2005年1月9日 (日) -レッスンの日々

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 8時起床。体がなんとなくどんよりしている。十分な睡眠を取ったという感じではなかった。固いベッドのせいかも知れない。ナーギー夫人にチャーイとコーヒーを作ってもらった。昨日は冷たい水のシャワーだったが、スイッチの入れ方が間違っていたらしい。ここの温水器は一定温度になると自動的に電源が切れる仕組みになっていた。したがって元の電源スイッチがオンになっていても、サーモスイッチがオフであればお湯が出ない。サーモスイッチを無理矢理押し上げるとシャーという音がしてすぐにお湯が出た。

 10時半にジョーティを出て角のタバコ屋でマイルドセブンを購入。街角の掘建て小屋風雑貨屋でもマイルドセブンが売られていたのは驚きだ。80ルピー(=200円)もしたが。

●グルクルまでのオートリキシャ通い

 グルクルまでのオートリキシャ通いも日常化してきた。時間は10分、平均12ルピー(=30円)。リキシャを降りて対岸にわたると路上バナナ店が2軒並んでいる。その1軒のワゴンに山盛りになったバナナの房から1本だけちぎってその場で食べる、という儀式も定例化してきた。1本 1.5ルピー(=約4円)を朝食代わりに食べてグルクルへ入ろうとしたら、サングラスをかけたフランソワーズがカギのかかった門にもたれて待っていた。

 わたしを認めた彼女は

「アゴー(ハロー)、アゴー(ハロー)、イゴーシー(ヒロシ)、アウ・アグ・ユー(ハウ・アー・ユー)」 

 といって手を差し出した。彼女の手は小さくすぐに壊れそうな柔らかさだ。そこへ、ターナーから通っているというフルフェイスヘルメット姿のインド人青年がでバイクでやってきた。

 11時10分前に住み込み管理人青年が現れて門の鍵を解いた。今日も練習室はほぼ満員だった。例によってハリジーが入ってくると全員立ち上がり、彼の足に触れるために行列を作る。この光景を見るたびに思うが、この儀式にはなかなか慣れることができない。

 レッスンは、ラーガ・ゴーラク・カリヤーンのアーラ-プとラーガ・ジョーグのジョール、ジャーラー。ゴーラク・カリヤーンは聞いたことはあったが、練習したのは初めてだった。

 レッスン後、フランソワーズに尋ねた。

「この間、家さ来てけろっていってだべ。今日はヒマだがら、おめどごさ遊びにいってもいいべが」

 彼女は不機嫌そうな表情でいった。

「んー、悪いげんど、今日はだめだっす。ちょっと体調悪くてよす。トゥモゴー(明日)でどうだべ」

「ノー・プゴブゲム(問題ない)」ということで訪問は明日ということになった。

 今日は彼女の家に行って昔話をしながら時間を潰そう、と勝手に考えていたが当てが外れてしまった。

●リーンパーシヴァーのコンサートはなかった?

 トモコにリーンパーシヴァーのコンサートの時間を尋ねた。父親からまだ連絡がないので分からないという。他の生徒たちも行きたいとはいっていたが、情報がはっきりしていないので躊躇していた。わたしも天才タブラー少女リーンパーシヴァーの演奏は聞いてみたかったが、電車でNCPAまで往復することを考えると気が重いのでまだ迷っていた。弟子仲間のうちで最も熱心なのはトモコ一人という雰囲気だった。一人で行くのは不安だからと何度も誘われたわたしは、フランソワーズ訪問の当てが外れたこともあり、行ってもいいという方向に傾いた。

 レッスン後の弟子仲間おしゃべりが終わり生徒たちはそれぞれ散って行った。わたしも、滞在先が近いという関係で帰りのオートリキシャ相乗りが定例化してきたトモコとジュフの食堂へ行きランチ。食べたのは、30ルピー(=75円)のノンべジ・タ-リー。凹みのあるステンレスの皿におかずとご飯がセットになって盛られた定食だ。お変わり自由だし、実に安い。

 コンサートの詳細をNCPAに電話してみたが、そんなコンサートはないという。ついでピライ博士に電話してみた。知らないという。ドゥルバに聞くとインターネットで調べてくれたが、ない、という返事。実際は予定があるのにホールで情報を確認できないのか、中止になったのか、リーンパーシヴァーの情報が間違っていたのか。は分からない。いずれにせよそれ以上電話でだけで調べるのは無理だった。張り切っていたトモコはがっかりしていた。

●横になったとたん熟睡

 部屋に帰ってベッドに横になったとたん熟睡し、起きたのは6時だった。近所を散歩。インターネットカフェにブレットとタ-リーがいた。ザキール・フセイン主催のオールナイトコンサートはとてもよかったといった。メールをチェック。急ぎのメールはなかった。薬局で蚊よけクリームのオドモス(14ルピー=35円)、果物屋で洋梨3個(50ルピー=125円)、葡萄500グラム(14ルピー=35円)、バナナ2本(3ルピー=7.5円)購入した後、サルダ-ルジーの食堂でインド式ホットドッグ(シシカバブ2本をローティーで挟んだもの)で夕食(29ルピー=73円)。これがなかなかにおいしかった。

 部屋に帰って、10時半ころまで今日のレッスンのおさらいをした。「キチガイ」娘がたびたびドアをノックして、練習の邪魔をした。

「夕飯は食ったがっす。トモコはいつもこごで食ってだよっす」

「もう食ったべ。今、練習してっがら邪魔すねでけろ」

「ワダスの名前ば知ってっかす」

「知しゃねえ」

「ルーマーつんだ。トウチャンは今、仕事がねくて困ってんなよす。おめは日本でどけな仕事してんなや。チャーイ飲みでが。作って持ってくるよ」

「おめとしゃべってる時間がねえなよ。頼むがら一人にしてけろ」

「解ったす。邪魔すねえがら」

 ドアに鍵をかけた。その後何度かルーマーはノックしたが無視した。11時、就寝。

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