第10回 秋霜弾弦

●とき/1992年10月18日(日)4:00 pm
●ところ/ジーベックホール(神戸ポートアイランド)
●出演/金堅:古箏、曹雪晶:二胡、福原左和子:箏、村田栄美:箏、石川利光:尺八
●主催/ジーベック
●協賛/(株)TOA
●後援/兵庫県、神戸市、神戸市教育委員会、神戸市民文化振興財団、神戸国際交流協会
●企画制作/天楽企画

プログラム

■日本の箏
■中国の箏
■日中セッション

企画主旨

 今回は、起源の共通する日本の箏と中国の古箏の響きや演奏法の違いを聴いてみようというものです。
 箏は、起源は明らかではありませんが、中国の戦国時代(BC403~221)秦で用いられたことから秦箏と呼ばれていました。西方から伝来した、という説もあります。漢代には既に現在のような12弦と13弦のものがあり、この形式は、かなり古くからあったようです。その後、時代を経るにしたがい、一般に普及します。現在使われているのは、日本の箏より小ぶりで金属弦が張ってあり、独特のポルタメント奏法に特徴があります。
 一方、日本の箏は、奈良時代に等から招来された13弦の楽器ですが、最初は雅楽に用いられました。しかし、純然とした器楽用楽器から、歌曲の伴奏にも用いられるようになりました。室町時代の末期にはいると、寺院歌曲の中の箏伴奏の曲が独立し、これが後の箏曲となっていきます。この流れの中で、有名な八橋検校(1641~85)が、上方で箏曲を確立します。八橋によって確立された箏曲の伝統は、その後弟子たちによって全国へ広まり支流ができあがっていくことになります。中でも生田検校(1656~1715)が立てた生田流と山田検校が立てた山田流が、現在の箏曲の二大潮流となりました。
 こうして、中国から伝わり、その後独自に発達してきた日本の箏は、古典だけではなく現代音楽にも多く用いられるようになり、まさに日本の代表的伝統楽器の一つとなっています。