第11回 アジアのスーパーフルーティスト2

~中空の竹のごと汝のからだをくつろがせ~

●とき/1993年7月17日(土)9:30 pm~18日5:30 am
●ところ/ジーベックホール(神戸ポートアイランド)
●出演/ハリプラサード・チャウラースィヤー:バーンスリー、アミット・ロイ:シタール、スバンカル・ベナルジー:タブラー、アヴィシャ・ゴーパルクリシュナン+岸下しょうこ+田中峰彦:タンブーラー、松田弘之:能管、大倉源次郎:小鼓、山本哲也:大鼓、上田悟:太鼓、元長賢:テグム、白寅栄:伽耶琴、金清満:チャンゴ
●主催/ジーベック
●共催/(財)兵庫現代芸術劇場、(株)オーディネット
●協賛/(株)TOA、(株)フォームズ
●協力/エアインディア
●後援/インド大使館、大韓民国駐神戸総領事館、兵庫県、神戸市、神戸市教育委員会、神戸市民文化振興財団、神戸国際交流協会、神戸市民文化振興財団
●企画制作/天楽企画

プログラム

■夜のラーガ
■能の囃子
■韓国伝統音楽
■深夜のラーガ
■タブラーソロ
■早朝のラーガ

企画主旨

 アジアの音楽シリーズは、今回で11回目を迎える。
 日本の音楽文化はなんらかの形でアジア各国のそれと密接な関係にある。わたしたち日本の文化の客観的見直しは、こうした近隣関係にある文化と比較して初めて可能であり、はるか彼方の西洋文化を通してはなかなか自己を照射することはできない。
 そこで、アジアの音楽を通して足元を見つめ直し、日本とアジア各国の同種の音楽を同時に聴くことでそれぞれの違いと共通点を知ること、これがこれまでの一連のコンサートの主旨である。
 アジア各国の伝統芸能は、歴史的文化的に日本の伝統芸能と相互影響しあい、それぞれの土壌において独自のパフォーミング・アーツとして今日に至っている。今回取り上げた、日本の能楽、韓国の散調、インド古典音楽は、三者ともそれぞれの土壌において完成された独自の芸術である。しかし、楽器や演奏形式に違いはあるものの、演奏が進行するにしたがいテンポを増すことや、西洋音楽のような和音の概念なしに立体的な音楽空間を創造することなど共通点も少なくない。同時に、息を吹くという人間の生理にもっとも近い楽器の、それぞれの表現の違いと共通性を音を通じて感じることの意味は大きいだろう。また、なによりも大きな共通点は、今日の世界の音楽状況が「西洋化」されつつある中にあって、こうした傾向から超然と独自性を保ち「生きた」芸能として広く人々に支持されていることである。
 今回は、インドではごく一般的に行われている夜通しの演奏会である。アジアでは、時間に限定されず、ゆったりと音楽に浸りきるという楽しみ方をしている国が少なくない。このような時間のもちかたが、わたしたちには必要なのではないだろうか。