていくと人家がまばらになった。方角的にはインド国境方面へ南下したことになる。広い谷の対岸が国境方面に向かう幹線道路とのことで、開発が進み、急な斜面に建物が密集しているところがあった。山の高い場所にも民家が散在していた。梨の産地とのこと。北方には相変わらず濃い雲が立ち込め、ヒマラヤは依然として望めなかった。
 尾根の広場のヒンドゥー寺院で休憩。ハヌマンやドゥルガーといった神々の像に赤い色が塗られていた。高さの異なるベルが時折りこだまする。眼下にはもうじき収穫を迎える棚田が両側の谷に連なっていた。さらに未舗装の道を進み、途中何度か降りて風景を眺めた。
 対岸の小高い山の頂上付近に金色の屋根の建物が見えた。
「近々あそこで我々は演奏することになっているんですよ。チベット仏教の僧院なんです」と井上くん。
 かぼちゃ産地として知られる村、移動式レンガ工場、とうもろこし畑、棚田、人家などを眺めつつ、未舗装のガタガタ道を通って帰路についた。地震で被災した家もあった。10時前に井上・ビシャール部屋に戻る。

近所の女の子のレッスン

 10時頃、幼稚園児から小学校高学年くらいの女の子が集まって来た。今日は彼らの音楽レッスンだった。その様子をしばらく見た後マガル家の部屋に戻り、昼過ぎまで練習。
 12時半に井上・ヴィシャール部屋に戻ると、生徒たちがレッスン後のおやつを食べていた。アパートに住む子供たちもいて、まるで託児所か幼稚園だ。みな大声で笑ったりふざけたりしているのを見ると、レッスンよりもおやつ目当てに集まって来ているように見えた。

ミナ・ディディ茶店でランチ

 ミナ・ディディ茶店でランチ。大根菜のような菜っ葉の煮付け、ラムの煮付け、ダール、マンゴーのアチャール、アールー・ゴービー、ご飯。どれも美味しい。
 ミナ・ディディの店には近所の人たちが頻繁に出入りする。その度に互いに「ナマステー」と挨拶を交わす。前の道を通る子供や大人たちも大抵挨拶して過ぎていく。井上くんたちはこの周辺の人たちのほとんどと顔見知りだ。
 部屋に戻り、井上くん、長野くんとだらだらとおしゃべり。長野くんはジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」を読んで面白かったという。今読んでいる本『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』についてちょっと話した。

8日のコンサートのリハーサル1回目

 5時過ぎ、8日のコンサートで伴奏することになっているタブラーのミレーシュ・タンドゥカル(Milesh Tandukar、30歳)がやって来た。すぐに一緒に練習を始めた。
 彼はこちらの隙間を見つけてすぐにソロをしたがる。30歳と若いからか昨日のラビンよりも騒々しい。そこへバーンスリーのナゲンドラくんも合流した。   
 ラーガ・キールヴァーニーのジャプ・タール、ティーン・タールのガットの練習後、ナゲンドラとアーラープの練習。ナゲンドラは、単純なメロディーから複雑なものへ展開していくアーラープの基本構造に沿うことなく、常に複雑で装飾の多い演奏をしたがる。その旋律はパターンが少ないので似たような雰囲気になってしまう。その辺を指摘し、デュオにふさわしい組み立てを次の練習の時に確認することにした。最後にバティヤーリーの練習。コンサートでは、ナゲンドラにネパール民謡を別個に吹いてもらうことにした。

笛を作るラビンドラ

 練習の途中、Facebookでワダスに会いたいと言っていたラビンドラ・マハルジャン(Rabindra Maharjan)がやって来て我々の練習を聞いていた。
 灯りをつけない部屋は暗くなって来た。井上くんたちは暗くなっても電灯をつけない生活に慣れているらしい。その暗いなか、集まった人たちとおしゃべり。ヴィシャールが宅配ピザを配った。


 ラビンドラはバーンスリーを作っているという。何本か見せてもらい、試奏してみた。なかなか安定したピッチの笛で、値段を聞くと「25」という。それを聞いたヴィシャールが「2500ルピー?」と聞き返した。一瞬躊躇したラビンドラがそうだと言った。そのやり取りを聞いていた長野くんが「安いなあ。買っちゃおう」と1本購入することにした。2500ルピーは日本円で2500円。確かに安い。しかし、ラビンドラのいう25というのは、ひょっとしたら25,000ルピーのつもりだったのかもしれない。
 みんなが帰った後、日本酒を飲みつつ歓談。井上くんは、今日の練習はすごく良かったという。ネパールのバーンスリーの第一人者であるナゲンドラが、初めてきちんとした古典の基礎に触れたのだという。「このために先生を呼んだんですよ」と井上くん。
 9時過ぎ、全員でマガル家の部屋へ行きしばらく歓談して、井上・ビシャールたちは自分たちの部屋に戻った。その後10時頃まで長野くんのインドの生活などを聞いた。このままずっとインドに住むかどうかはまだわからないという。
 部屋に戻ってメールやFacebookをチェックしてすぐに就寝。

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