第3回 アジアのスーパーフルーティスト1

●とき/1990年11月16日(金)9:30 pm~17日(土)5:30 am
●ところ/ジーベックホール(神戸ポートアイランド)
●出演/ハリプラサード・チャウラースィヤー:バーンスリー、ルーパク・クルカリニ:バーンスリー、マダン・ミシュラ:タブラー、劉宏軍グループ(笛子、古箏、楊琴)、ジョン・海山・ネプチューン(尺八、十三弦、十七弦)
●主催/(株)オーディネット
●共催/ジーベック
●協賛/(株)TOA、エアインディア、ダイシャウツアー
●後援/中華人民共和国総領事館、インド総領事館、兵庫県、神戸市、神戸市教育委員会、神戸市民文化振興財団、神戸国際交流協会
●企画制作/天楽企画

プログラム

■夜のラーガ
 インド古典音楽 ハリプラサード・チャウラースィヤー・グループ
■世界の楽器としての尺八 ジョン・海山・ネプチューン・グループ
■江南絲竹楽 劉宏軍グループ
■深夜のラーガ1 ルーパク・クルカリニ
■深夜のラーガ2 ハリプラサード・チャウラースィヤー
■早朝のラーガ ハリプラサード・チャウラースィヤー  

企画主旨

 昨年は、神戸市制100年ということで国際的なフルートコンテストが開催され、いわゆる西洋フルートの国際的な新人と竜門として高く評価されました。
 しかし、一方、神戸だけではなく日本全体としてもクラシックというと即西洋の古典音楽を指すような現状の中で、我々の足元であるアジアにはすぐれたクラシック(古典音楽)があり、笛の伝統があります。しかし、その豊かさ、深さはまだ人々に十分認識されていません。
 横笛は世界中に分布しています。最も気軽な楽器の一つですが、その演奏方法や様式の面で芸術的な高みにまで発達しているのは、いわゆる西洋だけではなく日本、中国、インド、韓国などの国々です。こうした国々の名人芸を一挙に、また同時に聴くことで、西洋クラシックとは異なるそれらの芸術性を見てみよう、というのが今回の主旨の第1です。
 それぞれの名人たちは、伝統に根ざした音楽活動を続ける一方、名人であればあるほど常に創造的な活動を行っています。そこで、自家薬篭中とした表現手段で、既成の様式にとらわれない新しい表現の試みに接することは、聴衆も彼らの創造に関わり育てるという意味で、重要なことだと考えます。これが、第2の主旨です。
 第3の主旨は、国際都市神戸の独自性を主張することです。神戸は、さまざまな国の人々が定着し居住しているという意味で、日本でも稀な都市であることは自他ともに認めています。しかし、この特性を、文化的、芸術的な意味で生かし切っているとはいえません。最近は、食に限らず、音楽でもワールド・ミュージックなどといわれ、数多くのレコードも市場で売られ、演奏会も増えてきています。しかし、内在的に「エスニック」な要素を抱え、そのために特有の雰囲気をもつ都市にも関わらず、神戸ならではの音楽会は非常に数少ないのが現状です。
 また、今回は、インドではごく一般的に行われている夜通しの演奏会です。アジアの、特にインドなどでは限られた時間に限定されず、ゆったりと音楽に浸りきるという楽しみ方をしています。このような時間のもちかたが、実は、現代のわれわれには必要なのではないでしょうか。