第9回 即興の芸術1~インド古典音楽の名人たち

●とき/1992年8月30日(日)4:00 pm
●ところ/ジーベックホール(神戸ポートアイランド)
●出演/スルターン・カーン:サーランギー、アミット・ロイ:シタール、ファザル・クレシ:タブラー
●主催/ジーベック
●共催/(株)オーディネット
●協賛/(株)TOA、エアインディア
●後援/インド総領事館、兵庫県、神戸市、神戸市教育委員会、神戸市民文化振興財団、神戸国際交流協会
●企画制作/天楽企画

プログラム

■シタールリサイタル
■タブラーソロ
■サーランギーリサイタル

企画主旨

 今回は、「即興の芸術-インド古典音楽の名人たち」と題する、インド古典音楽演奏会です。特に今回は、既に神戸でも数回公演したシタールの名手、アミット・ロイと日本ではまだライブでは紹介されていないサーランギーという擦弦楽器の名人、ウスタッド・スルターン・カーンを迎えてのもので、インド音楽ファンのみならず、音楽を愛するすべての人にとって見逃せないコンサートになるでしょう。
 弓で弦を擦る楽器は世界中に広く分布しています。日本や中国の胡弓、二胡など「胡」という文字から推測されるように、中央アジアのケマンチェがその祖と言われています。また西洋のヴァイオリンやインドのサーランギーも起源は中央アジアであると考えられています。
 インドのサーランギーは、主に宗教音楽、民俗音楽の主要伴奏楽器として用いられてきました。インド音楽には、独特のポルタメント奏法(音をスライドさせる方法)がありますが、サーランギーはフレットがなく、このような奏法には適していたために少なくとも13世紀ころから知られていました。しかし最近では、サーランギーによる古典音楽の演奏も一般的になっています。
 悠久の歴史をもつインド音楽の伝統の特色は、曲構成の枠組みのみが厳格に守られながら、曲そのものはまったく即興的にその場で創造されていくことです。名人といわれる人たちは、こうした即興の芸術を創造するために、練習に膨大な時間と量を費やします。今回の演奏会は、アミット・ロイ、スルターン・カーンそしてファザル・クレシという、そうした壮絶な修行を積み重ねた名人たちの即興の芸術を、人々に心ゆくまで堪能していただこうと企画されたものです。