2018年8月26日(日) メキシコ3週間よれよれ日記  前の日 次の日


 7時半、起床。
 角、ワダス以外が、夕食の材料を買いに市場へ行った。我々が関係者に巻き寿司をご馳走する予定だった。

 11時にアルベルカ湖畔へ行く予定だったが、マリナかプリシリアーノの手配に手違いがあり交通手段の決定まで待機。その間にレストランでブランチ。メキシコ風目玉焼き。2枚がさねのトルティーヤの上に卵が乘っている。レストランには、モリヤ・ファミリーのミノ、アイコ、アオキの夫婦が来ていた。それぞれの名前の漢字を描いてもらった。アオキは葵とした。

アルベルカ湖

 12時すぎ、2台のタクシーでアルベルカ湖へ。前に行ったルートとは違う石畳の坂道を車を揺らしながら下っていく。湖にはすでに来ていた人たちがピクニックのように食べたり飲んだりしていた。皆WSに参加した見知った顔だが、もはや名前と人物が繋がらない。
 我々グループとは関係のないグアナファトから来たという日系メキシコ人家族が観光に来ていた。20代半ばに見える筋肉たくましい青年の名前がイチロー、妹らしいナツミ、弟らしいヒロシ、兄らしいタクミなど。苗字はタナカだという。
 湖畔の儀式のできる場所を探す。水辺から近いところにあった一本の木がよかろうと角と話す。我々関係者たちは湖畔の空き地でばらけたので「儀式」のタイミングが難しい。マリナに話し皆にこの木の周りに集まって欲しいと告げたので徐々に集まりだした。
 角が登場して「儀式」が始まることになっていた。ところが角が急に「バーニョあるかなあ」という。バーニョは便所だ。湖畔にはもちろんない。誰かが角を車に乗せてバーニョへ連れて行った。しばらくして帰って来た角が言う。
「いやー、大量に出たよ。すごいのなんの。ところがさあ、流れないのよね。焦っちゃったよ。何度も水を貯めて流したんだけど、結局残っちゃってさあ。仕方がないからそのままにしちゃったよ」


 その角が上半身裸になり、静かに湖畔に向って歩き始めた。人の輪に近づいた時、ワダスが聲明の「散華」を歌ったので儀式っぽくなってきた。角は湖の水辺に近づき、静かにメスカル用グラスに入った日本酒を注ぎ込んだ後、グラスを水に落とした。それを人々が固唾を飲んで見守る。角が湖畔を離れ、盆踊りの飾り物を供えた木に向かう。ワダスがバーンスリーを吹き、象くんが間遠に太鼓を鳴らす。角の終わりのタイミングが取れない。死体のように横たわったので終わったのかと思ったらまた動き出す。結局、木を背にして坐禅を組み「かーっ」という雄叫びで角のパフォーマンスが終わった。ついで、木の根元に供えた飾り物を湖畔に運び火をつけて燃やした。これで、精霊流しならぬ儀式が終わった。
 しばらく、湖畔を眺めながらベロニカのスープをいただいたり、下田と話していた女性たちのいる場所でおしゃべり。

 ベロニカ車でホテルへ戻り、角と街へ散歩に行った。肉、野菜、衣料品などのある市場やスーパーマーケットをぶらぶらと見て回り、カフェ・アシエンダでコーヒー。ついでにTシャツ120ペソを購入。

巻き寿司パーティー

 ホテルに戻ってみると、食器や道具類などを25歳のシェフのシンシアに訊ねながら、皆がレストランの厨房で巻き寿司の準備をしていた。シェフの仕事を始めて2年になるというシンシアは英語を話すユーモアのある明るい女性だ。ご飯炊き担当のワダスは1キロのコメを洗いガスコンロに火をかけてコメを炊いた。コメは細長いインディカ種なので水加減がわからない。少なめの水で煮たら芯の残るご飯になってしまった。水を加え再び火を入れて蒸らして、なんとか食える状態になったので一安心だった。炊き上げたご飯に酢、砂糖、酒で酢飯を作った。日本米とは比較にならないが、これで我慢してもらうしかない。普段から料理をするという象くんはエビの背わたをとって茹でていた。


 バナナ、モモ、ぶどう、キウイの果物、人参入りポテトサラダ、巻き寿司の具としてはスリミとして売られているカニカマボコ、きゅうり、アボカド、茹でたエビを準備した。これで巻き寿司はバッチリだと思ったら、円筒のブリキ缶に入った須磨の海苔のサイズが一口サイズのものだった。海苔そのものは香ばしい香りでとても上等なものだったが、ご飯や具はほんのちょっとしか載せられない。
 食材を上のホールに運び込み、最後の打ち上げ宴会の準備。そうこうしているうちに、ガブリエル+友人2人、ペッピーノ(きゅうりの意味のあだ名、実名はフアン・アレヴァロ、実家はバイク屋)、プリシリアーノ、マリナ、ルビ、シンシア、マリナの友人らしい若い2人の女性、ルイス・ロドリゴ父子が集まり、宴会が始まった。巻き寿司ならぬ載せ寿司の味はなかなかで、皆にも好評だったが、海苔の枚数や具材の量が十分ではなかった。
 ガブリエルが自作の詩集、マリナが木製のモダン骸骨、プリシリアーノがTシャツを我々にプレゼントしてくれた。

 ほとんどの参加者が帰っていった後、プリシリアーノ、マリナ、ルビ、シンシア、マリナの友人らしい若い2人の女性、角、下田、沙也加、ワダスが最後まで残り、最後はジョーク大会になった。部屋に戻ったのは1時30分だった。

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