メキシコよれよれ日記 (2019年4月12日〜9月10日)

7月22日(月) 前日 翌日
 12時、時間通りにエリカがやって来てレッスン開始。テキストが終わったので、新しい表現の学習はない。彼女のモレーリアでの「マリワナ・フェスティバル」の話や、我々がこの3日間どう過ごしたかなどを中心に雑談が主のレッスンだった。それが終わるとこれまでにテキストに出て来た言い回しなどを復習。
 前から予告していたように、エリカには今週でレッスンを終えると告げた。レッスン代は明日の火曜日までの分を先週支払ったが、水曜日と木曜日もレッスンを受けてもいいし明日で終わりでもいい。もう2日続けるならその2日分のレッスン代を払うと言うと「私もどちらでもいいですよ。8月5日からセントロの語学学校での授業が始まるし」とのこと。レッスンはそれなりに楽しいが、特に詰めて勉強していないとはいえなんとなくプレッシャーを感じたことは間違いない。結局、結論は保留のまま「ヴェラクルスとハラパの博物館について作文しておいてね」と宿題を課してエリカは帰っていった。
 相変わらず空模様はどんよりしていた。久代さんがネットで調べて「ボデガの交差点の近くにチキン屋がある」というのでそこを目当てに散歩に出た。「この辺りにあるはず」という彼女の言葉に従って周辺を探してみたがなかった。これまで通ったことのない緩やかな坂の通りを、店を探しつつさらに進むといつしかセントロまで来ていて、郵便局やカフェ・スルティドーラ、強打食堂のある通りに出た。そこで久代さんは新たに「オンセ・パティオス(11の中庭)の近くに伝統料理の店がある。そこでどうか」と提案。大広場を抜けてバシリカ(大聖堂)への坂道を上る。博物館やお土産屋の並ぶ通りに「伝統食堂La Tradición」の看板を見つけたので入った。


 入り口は狭いが中に入るとかなり広い食堂だった。屋根のある中庭に客席を設けた格好だ。壁面はいろんなもので飾り付けられている。何個ものドクロ、店主のポスター、額に入った様々な書類(有名人なんかの推薦書や賞状かもしれない)、編笠、コップ類など。料理の入った大きな土器の後ろに立って玉ねぎを炒めているのが、レジ後ろのポスターの写真にある女店主だろう。眼鏡をかけ白地に紺の模様のエプロンをつけた堂々とした女性。60歳くらいだろうか。
 ふと客席に座っていた団体に中に、土曜日にバチェのパーティーで会ったベルギー人のスィリとガールフレンドのカレンの姿が見えた。向こうもすぐに気がついた。なんという偶然。スィリが我々のテーブルまでやって来て言う。

右から二人目がスィリ、左から二人目がカレン


「ここの店主は暑い土地Tiera Calienteの人なんだ。だからパツクアロとはちょっと違った料理が楽しめる。・・・ところで今週末にパラチョParachoへカントーヤを見に行くんだ。一緒に行く? 行くんだったら車に乗せていけるよ。カントーヤはもともとパラチョで始まったんだ。それを数年前にパツクアロにも持ち込んだというわけ。向こうは本場なのですごいよ。土曜日はタカンバロだって? そうかあ、じゃあ金曜日かなあ。その日行けるようだったらここに電話かメールしてくれる? 電話持ってない? ん、じゃあバチェの電話番号をこのメール宛に教えてもらえる?・・・カレンは木でできたおもちゃを作っているんだ。よかったらウェブサイトを見て」
 パラチョはギターなどの楽器作りで有名な町だという。咲子さんによれば「かのサンタナもパラチョ製のギターを使っている」とのこと。パツクアロからはウルアパン方面へ車で1時間ほどの町だ。スィリにぜひ連れていって欲しいと頼んだ。というわけで今週末はパラチョ、タカンバロと移動のある日々になる。
 タカンバロでは、去年の日本祭で協力したプエブロ・マヒコのメンバーによるミーティングがある予定だ。マリナはそこで下田さんから送られて来たブックレットをみんなに配る。夕方から時間が取れない人もいて、ミーティングはお昼になるとの連絡だった。お昼であれば日帰りができる。となるとパラチョへ行けるのは金曜日か日曜日か。
 ちょっと英語を話すウェイターが注文を取りに来た。メニューを見ても何を頼んでいいか分からないので、店主の前にずっと並んだ大皿の料理を一つずつ教えてもらった。「なるほど、なるほど。でその皿は何?」「#$%/&*。味見する?」とスプーンを差し出す。牛肉の煮物のようだったがなかなかの味だった。


 結局頼んだのは、久代さんがエビ団子と食用サボテンのノパルの煮物、煮豆、ご飯のセットTortas de camarón con nopales en chile rojo(70ペソ=420円)、ワダスがチーズを詰めたチレ、サルサ・メヒコ、ご飯、煮豆のセットChile rellono de queso(90ペソ=540円)。もちろんビール(30ペソ)も頼んだ。エビも、塩味のきいたチーズ詰めのチレもなかなか美味しかった。メキシコ基準ではまあまあのいい値段だが、これだけ手の込んだ料理を日本の学食並みの値段で楽しめるわけで決して高いとは言えない。
 スィリとカレンの団体が先に出たが、坂道の途中で固まっているところでまた会ってしまった。カフェに行くらしい。
 大広場、小広場を抜け、来た時のコースを歩いて帰宅。ウエコリオの我が家からセントロまでは徒歩で往復1時間半くらいか。結構歩いた。
 普段よりもくたびれたせいか、9時過ぎにベッドに入った。

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